Mozart セレナード第4番ニ長調K.203「コロレド」
(ジル・シャロン/アマティ室内管弦楽団)


Mozart  セレナード第4番ニ長調K.203「コロレド」(ジル・シャロン/アマティ室内管弦楽団) Mozart

セレナード 第3番 ニ長調 K.185「アントレッター」

ヤーノシュ・ローラ/フランツ・リスト室内管弦楽団

セレナード第4番 ニ長調K.203「コロレド」

ジル・シャロン(v)/アマティ室内管弦楽団(1996年)

BRILLIANT 92627/9 1970年録音 23枚組諸経費込みで3,500円程で購入(オークション入札)したウチの1枚

 「コレクターではない!」と強弁しても、聴ききれないほど”湯水の如く”激安CDを購入した挙げ句、音楽に対する粗雑な聴き方を反省する毎日。ことし2006年は「Mozart YEAR」じゃないですか。だからどーした、と訊かれれば、次々と魅力的なCDが登場するじゃないの!と答えるばかり。我らがBRILLIANTは「全集」を出して下さったが、ここ数年じわじわと過半を収集した挙げ句、”激安一気登場”とはっ!

 ワタシがココロより愛するヴォルフガング〜今年の課題はセレナード、嬉遊曲(ディヴェルティメント/名和訳ですな)全曲克服!明るく、楽しくて最高!で、貴重なるVOX音源3枚組(CONCERTOROYALE 206238-360)とか、少々懐かしいコレギウム・アウレウムの中古を2枚ほど入手したりしたものです。一番悔しかったのは、シャンドール・ヴェーグの10枚組再登場!閑話休題(それはさておき) ・・・

 オークションでこの23枚(全集の分売らしい/ケースなし紙袋のみ)入手。渇きは癒され、ぼちぼち聴いております。珍しく”ダブり”少なく、わずかCD一枚半〜その「半」が「セレナード第4番ニ長調K.203」となります。担当は、BRILLIANTのMozart 旧音源をかなり担当していたジル・シャロン(v)/アマティ室内管弦楽団・・・この作品は知名度も低いし、ヴォルフガングも気の進まぬお仕事だった、ということだけれど、彼の作品に一切の駄作なし。どれも名作。(だから作品特徴コメント不可)

 セレナードには聴き方のコツみたいなものがありまして(ジョーダンに近いが)、なんせ楽章が多くて全体が長いでしょう。アマティ盤は、第1楽章「アンダンテ〜アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第6楽章「アンダンテ」が短い、他の演奏の半分くらい〜つまり繰り返しをしていない、ということですな。(行進曲ニ長調K.237も含まれないのは残念)先ほどの引用「Mozart con grazia」という素晴らしきサイトより )にもあったように、「交響曲」(第1/6/7/8楽章)と「ヴァイオリン協奏曲」(第2/3/4楽章)に分けて聴けば良いんです。ぐっと馴染みやすくなる。

 爽やかで、虚飾なく引き締まった現代楽器アンサンブル。優雅さとか余裕には少々欠けるが、生真面目で清潔そのもの。オーケストラの技量的になんらの不備もなく、その色づけ(工夫?表現の幅か)のなさは逆に、座右に常備するに相応しい作品の味わいをそのまま表出しております。「ヴァイオリン協奏曲」部分のソロはジル・シャロン(指揮兼任か)と思われるが、しっとりとしたヴィヴラートを効かせた、蠱惑的かつ豊かな音色が魅力。ま、昨今の流行は古楽器系なのだろうが、こんな甘美な響きのMozart だって悪くはない。録音も鮮明。

 セレナード 第3番 ニ長調 K.185のほうは、著名なるローラ/フランツ・リスト室内管弦楽団となります。この辺りが”寄せ集め全集”の苦しいところで、アマティ室内管とは演奏スタイル、録音音質ともずいぶん異なっていて、違和感少々有(演奏が悪いワケではない)。こちらはちゃんと”繰り返し”実行しているみたいです。

 残響豊か、アンサンブルには陰影があってしっとりとしたニュアンスが楽しめます。ソロはコンサート・マスターのヤーノシュ・ローラでしょう。これは先の演奏とは逆に、清涼で含羞のあるもの。全体表現としては、こちらのほうが深く、シミジミと洗練され瑞々しい。落ち着きもある。第3楽章「アレグロ」の愉悦はこの作品の白眉です。

 いずれ、我らがヴォルフガングの天衣無縫の旋律に身を委ねると、幸せな空気が部屋一杯に広がりました。無条件幸福。   

(2006年7月21日)


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written by wabisuke hayashi