Mozart 歌劇「ルーチョ・シルラ」序曲/歌劇「アポロとヒュアキュントス」序曲/
歌劇「シピオーネの夢」/歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」序曲/
歌劇「牧人の王」序曲/歌劇「アルバのアスカニオ」序曲/
歌劇「ポンテの王ミトリダーテ」序曲/歌劇「イドメネオ」序曲/
歌劇「劇場支配人」序曲/歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
(イェルク・フェルバー/ヴュルテンベルク室内管弦楽団)


 CBS ( VOX ) France LP 1974年 Mozart

歌劇「ルーチョ・シルラ」K.135 序曲
歌劇「アポロとヒュアキュントス」K.38 序曲
歌劇「シピオーネの夢」 K.126 序曲
歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」 K.50(46b) 序曲
歌劇「牧人の王」K.208 序曲
歌劇「アルバのアスカニオ」K.111 序曲
歌劇「ポントの王ミトリダーテ」K.87(74a) 序曲
歌劇「イドメネオ」K.366 序曲
歌劇「劇場支配人」K.486 序曲
歌劇「皇帝ティートの慈悲」K.621 序曲

イェルク・フェルバー/ヴュルテンベルク室内管弦楽団

CBS ( VOX ) France LP 1974年録音

 我らがMozartはお気に入り、たいていどんな作品も聴いているつもり(例えば舞曲集とか行進曲辺り)でも、初期オペラは盲点になっておりました。「イドメネオ」「劇場支配人」だったら数回拝聴機会はあって序曲もお馴染み、他、歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」 K.50(46b)は ”聴いたことあるかも” 程度、序曲は「英雄」に似ているので記憶に鮮明でした。もしかしてそれ以外は序曲さえ初耳?躍動する「フィガロ」、「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」辺りは序曲集収録の名曲CDやら演奏会に欠かせない演目、それ以外は今回新鮮に拝聴いたしました。クリストファー・ホグウッド交響曲全集にはオペラの序曲も含まれていたので、それで聴いていたかも知れません。

 Jorg Faerber(1929ー独逸)はハイルブロン歌劇場(?)の音楽監督を経、1960年ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団(Wurttembergisches Kammerorchesters Heilbronn)を創立して、メジャーレーベルへの録音が少なかったから知名度さておき、数多くの録音を残してくだいました。LP時代からの廉価盤フリークとしては馴染みの存在、今回ネットよりこんな珍しい音源を発見入手、軽快スッキリとしたモダーン楽器アンサンブルに驚き!音質も良好でした。

 以下なんのネタも知識もない雑談ばかり。

 歌劇「ルーチョ・シルラ」K.135 序曲は二管編成、急緩急の愉悦に充ちたイタリア風序曲。1772年の作品、古代ローマの政治家(独裁執政官)の名前とのこと。(8:00)歌劇「アポロとヒュアキュントス」K.38 序曲は1767年に作曲されたラテン語劇とのこと。牧歌的な素直な作風、既に11歳にして陰影を感じさせる、栴檀は双葉より芳し的作品でしょう。(2:48)歌劇「シピオーネの夢」 K.126 序曲は二管編成にティンパニも入って躍動疾走する、これも急緩急のイタリア風序曲。劇的セレナータと題された1771年の祝典劇、作品そのもの評価はさておき序曲は名曲でっせ。(5:40)歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」 K.50(46b) 序曲は1768年に完成された牧歌劇・ジングシュピール(独逸語)とのこと。(当時演奏された記録はないんだそう)シンプルな二管編成、Beethoven「英雄」の第1楽章第1主題にクリソツ、ノンビリと牧歌的な作品。(1:38)

 歌劇「牧人の王」(または羊飼いの「王様」)K.208 序曲は1775年初演された19歳の祝典劇。いつも馴染みの疾走する愉悦をしっかり感じさせて、初期中期の交響曲のイメージそのまま、トランペットも入る二管編成。(3:01)歌劇「アルバのアスカニオ」K.111 序曲1771年に作曲された祝典劇。二管編成にティンパニも入って、フルートの雄弁な響きに魅了されます。この勢いは既に「フィガロ」の世界ですよ。ミラノ初演は大成功だったのとのこと。(3:20)歌劇「ポントの王ミトリダーテ」K.87(74a) 序曲は1770年最初のオペラ・セリア(正歌劇)とのこと。これもミラノでの初演は大成功だったそう。ティンパニにも入る二管編成のイタリア風序曲、こんな初期作品でも優雅な風情に溢れてAndate Graziosoのゆったりした部分は魅惑の世界。(5:38)

 歌劇「イドメネオ」K.366 序曲(4:45)歌劇「劇場支配人」K.486 序曲(4:05)に至ると馴染みの名曲、ようやく知り合いに出会った気分かな?編成の少ない室内オーケストラ、力みのないスッキリとした響きはしっとりとして、湧き上がるような音楽の喜びに溢れました。弦も管も一流の響きでしょう。

 ラスト歌劇「皇帝ティートの慈悲」K.621は最晩年1791年のオペラ・セリア。堂々たる歩みに始まる序曲を聴き出して、初耳ではないと確信、LP時代清水の舞台から飛び降りる決意で入手したPHILIPSのMozart全集(3巻分のみ中古)に含まれていたはず。コリン・デイヴィスでしたっけ?二管編成にはクラリネットやバセットホルン、もちろんトランペットホルンにティンパニにも入って、音楽の大きさ、豊かな各パートの掛け合いに初期作品とは別格の貫禄をたっぷり感じさせました。

(2020年5月22日)

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written by wabisuke hayashi