珠玉の序曲集(アルフレッド・ショルツ/南ドイツ・フィルハーモニー)


PILZ 44 9283-2 Smetana 

歌劇「売られた花嫁」序曲

Weber 

歌劇「魔弾の射手」序曲

Verdi

歌劇「運命の力」序曲

Mozart

歌劇「魔笛」序曲

Rossini 

歌劇「ウィリアム・テル」序曲

Wagner

歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲

Weber 

歌劇「オイリュアンテ」序曲

Schumann

歌劇「ヘルマンとドロアテ」

Mendelssohn

歌劇「異国よりの帰郷」序曲

Wagner

楽劇「ニュールンベルクの名歌手」前奏曲

Suppe 

喜歌劇「美しきガラテア」序曲
喜歌劇「怪盗団」序曲

アルフレッド・ショルツ/南ドイツ・フィルハーモニー

PILZ 44 9283-2 2枚組298円で購入

 出張ついでに東京は秋葉原へ。なんの収穫もなかったけれど(CDの掘り出し物は関西の方が多いという感想−東京はまだまだ私にとって未知数ですが。1998年のこと)、関西で云うバッタ屋でPILZの「最終価格=298円。しかも2枚で」に出会って、感激して買ったCD。

 どうやらPILZの無名演奏家による音源は、POINTやONYXに移りつつあるようですが、Brucknerでも取り上げたショルツは、怪しげな廉価輸入盤にしか登場しないという不思議な指揮者。この人の演奏はしっかりとしたアンサンブルで、まず大外しすることはないといった信頼のできる人と思います。
 ちなみに、やはり廉価盤にしか登場しないヘンリー・アドルフ、という人には何度泣かされたことでしょう。声を大にして訴えますが、この人のCDはどんなに安くても買ってはいけない!アンサンブルもガチャガチャで、何故か録音も音割れする劣悪なものばかり。いったいどんな奴なんだ!
 ・・・・と、力んでいましたが、その後の情報によると、ショルツは買い集めた音源に自分のクレジットを付けたり、アドルフも実在しないとか・・・。へ〜?! ちなみに南ドイツ・フィルも録音用の幽霊団体だそう。

 われらがショルツの「序曲集」は、まず選曲が凄い。
 有名どころの定番に加えて、メンデルスゾーン「異国よりの帰郷」序曲は初めて聴きました。シューマンの「ヘルマンとドロアテ」も珍しい曲ですが、これはNAXOSのヴィルトナー盤で既に所有してました。スッペの「怪盗団」というのも渋い選曲ですね。(レーザーライトのシャンドール盤で所有)298円だったら、未知の曲1曲分でも後悔しない価格。

 南ドイツ・フィルというのは、時々見かけますが、来日したこともあるシュトゥットガルト・フィルのことでしょうか。(それともデッチ上げの録音用オーケストラ?その通り!だそうです
 ここでは、スカスカした録音のせいもあってか、響きがかなり薄いような気もします。曲によって、驚くほど印象が違うのもおおいに怪しげでしょう。録音はイマイチで、デジタル録音というのも疑わしいところ。2枚目の方が音はまあまあマシ。

 演奏はどれもアンサンブルをまあまあ手堅くまとめ、中くらいの水準、といったところでしょう。

 「花嫁」には勢いがあって、「魔弾」では期待のホルンがパッとせず、落ちつかない演奏。「運命の力」には緊張感があり、「魔笛」は軽量過ぎ。「ウィリアム・テル」はしっかりとした各部分の描きわけができていて、「ローエングリン」におけるわき上がる喜びは充分に表現されます。
 「ウィリアム・テル」序曲は、別なCDでショルツ/LSOの演奏を持っているのですが、同じ録音でしょうかね。ますます謎は深まるばかり・・・。

 2枚目に移って、「オイリュアンテ」の躍動感の素晴らしさ、「ヘルマンとドロアテ」では馴染みある旋律を繊細に歌い上げています。秘曲「異国からの帰郷」は、親しみある静かな旋律の曲。オーケストラも美しい。「名歌手」はオーケストラの響きの薄さと濁りがかなり気になり、スッペの2曲は楽しげな演奏となっています。

 子供に聴かせるCDとしても良いと思います。私が買ったときは、なぜかこのCDばかり30セットほど売れ残っていましたからぜひご購入を。298円の魅力には負けます。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi