三島フィルハーモニー演奏会(+駿河フィル)
〜または「ホルン吹くウルトラマン」



(1)〜(5) 吉村章弘/三島フィルハーモニー(2000年2月27日) * 柿田川ホーム開所式コンサート

(6)(7) 関谷弘志/駿河フィルハーモニー(1995年5月6日三島市民文化会館)
(8) 関谷弘志/駿河フィルハーモニー(1995年9月24日熱海市観光会館)

(9) 三石精一/駿河フィルハーモニー(1985年11月16日静岡市民文化会館)

Mikado Record  Horaboya-No.1  200円(郵送代〜送り手負担)

 怪しげなCD到着。(注文したわけでもないのに)取り出してみればウルトラマンがホルンを担当する、ますます怪しいジャケット・デザイン。もしかして(ウケ狙い)コスプレ管弦楽団か?そういえば、数日前にメールをいただいような記憶も有。

「@2000年の2月、特養老人ホームの開所式にそのロビーで演奏した録音です。まあ、嫌がらずに聴いてみて下さい。

ほとんどトラ無し、約40人の三島フィルの演奏、しかも劣悪な条件の会場、遠巻きに見守る聴衆の間には宴会の準備の給仕人が行き交っているのです。
これに敢然と立ち向かったぼくの真面目な指揮……というわけです。

曲は
   1.シュトラウス/皇帝円舞曲
   2.チャイコフスキー/眠れる森の美女〜ワルツ
   3.スッペ/軽騎兵序曲
   4.モーツアルト/フィガロの結婚序曲    です。

1と3はほとんど何もしてません。せめてちゃんと聞こえるようにという最低限の練習 で終わりました。ぼくの解釈としては60%位というところでしょうか。それでも、ちょっとした罠だけは仕掛けておきましたが…。

最も自信があるのは2です。仕掛けもいっぱいです。90%の出来です。最後のティンパニに終結直前の急激なクレッシェンドを要求したのですが、ここはぼくの思惑とは違う結果になりました。

これは現場を踏まねば分からないことだと思うのですが、クレッシェンドという言葉がいけなかったのです。「3拍目だけフォルテで」と言えば、たぶん満足のいく結果になったと思われます。トレモロで急にフォルテにすれば、どうしても自然にクレッシェンドになってしまうのですからね。クレッシェンドと言ってしまうと、どうしてもだんだん大きくというイメージがあり、急にといっても早めに大きくなってしまうようです。

さて、クレンペラーの演奏がどうしてあんなに木管が聞こえるのか? hayashiさん、知ってましたか。たまたま図書館で見つけたクレンペラーの本で読んだのですが、本当に他のパートをかなり押さえ込むのだというのです。それを読んでふっ切れたので、4については思いっきりそういう指示を出して演奏してみました。

結果は録音の通りです。

特別何かしたようには聞こえないんじゃないでしょうか。

しかし、これは「言うは易く行うは難し」でした。バランスをとりながら指示を変えていくのですが、フォルテと書いてあるのにピアノでとはなかなか言えるものではないのです。トランペットに至っては、ピアニッシモという指示を出したのですから…。

言い訳を書きましたが、御感想をお待ちしております。

ついでに入っている「青きドナウ」の下手なホルン・ソロは、僕が吹いております。お恥ずかしい。その「青きドナウ」以下の演奏は、トラ(弦)の入ったうちのオーケストラがプロの指揮者のもと、演奏会場で演奏しているまともなものです。

ジャケットも凝りました (^o^)」〜ウム、引用だけで一本原稿が出来ればホームページ更新も楽、でっせ・・・・というわけにもいかんか?


 まず、駿河フィルの「美しく青きドナウ」から。「下手なホルン・ソロは、僕が吹いております。お恥ずかしい」〜これはまったくの大ウソですね。豪快で太く、深い響きに断然自信と確信を感じさせます。(これは、聴かせることよりも、まず吹き手が気持ちよさそう)これ、演奏する歓びが伝わります。楽しげなワルツに聴き手のカラダも思わず揺れる。繊細なテンポ、リズムの変化が素晴らしい。

 「モルダウ」の木管と弦の繊細な響き、深みと奥行きを作り上げる(ホルンを初めとする)金管の見事さ。なにより、旋律に感じ入っている演奏家達の感動が伝わります。これは、ナマのアツさが間違いなく伝わって、骨太の感動があります。「ドナウ」冒頭では時に乱れるアンサンブルも、曲が進むほどまったくのノリノリ状態で、会場の空気はちゃんと伝わりましたよ。(三島文化会館の残響が快い)

 「魔笛」序曲のティンパニがハラに響くこと。関谷さんのリズムが今風で、歯切れがよいこと。熱海市観光会館は低音が響くのでしょうか。木管が気持ちよく歌っていて、やはりこのオーケストラ「アツいノリ」が身上ですか?どんどん歓びが吹き上がるような、楽しさいっぱいの演奏でした。

 三石さんの「セヴィリア」は、音質が少々ライヴすぎて音が拡散している雰囲気があります。冒頭辺りのホルンが音をひっくり返してしまうが、これで良いんです。ホルンは豪快に限る。(中間部も良いですよ)上記3曲に較べると音に鮮明さを欠くが、その分響きが溶け合っている感じもあって、指揮者の時に叩きつけるような(これまたアツい)迫力も悪くありません。

 これだけ弾けりゃ、文句なしのアンサンブルですよね。「燃える情熱的アンサンブル」〜如何ですか?


 さて問題の「柿田川ホーム・ライヴ」。もの凄いデッドな録音で、聴き慣れぬ特殊楽器の合いの手・・・と思ったら、給仕さんのビール瓶の音ですか?「ちょっとした罠だけは仕掛けておきました」〜んなこと言われても、ド・シロウトのワタシになにがわかろうか?いや、訳ワカラン。

 「皇帝円舞曲」は、テンポがめまぐるしく揺れて、その指示が徹底していること。リズムをキッチリ刻むことを徹底させていること。結果、少々真面目で重い?心持ちね。

 「美女のワルツ」〜これも拍子の指示が明確。(途中のタメ。これ意識してますね)弦の主旋律が気持ちよく歌っていること、フルートとホルンの音色が美しいこと。

 「軽騎兵」〜これ難しい曲ですよ、ちゃんと聴かせるのは。冒頭金管群が頑張っちゃいますね。少々、弦とのバランスばらばら?いえいえ、そんなこと些事でっせ。次々と場面(テンポもリズムも)変わっていくでしょ、それを完璧に演奏するのって、きっとたいへんでしょ?少々アンサンブル乱れますが、一生懸命さ「命」の演奏です。

 吉村さん入魂の「フィガロ」。曲が始まると、観客が思わず感極まって拍手!って、人気演歌歌手みたい。遅めのテンポ、細部を流さない決意が伝わる明快な演奏です。バランスに工夫された、とのこと。雑になったり、勢いに流されないていねいな演奏ぶりでした。

 もしかして、この名指揮者は全体に「重厚」なのかな?アマ・オーケストラとしての誠実さが、ひとつひとつの音を大切に確認すると、そう聞こえるものなのでしょうか。(2002年8月14日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi