Mozart 協奏交響曲 変ホ長調 K.364
(オイストラフ父子/コンドラシン/モスクワ・フィル)


Mozart

ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364

イーゴリ・オイストラフ(v)、ダヴィッド・オイストラフ(va)/コンドラシン/モスクワ・フィルハーモニー(1963年)

Bruch

スコットランド幻想曲 作品46

ダヴィッド・オイストラフ(v)/ホーレンシュタイン/ロンドン交響楽団(1962年)

LONDON 223E 1166  333円(中古)で購入

 これ定価2,230円の国内盤(キング)です。1990年代の前半か?LP時代はけっこう知名度のある録音だったはずだけれど、最近DECCA LEGENDで復活済み。でも、1,400円くらいでしょ?英DECCA録音は、いつもながらお見事の豊かさ。

 K.364の協奏交響曲は、ワタシお気に入りのお付き合いなが〜い作品。LP時代は誰の演奏でしたっけね?記憶薄いけど、よう聴きました。(リリング?)ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いに魅せられて、いつしか人の声に聞こえてくるのはいつものこと。ああ、そういえばこの作品、ずいぶんと聴いていないかも・・・と、棚で目に付いたCDがコレ。

 いやはや、コンドラシンの伴奏が始まった段階で、もう違うんです。響きが太い。濃い。それは重鈍ではなくて、うねうね躍動する重量感で、味付けがはっきりしている、と言うべきか。昨今のサッパリ系Mozart ではなくて、もっと自信たっぷりで、いや、こうでしょ、最近の若いモンはいかんねぇ、やっぱり先代の味じゃないと〜的感慨が溢れます。正直、もの凄く気持ちがヨロシい。

 オイストラフ父子のソロが、またなんともいえない。かなり濃厚な甘いモノ系(上質のこしあんですな。いや練乳系か)の滑らかさ、甘さがあって、しっとりまったり上品です。表情は豊かでたっぷり歌うが、一昔前の郷愁に溢れて(いつも使う例だけれど)これは山本富士子(元ミス日本。1953年映画界入り。当時の美人の代名詞であった)的美しさなんです。

 この粘着質の甘き美音は、もう現代では存在し得ないでしょうね。快い重量感と、慣性の付いたスピードが滅多に見られぬコクを生み出して、もの凄く経済的に豊かな”お金持ち”風Mozart に仕上がっております。二人のソロは文句ない水準だけれど、親父のセクシーなヴィオラに一日の長があるか。

 「スコットランド幻想曲」って、けっこう名曲。スペイン交響曲のテイストもほのかにあります。オイストラフは終始、肩のチカラが抜けて、鼻歌みたいにカルく、そして切々と歌って、やっぱりちょっと野暮ったくて、懐かしくて・・・風美音が続きました。テクニックがテクニックとして、それがハナに付かず、余裕になっております。

 ホーレンシュタインの協奏曲バックも珍しいでしょう。コンドラシンとはもちろん違う世界になっていて、爽やかな涼風が過ぎゆくような味わいでした。(2004年3月5日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi