Haydn 交響曲第100番ト長調「軍隊」(ハンス・ヴォルフ)
Beethoven 交響曲第1番ハ長調(ヨゼフ・ローゼンシュトック)


ネットより入手音源 Haydn

交響曲第100番ト長調「軍隊」

ハンス・ヴォルフ(1912-2005)

Beethoven

序曲「レオノーレ」第3番
交響曲第1番ハ長調

Bizet

歌劇「カルメン」組曲

ヨゼフ・ローゼンシュトック(1895-1985)

マンハイム・ナショナル管弦楽団

ネットより入手音源。ReDiscovery RD126 録音年不明/1960年台でしょうか。

 多く集めること=音楽を愛することに非ず。そんな諸行無常を感じて8-9年ほど?CD在庫を最盛期の1/4ほどに減らして、ここ4年ほどネットからの音源データ入手を加速させました。慣れてくるといくらでも、芋づる式に音源は探せるようになって、やがてパソコンのHDD容量不足、自主CDにも飽きて、DVDに焼き込んで保存したのみ。大多数ちゃんと聴いておりません。このサイトは【♪ KechiKechi Classics ♪】読者からの情報だったと記憶して、懐かしいコンサートホール系の音源も多く含んで、一生懸命ダウンロードしたものですよ。

 少々無定見に溜まり過ぎた音源データを整理中、上記音源に行き当たりました。オールド・ファンには懐かしいヨゼフ・ローゼンシュトックは噂ばかり、ワタシは(もちろん録音でさえ)聴いたことはありません。これが、ほとんど驚愕の音質水準!.mp3/320kbpsのデータ処理云々はよう意味ワカランけど、もともとの録音はほとんど現役でっせ。ハンス・ヴォルフは初耳、オーケストラ名はローゼンシュトックの戦前の経歴から類推してマンハイム歌劇場のオーケストラと思われます。厚みのある、立派な落ち着いたサウンドでした。

 Haydnの「時計」始まりました。正直なところオーケストラには(音質水準にも)期待していなくて、データ削除検討の対象だったんですよ。第1楽章 「Adagio - Presto」堂々たるニ短調の序奏から厚みとコクのある響き、ニ長調の主部も堂々たる貫禄とちょいと重い躍動があって、一気に引き込まれました。もちろん今風な軽妙なリズムに非ず、中庸なテンポ+ニュアンスに富んだカロリー高めのスケールは悪くない。第2楽章「Andante」が「時計」ニックネームの所以らしいけど、優雅、朗々たる歌(とくに木管)牧歌的な変奏曲は堪らぬ魅力であります。トランペットのファンファーレに導かれた打楽器のアクセントも、しっかり重く、瑞々しい。

 第3楽章 「Menuetto. Allegretto」も堂々と大きいですね。時代錯誤ないかつい大きさに非ず、素朴な充実を感じさせる響き。第4楽章 「Finale. Vivace」も慌てず、騒がず、サウンドに重厚さはあってもテンポは意外と速いもの。推進力に不足はありません。ここ最近、アダム・フィッシャー辺りを聴いていたけれど、アンサンブルの水準に不足を感じさせませんでした。

 Beethoven からローゼンシュトックの担当となります。ハンス・ヴォルフのアンサンブルも立派だったけど、こちらややオン・マイク気味な音質印象もあってテイストはいっそう濃厚。「レオノーレ」第3番はものものしい序奏(アダージョ)を経、しっかりアクセントを踏んで主部へ雪崩れ込むところに曖昧さはない。細部の旋律をしっかり噛みしめて、几帳面な演奏也。第1楽章 「Adagio molto - Allegro con brio」堂々たる序奏を聴いていると、Haydnを連想させますね。しかし主部への移行はさすがにカッコ良い!こちらは華やかなMozart のテイストか、もちろん提示部反復実施。溌剌としてリズミカル、立派なアンサンブルですよ。

 第2楽章 「Andante cantabile con moto」。冒頭弦のフーガから端正にリズムを刻んで楷書の表現、やや生真面目過ぎ、強面ですか?第3楽章 「Menuetto:Allegro molto e vivace 」どこが「メヌエット」やねん、立派なスケルツォそのものでっせ。細かくリズムを刻んだ躍動、推進はまさにBeethoven が切り拓いた新時代を実感させます。ここでもローゼンシュトックはやや重く、しかし躍動に不足せぬ存在感有。

 終楽章「Adagio - Allegro molto e vivace」は勿体つけた序奏から一気呵成に疾走する素晴らしい楽章、青春のエネルギーが溢れ出て、ローゼンシュトックは重心の低いサウンド、スピード感に不足はないでしょう。彼はトスカニーニ系の人であったとか、アンサンブルの整え方も一流、ラストいや増すスピードにアツく締めくくっていただきました。

 「カルメン」はオマケ、音源構成としては必要なかったかも。第4曲に「ファランドール」が入っているのは個人的に嬉しい(タンバリン大好きなんです。パリでの上演ではバレエ必須。闘牛士の歌はなし)

(2015年8月17日)

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written by wabisuke hayashi