Mahler 交響曲第9番ニ長調
(レイフ・セーゲルスタム/マルメ交響楽団/
2010年ストックホルム・ライヴ)


これはネットよりライヴ音源入手 Mahler

交響曲第9番ニ長調

レイフ・セーゲルスタム/マルメ交響楽団

2010年ストックホルム・ライヴ(ネットよりライヴ音源入手)

 Leif Segerstam(1944ー2024芬蘭土)は残念、今年亡くなりました。別途デンマーク放送交響楽団との全集録音を残して、これは別のライヴ音源。厭世と諦念溢れる名曲、瑞典南部の36万ほどの都市マルメにあるオーケストラへの客演となります。音質は直接音中心に極めて良好、ライブでもアンサンブルの精密さ、厚みは立派なもの。この時、ストックホルムでMahler全曲演奏されたらしく、種々あちこちのオーケストラ、指揮者が担当しておりました。(例えば第2番「復活」はギルバート・キャプラン)四管編成に+ピッコロは独立、ティンパニは二人、打楽器は別途7種、更にハープが入る大編成。

 第1楽章「Andante comodo」はテンポの遅さと入念な表情付けが顕著な個性。吐息のような弦と管によるシンプル旋律に、ゆらゆらと呼応する低弦は「大地の歌」のオリエンタル風情を連想させ、やがて「生のテーマ」がたっぷりのタメを伴って絶叫します。そして「死のテーマ」がぐっと控えめに登場して、これが繰り返されるとティンパニ(この存在感が際立つ)やバス・クラリネットがしっかり絶叫して怪しく雄弁。「生」と「死」が繰り返され、テンポは揺れ動いても粘着質な感じはありません。ホルンが浮き立ってよく歌うけれど、他の管楽器の存在感も各々の存在をしっかり主張します。響きは洗練されて、濁りはありません。(31:34)

 第2楽章「Im Tempo eines gemachlichen Landlers. Etwas tappisch und sehr derb(緩やかなレントラー風のテンポで、いくぶん歩くように、そして、きわめて粗野に)」もユーモラスにノンビリとしたファゴットとクラリネットの始まりからテンポは遅め。弦による落ち着いたレントラーは各パートの分離、存在感はクリアに曖昧さはない。じっくりかっちりとしたリズムを刻んでアクセントしっかり、テンポは微妙に動いて時に走ります。ていねいな細部描きこみはどこかクール。瑞典南部のオーケストラは意外なほど技量に余裕があって、滅茶苦茶上手くはないけれど充分な厚みと重みを感じさせるサウンドでした。(17:50)

 第3楽章「Rondo-Burleske: Allegro assai. Sehr trotzig(きわめて反抗的に)」ここは噛み締めるように明晰、着実な歩みは「反抗的」ではない端正に一歩引いて冷静な感じ。途中アンサンブルやリズムはちょっと乱れますね。やや軽量な響き、もっと強いアクセントやキレ、爆発はほしいところだけれどラストはかなりの熱が入ってテンポ・アップが決まっておりました。(15:39)

 第4楽章「Adagio. Sehr langsam und noch zuruckhaltend(非常にゆっくりと、抑えて)」フィナーレも粘着質に重くもない。万感胸に迫る弦のしっとり諄々とした節回し、じっくり慌てぬ着実な表現から、管楽器が慎重に参入してあくまで慎重に丁重神妙に息の長い歩みでした。ラスト「生のテーマ」にはたっぷりの感銘を呼んで、やがて消えゆくようにデリケートなラストを迎えました。諦念と諦観を感じさせる名曲をたっぷり堪能いたしました。(28:01/各楽章間、ラスト拍手含)

(2024年12月7日)

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written by wabisuke hayashi