Mozart クラリネット五重奏イ長調K.581/
オーボエ五重奏曲ハ短調K.406/
アイネ・クライネ・ナハトムジーク
(ロッケンハウス音楽祭ライヴ)


PHILIPS 456 077-2 Mozart

クラリネット五重奏イ長調K.581

ザビーネ・マイヤー(cl)/ハーゲン弦楽四重奏団(1986年)

オーボエ五重奏曲ハ短調K.406

ハン・デ・ヴリーズ(ob)/フィリップ・ヒルシュホルン(v)/ウラディミール・メンデルスゾーン(va)/ナイトハルト・レーザ (va)/ジュリウス・ベルガー(vc)(1986年)

セレナーデ ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

シャンドール・ヴェーグ/カメラータ・ザルツブルク(1990年)

PHILIPS 456 077-2/CD2 ロッケンハウス音楽祭ライヴ 

 ロッケンハウス国際室内楽フェスティバルは1981年から現在迄続いているそうな(オーストリア東部。主催;ギドン・クレーメル)この音源に特別な思い入れがあったワケじゃなくて、入手5-6年?ようやく内容を確認(発見)して、嘆息しているところ。音楽をちゃんと真面目に聴くことの大切さ、油断すればノーミソ前頭前野華麗なる加齢に硬直化して、狭い範囲に好みの音楽ばかり聴いていることを反省しております。CDはかなり整理して、時代は時代だからこれ以上の整理はムリ(二束三文BOOK・OFF持ち込みだけは避けたいもの)データ音源入手は場所ふさぎにはならぬけれど、貯め過ぎて”一生掛かっても聴けぬ”物量に、断捨離への憧れも頭をよぎる・・・そこにこんなMozart登場。

 いずれ聴き馴染んだ作品ばかりだけれど、第1ヴァイオリンをオーボエに置き換えたオーボエ五重奏曲ハ短調K.406は、その存在を知って一度拝聴したかった。もともと管楽セレナード ハ短調K.388 (384b)を弦楽五重奏に編曲したもの、オーボエ版は誰の思いつきでしょうか。他、Sabine Meyer(1959ー)がベルリン・フィル不採用事件(1981年)から一躍有名になった少し後の記録、当時お師匠さん(←これ美しい日本語ですね)と門下生達の心の通ったカメラータ・ザルツブルクのライヴとか、興味ある音源ズラリ。

  クラリネット五重奏イ長調K.581との出会いは、ウラディミール・ルジーハ(cl)/スメタナ弦楽四重奏団(モノラルLP/HR-1036)若い頃の出会いは一生の嗜好を左右しますよ。落ち着いて諦観に充ち、心洗われる静かな作品はすっかりお気に入りとなりました。クラリネット五重奏には名曲が多くてWeber(変ロ長調)Brahms(ロ短調)そして近代ではReger(イ長調)など、どれもお気に入り。もちろん我らがMozartが白眉、一番の売れ筋でしょう。

 第1楽章「Allegro」は一点の曇りもない無垢な旋律、クラリネットと弦の絡み、清明な風情にやがて暗転していく・・・いつものパターン。20歳代のマイヤーは心持ち速めのテンポ、明るい音色、浮き立つような足取りを感じさせて、いつもの”落ち着いて諦観”風情とはちょいと味わいが違うもの。(9:02)第2楽章「Larghetto」は豊かに歌う緩徐楽章、抑制の効いた弦楽に対して、ここでもクラリネット・ソロは憧憬を感じさせる、若々しい軽快さが際立ちました。(6:32)第3楽章「Menuett」は晴れやか華やかなクラリネット、このリズム感は若者ならではの躍動でしょう。高音から低音迄スムースな音色。ハーゲン弦楽四重奏団は微に入り細を穿つデリケートな表現であります。(7:05)終楽章は「Allegretto」変奏曲ですね。弾むような浮き立つリズム感はそのまま、つぎつぎと変わっていく表情は天衣無縫、若い女性の涙は絵になって、すぐに機嫌を直して笑い転げるような躍動がやってくる・・・(9:40)。大喝采有。

 オーボエ五重奏曲ハ短調K.406。我らがヴォルフガングに駄作なし、その中でも弦楽五重奏、そして管楽アンサンブルはお気に入り。管楽セレナード ハ短調K.388 (384b)は劇的な緊張感のある作品、オーボエ版はそこから連想できるのでしょう。Han de Vries(1941-阿蘭陀)は初耳(だったはず)1楽章 「Allegro di molto」弦楽をバックにオーボエが浮き立つ仕組み、朗々として素晴らしい緊張感とメリハリ、最高っす。劇的な旋律は名曲やなぁ。多国籍弦楽アンサンブルの技量も息の合ったもの。(9:00)第2楽章「Andante」ステキな緩徐楽章を聴いていると、ハーゲン弦楽四重奏よりウェットに表情豊かなことに気付きました。(4:03)第3楽章「Menuetto in canone - Trio in canone al roverscio」先のクラリネット五重奏の「メヌエット」とは大違いな厳しい表情、トリオの明るさはオーボエが浮き立ちます。(4:33)終楽章「Allegro」この楽章はBeethovenのピアノ協奏曲第3番ハ短調終楽章「Molto allegro」に似てませんか?ここも緊張感に充ちた変奏曲。(6:52)

 作品個性なのか、前作より濃密な集中力が際立つ演奏でした。

 ラストは誰も知っている「アイネ・ク」。たしか小学4年生の時、同級生の小笠原くん(お父さんは大学の教授だった)の家に遊びに行って、卓上ポータブルプレーヤーから流れた音楽に一発で痺れました。母親にねだって買ってもらった17cmLPはカール・ミュンヒンガー/シュトゥットガルト室内管弦楽団。シャンドール・ヴェーグ(Sandor Vegh, 1912ー1997洪牙利)の統率は颯爽として速めのテンポ、モダーン楽器使用してもスッキリとした洗練された響きでした。(5:39-5:55-2:00-3:16)音質はどれもリアルな鮮度を維持しておりました。

(2019年6月8日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi