Haydn 交響曲第1番ニ長調/第2番ハ長調/第3番ト長調/第4番ニ長調/第5番イ長調
(アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団)


BRILLIANT 99925/1 Haydn

交響曲第1番ニ長調/第2番ハ長調/第3番ト長調/第4番ニ長調/第5番イ長調

アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団

BRILLIANT 99925/1 1990年録音(コンサート・マスター Rainer Honeck)

 全集33枚ボックス入手が2002年5月(9,431円税込)12年経ても全部聴いた、という手応えなしな罰当たり者。1970年代アンタル・ドラティ以来の快挙に続いたのは他にデニス・ラッセル・デイヴィス、古楽器系はどなたか完成していたでしょうか。クリストファー・ホグウッドは売れなくて中断したはず。こんな大型ボックスは最初の数枚聴いて放置・・・といったパターンになりがち、ワタシは後期著名な作品から始まって、中期のものは都度拝聴〜ボックス奥底の一枚目は今回初発掘!でした。

 キッカケはデレク・ソロモンス/レストロ・アルモニコによる音源〜ほとんどCDになっていない、存在もあまり知られていない古楽器音源モルツィン交響曲集(1758-1760/第1/37/18/2/15/4/10番)音源をネットより偶然(違法)入手したため〜LP音源(1983年頃?)のリッピングらしいけれど、紹介された元のサイトは消滅?フリー・ストレージに生き残っていたものを偶然発見、ファイル名から類推して海外サイトより中古LPの存在を探し当てたもの。ちゃんと聴いていない全集を棚中常備しているのは、こんな時のリファレンス(参照の基準)とするためでしょう。

 交響曲第1番ニ長調を比較したら、アダム・フィッシャーのほうが溌剌、キビキビとしたリズム感、金管の強奏に迫力!たいてい、そんな感じ。どんな音源と比べても、お見事!と言いたくなる完成度。こちら番号順に収録された一枚也。音楽史的には上記ソロモンズ盤が正しい順番らしいけど、ちゃんと調べていないのがド・シロウトの哀しいところ。交響曲第1番ニ長調/第2番ハ長調/第4番ニ長調は(概ね)急緩急の3楽章、第3番ト長調/第5番イ長調には第3楽章にメヌエット登場して4楽章構成(ちょっぴり後の作品か)〜なるほどなぁ、といったところ。

 アダム・フィッシャーは現代楽器、もちろん小編成に依っているけれど、クリスファー・ホグウッド辺りと比較するとフツウ、現代の会場規模に相応しい大きさになって、迫力あります。リズムは重くなく、過激なものにも至らない、そんなバランス感覚が基本。以下、演奏個性への言及はこれ以上できなくて、作品印象のみ。

 交響曲第1番ニ長調は、ほんまの第1番ではないらしい・・・いきなりウキウキと感興高まるクレッシェンドな出足は快速、そこにホルンの強奏が華を添えます。典雅なメヌエットはいかにもノンビリと気品漂う風情であり、途中短調の陰りも見せて6分、終楽章は3/8拍子をしっかり刻んで、溌剌そのもの。全13分ほど。交響曲第2番ハ長調は賑々しい大胆な歩みから始まって、時にちょっぴりためらいの陰も見せる第1楽章「Allegro」、アダム・フィッシャーの表情付けは変化に富んで迫力有。第2楽章はシンプルな弦の繰り返しが抑制された音量にて継続されました。ラスト、前作品同様3/8拍子の明朗な舞曲風。全曲で10分に届かぬ小ぶりな作品。やや作品個性としては、特筆すべきものではないかも。

 交響曲第3番ト長調は1961年〜以降エステルハージ時代のものらしい。しっかりリズムの刻む低弦+ホルンに乗って弦+オーボエが優雅な旋律を歌います。この辺り、先の作品より熟達が感じられて、作品表情の変化も多彩。ホルン大活躍。第2楽章「Andante moderato」思いっきり途方と哀しみに溢れて、これもたしかにモルツィン時代に非ず。メヌエットは馴染みの舞曲はシンプルかつ大胆な規模感有、途中途中ホルンとヴァイオリン・ソロ、オーボエのからみ合いも美しい。終楽章はわずか2分弱、ワタシは「ジュピター」を連想いたしました(構成小さいけど)。

 交響曲第4番ニ長調は明るい表情の第1楽章「Presto」に迫力充分。前作に比べ、いかにも飾りのない世界+ちょっぴり陰りも見せて屈託がない。ところが第2楽章「Andante」に於けるミステリアスな暗さ、落ち込みは尋常に非ず、こりゃいったいどーなっとんのか。鎮魂、葬列風。終楽章は例の3/8拍子の笑顔が戻って、ゆったり、しっかり。

 交響曲第5番イ長調は、第1楽章優雅な弦の序奏に乗って、ホルンが高らかに歌う爽快な出足です。緩-急-緩(?メヌエット)-急といった流れは、作風的にはちょいと前なんだそうで、たしかに古典派交響曲とは風情が異なります。第2楽章「Allegro」が本来で云えば第1楽章風?初期の飾りのない世界から一歩踏み出して、ソロ・ヴァイオリンなど活躍して、がっしりとした付点リズム、色彩が出現しております。第3楽章「Menuet」は前楽章と風情は変わらない、同じ3/4拍子(テンポと付点が異なるだけ)終楽章はやはりMozart が木霊する躍動であります。

(2014年3月9日)


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written by wabisuke hayashi