Mozart オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370/
Poulenc オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲他
(クリストファー・オニール(ob)/ザ・フィボナッチ・シークエンス)


Deux-Elles  DXL1121 Mozart

オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370(K.368b)

Poulenc

オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲

Mozart

アダージョ ハ長調 K.Anh.94 (K.580a)*

Francaix

管楽器のための四重奏曲

Alwin

オーボエとハープのための組曲

Elgar

愛の挨拶

Crussel

ディヴェルティメント ハ長調 作品9

クリストファー・オニール(ob)イングリッシュ・ホルン*/ザ・フィボナッチ・シークエンス

Deux-Elles DXL1121 2006年録音

 Fibonacci sequenceという、おそらく英国のグループが各々管楽器をメインとした室内楽を数枚録音していて、これは保存音源整理点検中に発見したもの。Christopher O'Nealは英国のオーボエ奏者、生年月日などは探せないけれど、名手なのでしょう。かなり楽器に近接したリアルな音質、すこぶる快活に愉しげなアンサンブル連続でした。

 浮き立つように躍動するMozart オーボエ四重奏曲ヘ長調 K.370はおそらくはオーボエを伴う室内楽として最高の名曲。微笑むように明るくオーボエが歌って名人芸際立つ第1楽章「Allegro」(6:09) しみじみと叙情的な「Adagio」 はニ短調、わずか37小節(3:17)そして弾むように「Rondo-Allegro」のフィナーレがやってきて、これは天衣無縫、晴れやかな表情が自在に広がりました。(4:24)

 Poulencは1926年の初演。知名度的にはさておき、これもたいへんな名曲でしょう。第1楽章「Presto」はちょっぴり大仰なファゴットが歌いだして、やがて闊達にオーボエと呼び交わす哀しい?明るいのか微妙な陰影が時に雄弁。シロウト耳にもそうとうな技巧が要求されそう。時代が時代だから調性はないけど、華やかに元気な始まり。(5:05)第2楽章「Andante」は穏健な緩徐楽章。ファゴットがノンビリと歌って、平穏にオーボエが呼応して牧歌的な、そしてちょっぴり暗鬱な風情も漂います。(3:03)第3楽章「Rondo」はヴィヴィッドに明快な躍動はち切れるフィナーレ。オーボエの「皮肉な声」(Wikiによる)はそうとうな技巧が要求されそう。(3:10)

 Mozart アダージョ ハ長調 K.Anh.94 (K.580a)は楽器指定も定かならぬ断片だそう。「アヴェ・ヴェルム・コルプス」に似た敬虔な旋律はイングリッシュ・ホルンと弦楽によってしっとりしみじみ演奏されました。(8:36)Mozartに駄作なし、信じられぬほど泣ける、美しい名旋律。

 Francaixは軽妙剽軽に淡々とデリケート、気紛れなオーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットによる快活な四重奏。(Allegro3:10-Andante1:51-Allegro molt2:39-Allegro vivo3:04) William Alwyn(1905-1985英国)はいかにも英国らしい落ち着いて寂しげな旋律連続、ハープが上品な広がりを加えます。(Minuett2:21-Valse Minituare0:57-jig1:59)

 Elgarは誰でも知っている、晴れやかに懐かしい、愛らしい、希望に充ちてほっとするような旋律。(3:04)ラスト、Bernhard Henrik Crusell (1775-1838瑞典?芬蘭土?)による オーボエと弦楽のための作品は、懐かしい憧憬と不安が入り混じって、これも流れるような名曲!コロコロと玉を転がすようなオーボエが晴れやかでした。(Allegro3:31-Andante pocp Adagio2:31-Allegro1:50-Allegro vivace1:50)

(2024年3月30日)

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written by wabisuke hayashi