Masterpieces in Miniture
(マイケル・ティルソン・トーマス/
サンフランシスコ交響楽団)
Litolff
交響的協奏曲第4番より「スケルツォ」(ユジャ・ワン(p))
Mahler
交響曲第1番ニ長調より「花の章」
Faure
パヴァーヌ
Debussy
レントより遅く
Schubert
劇音楽「ロザムンデ」より間奏曲第3番
Ives
コンコード・シンフォニーより「オルコッツ」
Rachmanov
ヴォカリーズ
Dovora'k
「伝説」
Sibelius
悲しきワルツ
Delius
春初めてのカッコウの声を聴いて
Grieg
2つの悲しい旋律より「過ぎた春」
Delives
バレエ音楽「シルヴィア」より「バッカスの行列」
マイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ交響楽団
SFS SFS0060 2010ー2014年ライヴ(拍手の収録なし)
ここ2ヶ月体調崩して、音楽にもあまり集中できておりません。重い作品は敬遠して、ちょっと気軽に聴ける小品集を取り出しました。Ivesを除いては馴染みのお気に入りの作品旋律ばかり揃えて、Michael Tilson Thomas(1944ー亜米利加)サンフランシスコ交響楽団長期音楽監督在任中(1995ー2020年)の記録、ほとんど静謐に哀愁の旋律を集めて、音質も演奏水準も極めて高いもの。
Litolff(1818-1891英国→仏蘭西?)はファンキーにノリノリの作品、クリフォード・カーゾン辺りで有名になったのでしょうか。ジョン・オグドンも録音しているから英国系ピアニストには必須のレパートリーなのでしょう。若手現役では注目すべき存在である王 羽佳(1987ー中国)は水際立った鮮度に華やかなテクニック。(7:36)ここ最近録音機会も増えたMahlerの交響曲第1番ニ長調(初稿)に入っていた「花の章」はトランペットによる爽やかに静謐、夢見るように甘い旋律がしっとり歌う名曲。全曲録音も定評があって、これは含まれなかったと記憶します。(8:27)
Faureはなんとも暗鬱、切なく遣る瀬ない風情が呟きます。弦のピチカートに乗ってフルートの低音が絶品、その旋律を弦と木管が引き継いて徐々に情感が高まっても静謐が続きました。(6:26)Debussyはツィンバロンの妖しい音色がセクシーに魅惑。肝心のツィンバロンが聴き馴染んだ(期待される)音色よりちょっと遠く、軽いのが残念だけど、ニュアンスたっぷりに揺れて、デリケートな吐息が堪能できました。(6:25)
誰も知っているお馴染みのSchubertの歌謡的旋律は懐かしく控えめ、中間部も寂しげに、ゆったりていねいな弱音に仕上げております。(6:56)Ivesの作品は初耳、乃至聴いていたとしても旋律に記憶は残っておりませんでした。この辺りはM.T.トーマスが若い頃からの大切なレパートリーでしょう。思わぬ幻想的に平易な旋律が、やがて金管の不協和音とともに騒がしく競り上がって・・・破壊的に至る前に名残惜しい平和が戻りました。ラストは輝かしい敬虔な讃歌となります。(6:12)
Rachmninovは絶品の無言歌。ここでは声の入らぬ管弦楽版、さらりと速めのテンポに、切ない哀しみが小走りに過ぎ去りました。(5:25)Dvora'kの哀しい物語が想像できる陰影深い哀愁。さらりと揺れるようにわかりやすい、いつもの民族的に多彩な絶品旋律を堪能できます。(6:12)Sibeliusは絶望的に寂しいワルツ。これは死の床にある母親が死神と踊る場面だそうです。(5:30)
Deliusは日本ではちっとも人気が出ないけれど、日本人好みの侘び寂び、諦念を深く感じ取れる絶品の鳥の声。涼し気な英国の高原の空気、遠い目に昔を振り返るような最高の名曲のひとつ。(7:31)Griegも人生を後ろ向きに振り返るため息ばかり、涙なしには聴けぬ名曲。絶品の弦、亜米利加西海岸のオーケストラにもこんなクールなサウンドが可能なのですね。(5:47)ラストを締めくくるDelivesは一転、金管のファンファーレから始まる勇壮かつ華やかな作品。「威風堂々」にも似て、快活に元気なフィナーレでした。(6:01ラストのみ盛大なる拍手入り) (2023年6月24日)
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