Medenlssohn ヴァイオリン協奏曲ホ短調(モーリーン・スミス(v))
Tchaikovksy ヴァイオリン協奏曲ニ長調(ハイマン・ブレス(v))


World Record Club  T 680World Record Club ST.728 Medenlssohn

ヴァイオリン協奏曲ホ短調

モーリーン・スミス(v)

Tchaikovksy

ヴァイオリン協奏曲ニ長調

ハイマン・ブレス(v)

エイドリアン・ボウルト/ロンドン・フィルハーモニー

1960年代の録音か?

 ネットより珍しい音源を入手いたしました。Maureen Smithは英国の女流、詳細年齢年等不明、母国では著名な存在らしい。オリジナルLPは「イタリア」との組み合わせ(World Record Club T 680)Hyman Bress(1931ー1995南阿弗利加→加奈陀)こちらはツィゴイネルワイゼンが組み合わされていたようです(World Record Club ST.728)。おそらくは1960年代の録音、鮮明な音質、ボウルトによる盤石なバックを得て、屈指のヴァイオリン名曲は両作品とも思わぬ立派な完成度に驚きました。

 Medenlssohnは Allegro molt Appassionato-Andante-Allegretto non troppo〜Allegro molt Vivace 途切れなく続く、哀愁の可憐な名曲。テンポは抑制して前のめりに走らず、時にさらにテンポを落としてしっとり、ウェットな泣きの音色にたっぷり、朗々と歌う始まり(第1楽章カデンツァ辺りにその個性は顕著)。技術のキレを前面に出さず、ていねいなフレージングに落ち着いた気品が漂うもの。第2楽章は抑制して淡々とした味わいに甘さ控えめ、ボウルトの繊細デリケートなサポートぶりが際立つもの。(ここまで22:05)終楽章は名残惜しい哀愁から、軽やかなヴァイオリン・ソロとフルートがユニゾンして華やかに走り出しました。華麗に上品にけっして急がず力まず、優雅な風情を崩さず技巧の冴えに不足はないけれど、際立たない。ボウルトのオーケストラに厚みがあって有機的なサウンドを作り上げております。(7:09)少々馴染み過ぎた名曲に久々、新鮮な感銘をいただきました。

 Tchaikovskyはいかにも露西亜風、アクの強い旋律がたっぷり歌う華やかな作品。第1楽章「Allegro moderato〜moderato assai」冒頭から管弦楽は重心の低い立派なもの。前曲のようなしっとりとした音色に非ず、こちらやや神経質に細かいヴィヴラートは揺れ動いて線が細く、前のめりに落ち着かない。技巧のキレ前面!いかにも指が回りますよ!的ややクサい節回しも決まっておりました(とくにカデンツァにその個性は顕著)(16:20)第2楽章「Canzonetta Andante」は途方に暮れたような憂愁の旋律、ソロは弱音に抑制して蠱惑的な音色、ボウルトの立派に奥行きある管弦楽との対比も際立ちます。相変わらずの神経質なヴィヴラート路線はちょっぴり走り気味。第3楽章「Allegro Vivacissimo」はモウレツに技巧を披歴して快速パッセージは突っ走りました。路線としてはハイフェッツだけれど、アクロバティックに過ぎて落ち着きがない、やや技巧が鼻につく感じ。(15:15)

 各々個性の違いを堪能いたしました。

(2022年10月29日)

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written by wabisuke hayashi