Schubert 交響曲第8番ロ短調「未完成」D759
(カール・ミュンヒンガー/シュトゥットガルト放送交響楽団)
Schubert
交響曲第8番ロ短調「未完成」D759
カール・ミュンヒンガー/シュトゥットガルト放送交響楽団
Mozart
クラリネット協奏曲イ長調 K622
ペンツ(cl)/ミヒャエル・ギーレン/バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団
VIENNA CLASSICS VIE-11 1985/95年頃録音 @250で購入
Intercord原盤。この辺りの録音は珍しくて注目ですね。それに吸収もと本家EMIよりずっと音質がよろしい。ミュンヒンガーは、一部ウィーン・フィルとの録音が存在するものの、ほとんどシュトゥットガルトでの録音が多いのはご存じの通り。でも、放送響との録音があったとは知りませんでした。第9番は、たしかクラシック・フィルハーモニーとだったはず。
「未完成」は浪漫的かつ深淵で美しい旋律を誇る名曲だと思うけれど、理想的な演奏というのにはなかなか出会いませんね。先日聴いたアーノンクール/ウィーン交響楽団の演奏は、妙に響きが汚い。(わざとそうしているみたい)このミュンヒンガーはどうかというと、非常に素直でていねいな仕上げが特徴です。昔のバロックでは、ゴツゴツとしたスタイルも聴かれたが、晩年はすっかり軽やかとなって大人しくなったのでしょうか。
オーケストラの響きが明るくて、アンサンブルにも文句なし。静かで美しい演奏〜まずは合格点あげましょう。でも「震えるほど感動」するかといえば、そうでもない。まず、少々弱いというか、チカラ強さとか(全編である必要はないが)豪快さに不足します。低音が押さえ気味なのは、意識してのことなのか、それとも録音の問題なのか。
それとSchubert とといえば「歌」が欲しいところ。ミュンヒンガーは少々真面目すぎというか、けっしてガサツではないが色気はもっとあっても良いのでは?試しにワルター/ニューヨーク・フィル(1958年)を聴いてみたら、出足のところ少々オーケストラの音色に違和感を感じつつ曲が進んでいくと、その旋律の節回しというか、絶妙のバランス感覚と呼吸の深さに夢見心地。(そんな有名な録音に心酔してちゃいけないか)
でも、シュトゥットガルト放響の木管は美しいし、とくに第2楽章の自然体には魅力充分でした。静謐さは貴重です。
Mozart は賛否両論だろうなぁ。(それにしてもムリヤリな曲の組み合わせ)これほどそっけなく、しかも流麗な演奏はかつて聴いたことがない。上手い、速い、美しい、こだわりがない、夾雑物がない、そんな演奏なんです。
ギーレンのオーケストラは、アンサンブル最高水準。ぴったりと合った縦線、軽やかにハズむようなリズム、細部まで明快、曖昧さ微塵もなくて、細かいニュアンスもちゃんとある。「なんか文句ある?」とでも言いたげな、自信に満ちた軽快な足取り。クラリネットもまったく同じで、テクニック完璧(ちなみにバセット・クラリネットとなっております)、とくに低音の豊かな音色は魅力的。
でも、これかつてのMozart 〜例えばウラッハ辺り〜とは、もうまったく違っていて、これほど現代的な響きとは初めて出会うような気がしました。ワタシ個人的にはビーチャム/ブライマーを標準としているが、なんかもっとあったかで、ふくよかな音楽だったはず。もの凄い美人でスタイルも良いし、活動的だし頭も良くて配慮もある、でもユーモアのセンスに欠けて、なによりワタシに対する態度が冷たい女性のような、そんな演奏か。(なんだ、もてないだけか)
ペンツのクラリネットは、高音になると少々心がこもらない印象があって、こういうタイプの若手は最近よくいるんです。(ARTE NOVA
の他のCDでも同じような印象を持ったことがあった)少々違和感を感じるのは、ワタシの石頭のせいなんでしょう。嫌いじゃありません。世の中のMozart がすべてこうなってしまうとマズいが、美しさは抜群です。第2楽章の、抑えた弱音の魅力も並々ではない。
ひとつ、新時代のMozart に対するご意見を聴かせていただきたい。 (2002年2月15日)
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