勝手な言い種(Bach 編)
バロックの演奏スタイルは驚くべきほど変遷して、この録音当時先鋭だった黄金のコンビも現在の耳で聴けばいろいろと不満が・・・ヴィヴィッドな集中力、よく整ったアンサンブル・・・であったはずが、いえ、事実音質も含めその通りなんだけど、リズム感がどうも常識的でツマらない・・・ま、こんな印象は聴き手の体調や精神状態でガラリと変わることがあるから、なんどか確認いたしました。 が、やはりいけない。どれも大好きな作品でして、とくに「3台のヴァイオリンのための協奏曲ニ長調 BWV 1064a」(別なソロ楽器でもよろしいが)の旋律には浮き立つような希望を感じるはずなのに、自分の嗜好にフィットしません。とうとう購入わずか一ヶ月でオークションに出品、無事に博多方面にもらわれていきました。ま、激安良心価格だし、知名度高いですから。
常々公言しているが、ワタシは古楽器支持派であります。トン・コープマンのBach ブランデンブルク協奏曲やらチェンバロ協奏曲集計6枚組を購入したのは5年ほど前か(ERATO 0630-16162-2 2,880円)。これが最高。3台のチェンバロのための協奏曲ハ長調 BWV1064〜トン・コープマン/ティニ・マトー/パトリツィア・マリサルディ(cem)/アムステルダム・バロック管弦楽団(1990年)・・・ソロのノリと技巧のキレはもちろんだけれど、少人数の古楽器弦楽器が練り上げられ、よく歌って、旋律が暖かく膨らむんです。 そうか、こんな演奏にずいぶんと馴染んだから、ネヴィル・マリナーが旧式に聞こえちゃうのか。ま、音楽は嗜好品だから、譲った先で愛聴されることを期待しましょう。
これも棚中に眠っていた音源だけれど、Bach ピアノ協奏曲ト短調 BWV1058〜ミエチスラフ・ホルショフスキー(p)/ルドルフ・バウムガルトナー/ルツェルン音楽祭合奏団(1981年ライヴ)・・・89歳の演奏。先ほど、リズムが緩いとかなんとか勝手なことを書いたけれど、いや、もう、技術がどうのとか、バックと息が合っているとか、そんなコメントが空しくなるくらい枯れて、純で、無垢な精神が溢れます。 技巧の冴えとか衰えとか、そんな範疇外であって、ココロが洗われる思い。勝手な言い種だな。音楽の聴き方って、いろいろだな。 (2008年11月7日)
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