Mozart メヌエットと舞曲集(3)
(タラス・クリサ/スロヴァーク・シンフォニエッタ)


BRILLIANT 92627/20 2002年録音  23枚組全諸経費込みで3,500円程でオークション入札したウチの1枚 Mozart

6つのメヌエットK130a (164)(1772年)
4つのコントルダンス ヘ長調K.250a(101)(1776年)
4つのコントルダンス K.271c(267) (1777年)
3つのメヌエット K.363 (1780年)
5つのメヌエット K.448a(461) (1784年)
6つのコントルダンス K.448b(462) (1783年)
コントルダンスを伴う2つのメヌエット(2つのカドリーユ) K.448c(463) (1783年)
6つのドイツ舞曲 K.509 (1787年)

タラス・クリサ/スロヴァーク・シンフォニエッタ

BRILLIANT 92627/20 2002年(ジリナ)録音  23枚組全諸経費込みで3,500円程でオークション入札したウチの1枚

 1990年に新星堂より「Mozart 1000」シリーズが発売され、ハンス・グラーフ/モーツァルテウム管による「舞曲とメヌエット」「行進曲と舞曲」2枚分を入手し、ずっと楽しんでまいりました。意外と入手は難しい作品群だけれど、21世紀にはこんな格安で、しかもほぼ全曲200曲ほどCD6枚分、新しい録音で揃うことになるなんて・・・もとより演奏家に特別な思い入れあるべき作品でもなく、中途半端な存在になってしまったグラーフ盤はオークションへ・・・@200だったら無事入札ありました。良かった。

 こんな起承転結のはっきりしない、気軽お手軽にいつもお部屋に流れている〜風情に似合っている作品群。まとめて聴くべきものでもないでしょう。タラス・クリサ/スロヴァーク・シンフォニエッタとは初耳団体だけれど、それなり整った現代楽器によるアンサンブルとなります。専門の方によると、打楽器が省かれたりして作品の持ち味を損なっているものもあるらしい(残念だ/既に新全集の楽譜が出回っていた時期なのに)・・・、演奏はもっと溌剌ヴィヴィッドであるべき、とのネット上の厳しい評価も拝見したが、音楽はまず”音として”聴かれることが第一歩ですから。録音も良好。これは3枚目にあたっていて、特別な意味合いなくたまたま取り出したCD。

 2007年6月「音楽日誌」にて、自らのコメントを発見〜

もちろん全部は聴けておりません。行進曲もそうなんだけど、一種の機会音楽であり、がっちり集中して聴くような作品ではないと思います。折に触れ、”摘み聴き”してその屈託ない旋律を愉しむべき音楽か。立派な現代楽器によるアンサンブルだけれど、最新の古楽器研究の成果方向でもなく、素朴さに溢れた”舞曲”に焦点を当てたものでもない、フツウに優秀な演奏でしょう。
・・・なるほど。

 6つのメヌエットK130a (164)は、各々2分半ほどの短くもノンビリ牧歌的な旋律が続き、フルートやトランペット(鋭くない響き)、オーボエも入って多彩です。トリオは必ずテンポを落としてフルートが活躍しました。4つのコントルダンス ヘ長調K.250a(101)にはホルンも加わって、奥行きが出ているのは(最近の研究によると)もうすこし後年の作曲であったという成熟なのでしょう。コントルダンスとは田園舞曲と日本語訳(これはなかなか粋ではないか)されるそうで、テンポ曲想とも変化が多彩です。ちゃんとしたセレナード風にまとまった作品。4つのコントルダンス K.271c(267)も同様、ホルンの活躍がとても楽しい。第2番 変ホ長調は、著名なる嬉遊曲第15番 変ロ長調K.287(271h)の第2楽章変奏曲に一脈通じる・・・ああ、同時期の作品なんですね。

 3つのメヌエット K.363 (1780年)にはティンパニも加わって、いっそう作品に深みと迫力を増しております。3曲で3分ほどだけれど。5つのメヌエット K.448a(461) (1784年)は、既にウィーン時代に入った作品であり、颯爽とした曲想が独立した作品として聴いても、間違いなく美しい名曲。未完の第6曲目ニ長調は収録されません。

 6つのコントルダンス K.448b(462) (1783年)も前曲と同時期と類推される熟達した躍動作風です。気軽な作品なのに、心奪われるような美しい旋律が惜しげもなく使われております。コントルダンスを伴う2つのメヌエット(2つのカドリーユ) K.448c(463) (1783年)は優雅な旋律が2曲連続して、熱気溢れた演奏会のクール・ダウンなアンコールに如何か。2曲目変ロ長調にはテンポの変化と暗転もちゃんとあります。

 ラスト、6つのドイツ舞曲 K.509 (1787年) ←リンク先の逸話はもの凄いですね。瞬時にして一時間で仕上げてしまう、まさに天才のワザ。出来上がった作品には一点の曇りもありません。

(2008年6月20日)


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written by wabisuke hayashi