Mozart クラリネット五重奏曲イ長調/
Brahms クラリネット五重奏曲ロ短調
(ウラジーミル・ソローキン(cl)/ダヴィッド・オイストラフ(v)/
ペーテル・ボンダレンコ(v)/ミハイル・テリアン(va)/
スヴャトスラフ・クヌシェヴィツキー(vc))


これはMozartを収録したCDデザイン Mozart

クラリネット五重奏曲イ長調 K.581

Brahms

クラリネット五重奏曲ロ短調 作品115

ウラジーミル・ソローキン(cl)/ダヴィッド・オイストラフ(v)/ペーテル・ボンダレンコ(v)/ミハイル・テリアン(va)/スヴャトスラフ・クヌシェヴィツキー(vc))

露西亜製怪しげな.mp3音源をネットより入手。1950年録音と表記(写真は類似のものを勝手にネットより拝借)

 David Oistrakh(1908ー1974旧ソヴィエット)”mp3 Collection”とやらCDR3枚分の音源をネットから入手したのは7−8年前?あまりに膨大な物量、情報不備+音質への疑念もあってほとんど聴いておりませんでした。その2枚目は室内楽中心、この著名なクラリネット作品の主役はVladimir Sorokin、この人の情報もネットになかなか探せないけれど、オイストラフとの共演が多く残されていくつかCD入手も可能のようです。youtubeでBrahmsは拝聴可能。旧ソヴィエット録音には泣かされることも多いけれど、これはまずまず、ちょいと肌理は粗いけれどちゃんと聴ける水準でした。モノラル録音、なんとなく自然な広がりも感じさせるもの。

 両曲とも甲乙付けがたいお気に入り中のお気に入り作品、落ち着いた諦念の風情を気に入って、季節もそれに相応しい時期を迎えました。ソローキンのクラリネットは、露西亜風?硬質にヴィヴラートたっぷりな色気サウンドを想像していたら、正統派素直にしっとりとした音色、低音から高音までスムースな技巧でした。豪華な弦楽陣を従えて”大きな”演奏でした。

 Mozart クラリネット五重奏曲イ長調 K.581は1789年晩年の作品、まっさらな諦観に溢れた作品。第1楽章「Allegro」は淡々としたクリラリネットの歩みに弦の表情はニュアンスたっぷり。テンポは中庸から心持ち速めに浮き立つような風情、オイストラフはちょっぴりポルタメント気味に甘い音色でした。(8:51)第2楽章「Larghetto」も端正生真面目なソロに弦の囁くような伴奏は極上。第1ヴァイオリン担当するオイストラフとの掛け合いは絶妙に存在感際立って、ソロと弦の間合いは陶酔するほど。(7:21) 第3楽章「Menuetto」はしっとり落ち着いて朗々と優雅、もうちょいとスタッカート気味にリズム感が欲しかったところ。弦の名人による中間部の暗転は絶品の哀しみでしょう。(7:06)第4楽章「Allegretto con Variation」は明るく快活な終楽章。このリズム感も少々”昔”を感じさせて、付点のリズムは少々重いかも。弦のみに表現される、ちょいと濃厚な表情豊かな陰影もありました(ヴィオラかな?)。Mozartは変奏曲の天才でっせ。名残惜しい詠嘆から快活なヴァイオリンの技巧+クラリネットの絡み合いは最高の締め括り。(9:12)

 Brahms クラリネット五重奏曲ロ短調 作品115こちら苦渋と後悔の念に充ちた苦甘い旋律たっぷり、先人への畏敬の念溢れる名曲です。第1楽章「Allegro」馴染みの中年の草臥れた後ろ姿を連想させる哀愁、この静かな激情はMozartとは大違い。フクザツ濃厚なる浪漫であります。名人たちの”大きな”個性はこちらの作品に適正を感じさせるもの。(11:45)第2楽章「Adagio」Brahmsにとっての”諦念”は、遠い過去を懐かしく、胸の痛みを感じつつ振り返る風情。ここはオイストラフのしっとり朗々と歌うヴァイオリンが主役でしょう。弦のたっぷりとした歌は陶酔は絶品!その海をクラリネットが静かに泳ぐ風情、掛け合いも絶品でっせ。(13:17)第3楽章「Andantino」は表題速度指示は別として、中間部の早足に走り去るところが”スケルツォ”なのでしょう。これもほとんどクラリネットとヴァイオリンの掛け合いが緊張感を保っているところ。(4:57)第4楽章「Con moto」は主題と5つの変奏で構成されMozartの姿を踏襲しております。シンプル清明華麗なるMozartとは違って、感極まる情熱が悲惨にフクザツに変遷するもの。やがて冒頭主題が寂しげに回帰して終わります。(8:04)音質はMozartよりほんのちょっぴり落ちました。

(2021年9月11日)

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written by wabisuke hayashi