Kuhlau フルート五重奏曲第1番ニ長調/第2番ホ長調/第3番イ長調 作品51
(エイヴィン・ラーフン(fl)他)


NAXOS 8.553303 Kuhlau 作品51

フルート五重奏曲第1番ニ長調 作品51/1
フルート五重奏曲第2番ホ長調 作品51/2
フルート五重奏曲第3番イ長調 作品51/3

エイヴィン・ラーフン(Eyvind Rafn/fl)/キム・シェーグレン(Kim Sjogren/v)/ビャルネ・ボイエ・ラスムッセン(Bjarne Boye Rasmussen/va)、ゲオルグ・スヴェンセン・アンデルセン(Georg Svendsen Andersen/va)/ラーシュ・ホルム・ヨハンセン(Lars Holm Johansen/vc)

NAXOS 8.553303 1985年

 Friedrich Kuhlau(1786-1832)は北独逸出身〜デンマークに移住した作曲とのこと。Beethoven (1767-)Schubert (1797-)の間、Weber(1786-)と同い年だから初期浪漫派なのでしょうか。Beeやんは耳に疾患があったけれど、彼は子供の頃の事故により隻眼であった由。このCDは入手経緯の記憶もなくて、いずれ1990年台LP→CDに切り替えた頃、NAXOSの意欲的品揃えに感心して、幅広く音楽を拝聴しましょう〜そんな謙虚な気持ちに溢れていた若い日の入手だったのでしょう。収録はデンマーク、演奏者も地元の方々と類推、作曲家、演奏者とも知名度云々なんのその。録音年代的に初期NAXOSか、他のレーベル音源を買い取ったものでしょう。

 彼はフルートを愛し、数多くの作品を残したらしい。この類の室内楽だったら、やはり我らがMozart !なんだろうな、売れ筋は。こちら3曲とも4楽章制各々二十数分に及ぶ規模を誇って、ヴィオラ二挺は響きに厚みとスケールを加えております。旋律は平易かつ多彩、おそらくはフルート愛好家にとっては欠くべからざる魅力ある存在〜でも、演奏機会、一般の音楽愛好家が耳にすることも少ないのかな?ワタシもぼんやり収録棚を眺めて、ようやく存在を思い出したくらいですから。

 第1番ニ長調第1楽章「Allegro」まるで”暖かい上機嫌Brahms ”みたいな開始から、すぐにWeber風躍動がやってまいりました。平易かつ軽快な旋律に”陰”が時より顔を出すのはパターンみたいですね。第2楽章「Menuetto: Allegro con spirito」の自信に溢れたリズムと歩み(弦)、ちょっと不安げなフルートが絡んで躍動いたします。第3楽章「Adagio, ma non tanto」はSchubert を連想させる優雅静謐な旋律が瞑想的、それはヴァイオリン・ソロ〜フルートに受け継がれました。終楽章「Finale: Allegro assai」は春の目覚めのように辺りを探りつつ、徐々に喜び(のびのびと晴れやかなフルート)が高まっていく・・・全曲で27:53。

 第2番ホ長調。第1楽章荘厳に暖かい序奏「Adagio」開始〜ほの暗い旋律がリズミカルに躍動します。ホ長調?全編を覆う寂しげな風情は魅力的。第2楽章「Menuetto: Allegro assai」は古典派の牧歌的風情から離れ、不安げなスケルツォのリズムへ。第3楽章「Andnte」の優雅に落ち着いた風情、終楽章「Finale: Allegro」の劇的な旋律リズムは明暗変化に富んで、激情を感じさせます。ほとんど協奏曲を思わせるほど、フルートの活躍は顕著、Beethoven のテイストにWeberの率直さを加えたような28:17の大作也。名曲。

 第3番イ長調第1楽章「Allegro con fuoco」は早いテンポの三拍子なんですね。ここでものびのびとしたソロは剽軽な出足から、時に寂しげな風情が顔を出す変化ワザ有。時代が下ってBeeやんより親しみやすい、わかりやすい旋律頻出します。第2楽章「egro assai quasi presto」もわかりやすい”哀愁のワルツ”〜弦のピチカートに乗ってフルートは自在に歌います。ここも陰影豊か、わずか3:05。第3楽章「Adagio sostenuto」のしっとり甘美な歌、終楽章「Finale: Vivace」は細かい音型リズムが楽しげに開始して、即陰りを加えるパターンですね。基本はノンビリとした躍動でしょう。22:52。

 演奏云々する立場に非ず。エイヴィン・ラーフン(fl)は明るく清潔な音色と軽快な技量、弦にも不満を感じるような場面はありませんでした。音質も上々。看過されるにはもったいない!片目不自由、あまり幸せではなかったらしい彼の生涯を感じさせぬ、美しい作品です。

(2014年12月20日)


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written by wabisuke hayashi