Mahler 交響詩「葬礼」Totenfeier(ヘスス・ロペス=コボス)/
Bach 管弦楽組曲(Mahler編/ペーター・ルジツカ)/
ベルリン放送交響楽団


KochSchwann Mahler

交響詩「葬礼」Totenfeier(交響曲第2番ハ短調「復活」第1楽章初稿1888年)

ヘスス・ロペス=コボス/ベルリン放送交響楽団/(1983年12月初演ライヴ)

Bach (Mahler 編)

管弦楽組曲(1909年)

ペーター・ルジツカ/ベルリン放送交響楽団/ペーター・シュヴァルツ(cem)(1975年)

KochSchwann 3-1204-2

 自分にとっては馴染みの存在も、いざネットで検索を掛けてみると残念(このKochSchwann盤は)既に現役ではない・・・とのこと。交響詩「葬礼」はブーレーズを先頭に現役音源が増えてまいりました。「管弦楽組曲」はロジェストヴェンスキーは既に入手難しく、リッカルド・シャイー、サロネンの録音があったはず。Jesus Lopez-Cobos(1940ー2018西班牙)は日本での人気さておき、ウィーンにて名伯楽ハンス・スワロフスキーに師事、シンシナティ交響楽団首席指揮者(在任1986-2000)として知られているけれど、オペラの人でもありました。これは「葬礼」初演の記録らしい。当時ベルリン・ドイツ・オペラの総監督でした。オーケストラは現在のベルリン・ドイツ交響楽団。

 著名な交響曲第2番ハ短調「復活」の第1楽章初稿である交響詩「葬礼」(Totenfeier)詳細情報はネットに委ねて、ド・シロウトはあちこちよう知った旋律が違う楽器やら、組み合わせに響く新鮮な違いを愉しみましょう。演奏そのものは初演の緊張感からか、馴染んでいない楽譜に戸惑ったのか、”やや粗い”アンサンブルはいかにも初演ライヴ。もしかしたら作品そのものが完成された「復活」より”粗野な”響きだったのかもしれません。ややオン・マイク、近接音が多い音質もリアルな熱気、アンサンブル云々される方もいらっしゃるかも、こちらそんなことは気にしない外野のお気楽リスナーは貴重な記録をたっぷり堪能いたしました。(24:27)

 Bachのほうはロジェストヴェンスキーを先に聴いていて、その異形な”大きさ”に驚いておりました。これってフルトヴェングラーとか(彼の録音ってありましたっけ?)そんな感じ。19世紀-20世紀前半におけるBachってこんな感じの演奏だったのでしょう。楽器編成はオリジナル?但し、弦楽器はたっぷりフルオーケストラ人数、ものすごく壮麗なスケールを誇って、しかも著名な第2番ロ短調、第3番ニ長調エエとこ取り!

(1)第2番ロ短調「序曲」フルート+弦楽はオリジナルだけれど通奏低音はオルガン、朗々と柄が大きい!(9:37)
(2)第2番ロ短調「Rondo-Badinerie-Rondo」これもオリジナル楽器編成+オルガン。第2番のラスト「Badinerie」(ジョーダン?)でいきなり締め括りかと思ったら、再びしっとり「Rondo」戻ってくるといった趣向です。(3:14)
(3)第3番ニ長調「Aria」。誰でも知っている、きっとMahlerの時代でも一番人気だったであろう「G線上のアリア」。オリジナル通り弦のみって、これだけしっとり浪漫に歌って(おそらく細部指示詳細)悠々と響いて静謐なところ。(6:41)
(4)第3番ニ長調「Gavotte」これもオリジナル、って、結局オルガンさておき全部元のままの楽器選定+弦の厚みを増して、楽想指示を詳細にして”大きな”音楽に仕上げているのですね。もっとも賑々しいところをラストに持っていくるのがMahlerの狙いだったのでしょう。(4:13)

 Peter Ruzicka (1948-独逸?)って作曲家らしい。懐かしいPeter Schwarz(1925ー1998)はバンベルク交響楽団のチェリスト→札幌交響楽団の指揮者へ(1970-1975在任)この人の演奏会は二度ほど行ってまっせ。きっとLP化する時に「葬礼」だけでは尺が足らんので、Mahler縁の音源を探して組み合わせたのでしょう。なかなか粋な、意欲的なプロデューサーでっせ。Koch Schwannはもう活動しないのかも。残念。

(2019年5月12日)

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written by wabisuke hayashi