マイケル・レビン(v) ヴァイオリン名曲集
Saint-Sae”ns
Sarasate
Grigoras Dinicu
Paganiin-Kreisler編
Elgar
Brandl-Kreisler編
Rimsky-Korsakov
Chopin
Monpou
Scriabin Engel
Prokofiev
Suk マイケル・レビン(v) EMI 6790602-6 Michael Rabin(1936-1972亜米利加)は夭折した天才ヴァイリニスト。1960年台には録音もコンサートもできないような状態だったらしい。残された記録は録音状態もよろしく、たっぷり艷やかな音色を堪能できるものでした。これはEMI6枚セットのラスト、技巧発揮すべき小品を集めた一枚。ぼちぼち演奏活動できなくなる寸前の記録かも。 Saint-Sae”nsの「序奏とロンド・カプリチオーソ」との出会いは中学生時代。「ツィゴイネルワイゼン」が文部省選定の教科書音楽であって、当時17cmLPの裏面に収録(母親に買ってもらったのはエリック・フリードマンと記憶)泥臭い旋律に対して、こちらなんど劇的に気品のある旋律!に驚いた記憶がありました。ハバネラ (アヴァネーズ) ホ長調は(11:10)キューバ発のエキゾチックなリズム、Bizetのカルメン「恋は野の鳥」が有名でしょう。ここでもなんとも躊躇いがちな旋律リズムが洗練されたもの。1956年の音質はさすがにちょっと昔風だけど上品に美しいヴァイオリン、「序奏とロンド・カプリチオーソ」は(9:35)いかにも圧巻の技巧必須な難曲と思うけれど、旋律の多彩さ、美しさ前面の名曲です。 これは小品+アンコール・ピース風なものを揃えて、以下皆同じ感想になるけれど、マイケル・レビンの曖昧さ一切ない自在な技巧の冴えをたっぷり堪能できます。ヤッシャ・ハイフェッツに感じた一種独特のイヤラしい個性に非ず(←そこが魅力でもある)すっきりとした素直な歌が個性でしょう。ガリエラはこの1曲のみ担当、レナードの父、フェリックス・スラットキンのオーケストラも抜群に上手い。 ちょっぴりSarasateの悪口を書いたけれど、ほんの一部の作品しか聴いたことはなくて、「サパテアード」(3:28)「ハバネラ」(4:16)はわかりやすい、大衆的な歌謡性に溢れております。あちこち超絶技巧を仕込んで目まぐるしくリズムは躍動して、同じベースの「ハバネラ」もぐっと泥臭いもの。そして名曲中の名曲「ツィゴイネルワイゼン」(9:21)あざとさ、エッチさもここ迄徹底すれば名曲を極める!とはこのことか。哀愁と泣きの旋律は”いかにも見世物!”的テクニック披瀝を伴って、レビンは美しく、気品を保って軽々とクリアしております。 著名な「ホラ・スタッカート」(1:51)「無窮動」(3:14)は圧巻の快速テクニック!細かい音形は粒が揃って美しいこと。「気まぐれな女 」(4:00)に於ける落ち着いたユーモア風情漂う歌+細かい技術を要求され、「オールド・リフレイン」は低音を響かせてたっぷり濃厚に甘く懐かしい。(3:57)ハリウッドのオーケストラも雰囲気たっぷり。重音のテクニックも自然です。「くまんばちの飛行」(1:16)はグリーン・ホーネットのテーマ曲(ブルース・リー参加。1:16)でっせ。蜂の羽音も不気味に力強く刻まれております。 Chopin(4:00)Monpou(3:57)Scriabin(1:41)には編曲者のクレジットなし、いずれ纏綿と甘く、しっとり静かにデリケート、ある時はエキゾチック、ユーモラス快活に懐かしいもの。Leon Pommers(?-2001亜米利加)は米Capital辺り、伴奏ものに数多く録音して、ソロを引き立てて控えめな存在でした。Engel「シー・シェル」とは初耳作曲家作品、夢見るようにくすんだ思い出風。弱音の扱いがデリケートそのもの。(3:14) Prokofievは誰でも知っている快活に怪しい行進曲。(1:33)ラストSukの「ブルレスカ」も初耳作品、快速剽軽な細かい音形連続はユーモラス、あっという間に終わりました。(2:53) (2020年7月26日)
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