Berg 「ルル」組曲/
Scho"nberg 室内交響曲第2番/Hindemith ヴァイオリン・ソナタ



PILZ  160 274 Berg

「ルル」組曲(歌劇「ルル」より交響的小品)

マーガ/ニュルンベルグ交響楽団/ソプラノ表記なし

Scho"nberg

室内交響曲第2番 作品38

アドルフ/フィルハーモニア・スラヴォニカ

Hindemith

ヴァイオリン・ソナタ ホ長調(1935年)

ツヴィッカー(v)/ゴールドマン(p)

PILZ  160 274  録音情報不明 880円にて購入

 このCDはおそらく1990年代初頭に札幌で購入したものだから、長い付き合いだ・・・というか、珍しいCDになってしまいました。寄せ集め選曲がややハズしているようでもあり、アドルフ、ゴールドマン辺りは「匿名」であることはほぼ確定しているので、録音情報はもちろん真の演奏家の特定も不能。ワタシはScho"nbergの室内交響曲第1番 作品9が(子供時代からの)お気に入りでして、じゃ第2番はどんな作品なんだろう?と、探したのがこのCD。(ネットで探しても)驚くほど録音は少ないですよね。(手許にはもちろん、この一枚しか存在しない。インバル盤が入手可能か)

 まずBerg「ルル」組曲〜陰惨な筋のオペラからの「抜粋」みたいなもでしょうか?
第1楽章 Ronde Andante(Introduzione)-Hymne.Sostenuto  シェーン博士の息子アルヴァのルル賛歌
第2楽章 Osinato「オスティナート」 第2幕ルルの逮捕、拘留、脱獄
第3楽章 Lied der Lulu Comodo「ルルの歌」コロラトゥーラのアリア(このCDでは歌手の表記なし)
第4楽章 Variationen Moderato(Grandioso-Grazioso-Funebre-Affettuoso-Thema)「変奏曲」
第5楽章 Adagio Sostenuto-Lento-Grave ロンドンで娼婦に堕ちているルルが切り裂きジャックに殺される
(サイトで検索して勝手に抜粋引用、ごめんなさい)1934年エーリヒ・クライバーにより初演。

 全24分。このCDにはトラック分けなし。日本では馴染みのない指揮者、オーケストラだけど、妖しい甘美な官能と退廃に溢れた作品を堪能できます。木管各3本にサキソフォーンが入っているのがこの時代(カバレット音楽)特有の気怠さを出しているのかな?ヴィヴラフォンもゆったりと幻想的。ハープ低音の効果的な使い方はMahler を連想させ、それは爛熟しきって行き着くところまで来た、という麻薬のような世界か。

 目の覚めるような・・とまでは言わぬが、かなり鮮明な録音。難曲なんだろうがアンサンブルやら、全体構成の破綻はなくて、きちんと全曲楽しめます。ホルンの上下激しい旋律の動き、トランペットの鋭い叫びなど、無難にこなしております。弦の濃密な響きにも文句はない。ソプラノは神経質になり過ぎず、叫び過ぎず、かなり朗々と明快な歌声。「変奏曲」〜ラストの巨魁な響き〜全体として大きな楽器編成なのに、凝縮した印象を与える作品中異色でした。

 Scho"nbergもなんと美しい!(1940年ニューヨーク初演)「Adagio」「Con fuoco」の2楽章構成。これも時代の暗鬱さ、むせ返るような脂粉を感じさせる作品なのだろうが、やや生真面目っぽいというか、演奏が(上記Bergより)少々素っ気ないのでしょうか。第2楽章は躍動感にも色気にもやや足りないというか、オーケストラの切れ味が欲しいところです。しかし、作品を知る上では充分な音質と演奏水準。

 Hindemithはヴァイオリン・ソナタを4曲残しておりますが、これは2楽章で1936年に初演されたもの。わずか9分ほど。上記2曲とは関連が薄そうだけれど、同時代の音楽という趣旨かな?リリカルでわかりやすい旋律で、ツヴィッカー(この人実在ですか?)の表現もていねいでした。しっかりとした”芯”を感じさせる、やや濃厚でしっかりとした技巧。(2005年1月14日)


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written by wabisuke hayashi