Mozart 交響曲第26番 変ホ長調/第30番ニ長調/
第31番ニ長調/第39番 変ホ長調
(ジェームズ・レヴァイン/ウィーン・フィル)


DG Mozart

交響曲第26番 変ホ長調K.184(161a)
交響曲第30番ニ長調K.202(286b)
交響曲第31番ニ長調K.297(300a)「パリ」
交響曲第39番 変ホ長調K.543

ジェームズ・レヴァイン/ウィーン・フィル

DG 4794195/CD8 1984-90年録音

 今朝、別音源にコメントしようと聴きだしたけれど、どーも気分的に違う・・・James Levine追悼(1943-2021亜米利加)享年77歳。メトロポリタン歌劇場の監督を40年続けて、晩年はセクハラ発覚と病に苦しんで晩節を汚しました・・・天下のDGがカール・ベームに継いでMozart交響曲全集録音を任せたのは当時40歳代に入ったばかりの彼とウィーン・フィルの組み合わせ(古楽器演奏はトレヴァー・ピノック)。主にオペラ畑で活躍した人、日本では人気イマイチ?だったかも知れないのはその容姿(太り過ぎ)が問題だったのかは定かに非ず。クラシック音楽界も芸能ですから見た目は大切でっせ。ここ最近、Mozartをちゃんと聴いていないので、しっかり集中いたしましょう。小編成だけど、流行りの古楽器風痩せた骨と皮サウンドに非ず、瑞々しいバランス演奏が続きます。

 交響曲第26番 変ホ長調K.184(161a)は短い緩急緩のシンフォニア(イタリア風序曲)。オペラの序曲に流用されたらしい愉快な作品は、シンプルな2管編成にティンパニを伴いません。しっとりとコクのあるサウンドはたっぷり豊か、躍動感に不足はなくても急いだ足取りに非ず。2:43-2:56-2:36。

 交響曲第30番ニ長調K.202(286b)はザルツブルク時代18歳の交響曲。フルートもティンパニもなし。溌剌と躍動する第1楽章「Molto allegro」から愉悦に充ちて清潔・適正なテンポとリズムのアクセント、適度な厚みが響きます。例のちょっぴり暗転する風情が陰影を際立たたせて名曲。弦のみで演奏される第2楽章「Andantino con moto」は淡々としてシンプル、気持ち速めな緩徐楽章。ウィーン・フィルの優雅な弦でっせ。第3楽章「Menuetto」は賑々しく華やかな風情が重くならぬ表現。Haydn時代の「Menuetto」から変わりつつあって、激性の片鱗が見えて時に暗転します。第4楽章「Presto」は屈託のない符点のリズムが軽快に疾走して、軽快な屈託のない音楽でした。天才Mozartの作品としては少々ありきたり?かも。8:07-4:38-4:32-4:47。

 交響曲第31番ニ長調K.297(300a)「パリ」はかなりの有名曲でしょう。2管編成に+ティンパニも入って第1楽章「Allegro vivace 」からスケール大きなぶちかまし、賑々しくも華やかな爆発、強弱の強調はパリの聴衆の好みだったとか。響きの充実躍動、表情の微細な変化、後半に向けたアツい盛り上がりは称賛されるべき演奏でしょう。(7:08)第2楽章「Andante」は優雅な6/8拍子の緩徐楽章。フルートの朗々とした音色がたっぷり艷やかに美しい。途中哀しげにちょっぴり暗転する陰影深い風情も印象深い名曲でしょう。(5:37)第3楽章「Allegro」ここはその昔、カール・ベームの激遅テンポに仰け反ったの記憶も懐かしいところ。そっと細かい音形に弦が囁いて開始、一気にティンパニも伴って疾走爆発すると、パリの聴衆には大受けだったことでしょう。大胆な表情転換、立ち止まってタメを作るところ、熟練のワザでしょう。ここもフルートの豊かな音色が印象的。(3:50)

 交響曲第39番 変ホ長調K.543。この辺りになると誰でも知っている名曲中の名曲、晩年の傑作。ティンパニはもちろん、クラリネットが入って厚みを増す2管編成にオーボエが抜けております。第1楽章「Adagio - Allegro」序奏から、大曲に相応しい堂々たるスケールと荘厳な響きに充たされます。これは馴染み先達巨匠たちの世界に近いでしょう。おそらく弦の編成も前作品より増しております。クラリネットの色彩が効いているなぁ、ここは。(10:32)第2楽章「Andante con moto」そっと呟くように練り上げられた弦の響き、デリケートな足取りは軽快そのもの。時に劇的な心情の変化、管楽器の呼び交わしもたっぷりと美しいところ。ここにも弾むようなリズム感が支配しております。(7:35)第3楽章は溌剌と躍動する「Menuetto」。ヴィヴィッドなリズム感にクラリネットが優雅なソロを歌います。テンポは気持ち速め、ウキウキとした風情はお見事な完成度。(4:19)第4楽章「Allegro」は充実したフィナーレ、厚みのある弦と夢見るような木管の対比がデリケートに表情豊か、スケール大きく大団円を迎えました。テンポは適正なバランスを感じさせて、勢いを失わないもの。終わったかな?そう思わせて休止のあとの復活、弦の艶のある風情最高。(7:38)

(2021年3月20日)

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written by wabisuke hayashi