Haydn 交響曲第94番ト長調「驚愕」/
第100番ト長調「軍隊」/第104番ニ長調「ロンドン」
(ロイ・グッドマン/ハノーヴァー・バンド)


Nimbus Haydn

交響曲第94番ト長調「驚愕」
交響曲第100番ト長調「軍隊」
交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

ロイ・グッドマン/ハノーヴァー・バンド

Nimbus 1987年録音(All Saint’ Church)

 すっかり忘れられた感じの古楽器録音。NimbusにHaydnはCD17枚分録音して、全集6割のところで中断、アダム・フィッシャー全集に移行した経緯は不明です。これが眼の覚めるように臨場感豊かな音質、素朴かつ厚みのある古楽器サウンド(ノンヴィヴラートな弦、粗野に野太いホルンの衝撃→これはずっと大活躍!)やや速めのテンポ、素直なメリハリ表現が躍動してウキウキするような演奏が続きました。

 第94番ト長調「驚愕」第1楽章「Adagio - Vivace assai」慎重な序奏から、主部に入ると粗野な金管+木管の歌が躍動して軽やかな熱気と勢いに走りだしました。この時点で古楽器の技術はかなりの熟練を感じさせてノリノリのリズム感、暗転する場面の描き分けも見事でしょう。(8:11)第2楽章「Andante」は淡々と弱音、やや速めのテンポに進めて、途中ティンパニの一撃はほんまに驚愕!金管とティンパニの迫力対比は素晴らしい効果でした。(6:01)賑やかに浮き立つような第3楽章「Menuetto & Trio」は前のめりの推進力を感じさせる優雅な熱気(4:04)第4楽章「Finale: Allegro di molto」そっと様子を見るような弦に始まって、やがて高らかな金管の叫び、ユーモラスな木管が呼応して、ティンパニの迫力参入、勢いを維持したまま全曲を締め括りました。(4:07)こんな爽やかに元気のよろしい「驚愕」はめったに聴けるもんじゃない。

 交響曲第100番ト長調「軍隊」。第1楽章「Adagio-Allegro」は静かな弦から始まる堂々たる序奏を経、印象的なフルートの呼び声に契機にやがて力みのない疾走がやってきました。フルートの活躍は幾度繰り返され、陰影ある弦の旋律がそれに続きます。金管の爆発が締めくくって、ここは味わいあるリズミカルな名曲ですね。(7:31)題名由来である第2楽章「Allegretto」「Allegretto」は淡々として、力強い行進曲。(途中トランペットはMahlerの交響曲第5番 嬰ハ短調冒頭にクリソツ/あれも軍隊ラッパですから)陰影のある打楽器のシンプルなアクセント、ラストの賑々しさ迄効果的でした。低音が効いた録音も効果的。(5:35)第3楽章「Menuetto ー Moderato」は優雅に浮き立つような舞曲、速めのテンポに古楽器によるコクのある響きは流れるよう。トリオの優雅な木管、弦のアクセントの対比も効果的でした。(5:28)闊達な第4楽章「Presto」は素っ気ないフレーズから始まって、それが熱気と迫力を加え、ラストの打楽器連続は意外と抑制、つぶれた音色のホルンがダメ押しの対比がありました。ここも低音が効いてカッコよいラストでした。(5:20)

 交響曲第104番ニ長調「ロンドン」はラストを締めくくる大曲。四角四面な旋律がクールに朗々神妙に序奏開始する第1楽章「Adagio-Allegro」主部圧巻の推進力とスケール、色彩豊かなオーケストラの響きはテンション高く、例のホルンは文句ない迫力でしょう。(8:03)第2楽章「Andante」は弦を中心にノンビリ静かに淡々とおとなしい・・・かなと思ったら、途中情感高まる劇的な場面到来。しっかりトランペット、ホルンも爆発してくれました。(7:22)第3楽章「Menuetto - Allegro」に於ける弾けるリズム感はパワフルな舞曲の躍動、そして熱気と重量感。(4:12)第4楽章「Allegro -Spiritoso」はDrone(持続音)から始まる印象的なフィナーレ。快速テンポに溌剌軽快な勢いと迫力、一気呵成に駆け抜けました。ラストダメ押しの熱気も文句なし。(6:23)

(2024年6月1日)

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written by wabisuke hayashi