Haydn 交響曲第25/26/27/28/29番
(アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団)


BRILLIANT 99925/7 Haydn

交響曲第25番ハ長調(1990年Rainer Ku"chl)
交響曲第26番ニ短調「哀歌」(2000年Wolfgang Redik)
交響曲第27番ト長調(1989年Maria Ba'lint)
交響曲第28番ニ長調(2000年Wolfgang Redik)
交響曲第29番ホ長調(2000年Wolfgang Redik)

アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団

BRILLIANT 99925/7  33枚組 9,431円で購入したウチの一枚

 全集を購入したのが2002年、当時は激安であったが、やがていっそう安価で意欲的な全集(HMVでは売り切れ)が出現いたしました。まだ、アダム・フィッシャー全集もちゃんと聴けて(身につけて)いない自覚あるし、新たに購入する(自分に対する)言い訳が立たない・・・しっかり、棚中在庫を聴いてあげなくっちゃ。

 この一枚は初期の作品ながら、収録時期にやや隔たりがありました。(カッコ内はコンマス名)ざっとした印象では新しい録音になるほど、演奏が充実していく感じはあって、ここでは交響曲第26番ニ短調「哀歌」(2000年)に(旋律馴染みもあるし)充実したメリハリ演奏を聴くことができました。閑話休題(それはさておき)まず、作品に一通り馴染む、というのが音楽聴取姿勢の基本。古楽器奏法云々といった論評はそのあと。どれも名曲揃いにまちがいありません。

 交響曲第25番ハ長調は第1楽章、優雅な序奏が延々と(3分)続いて、これは纏綿と弦が歌って演奏も優雅そのもの。やがて快活なアレグロに至って晴れやかなる表情は疾走します。第2楽章「メヌエットとトリオ」はやや大柄で、立派すぎるかな?途中のヴァイオリン・ソロはキュッヘルでしょう。ホルンとオーボエの掛け合いは爽快です。終楽章は怒濤の勢いと厚みがあって、やはり少々構えが大きすぎる印象がありました。作品としては抜群に楽しい。

 次が(先に言及した)交響曲第26番ニ短調「哀歌」であって、前作より10年経過の演奏であります。切迫したフレージングは、かなり最近の古楽器系の演奏に接近しております。かなりメリハリ強弱を明確に対比させた(激しい)第1楽章「アレグロ」。ラスト、ホルンの絶叫がエエ感じです。第2楽章「アダージョ」の清明なる境地は、弦の素直な奏法(ヴィヴラートは付いているが、先のキュッヘルよりスッキリ)によるものでしょう。オーボエとのシンプルな掛け合いにココロ洗われる思い。ラスト、ホルンが茫洋と登場して広がり、奥行きを作りました。終楽章はまるでBach の受難曲のように開始され、すぐにHaydnらしい牧歌的な味わいに変貌いたしました。ちょっと尻切れトンボ的終末でしょうか。

 交響曲第27番ト長調は(11年戻って)1989年の録音。爽快な嬉遊曲テイストの第1楽章「アレグロ」、素直フツウに快活なアンサンブルであります。時に暗転してちょっぴりMozart 的。第2楽章「シチリアーノ」は古雅で静謐なる舞曲であって、ヴァイオリンは弱音器付きだそうです。終楽章はしっかりとしたリズムを刻んで、ここでもちょっぴり暗転があってアクセントになっております。メヌエットであって、まるで通常交響曲の第3楽章風印象。演奏は全体に手堅くまとめた感じでしょうか。

 交響曲第28番ニ長調は砂川しげひささんによると、”この曲はハイドンの失敗作”とのこと。そうかな?録音は2000年Wolfgang Redikがコンマスを務め、メリハリ迫力充分、硬派なリズムを刻んで第1楽章「アダージョ」の”ちっともメッロデイらしくない、短い音形”もウキウキ愉しめちゃいます。たしかにBeeやん風劇的テイストありますね。第2楽章「ポコ・アダージョ」も弱音付きヴァイオリンか?断片的なモノローグ(ぶつくさ独り言)続く”重苦しくだらだら〜気が滅入る”ところ、とは言い過ぎながら、全体像の見えにくい楽章ではあります。第3楽章「メヌエット」は破天荒に上下する旋律が革新的、終楽章は前楽章と印象が似ていて、ややマンネリ感があるけれど、例のホルン強奏がエエ感じのアクセントになります。

 ワタシはそんなに駄作とは思えない。

 交響曲第29番ホ長調も砂川しげひささんは”ああ、つまんない”とのこと。優雅で平易なる第1楽章「アレグロ」、旋律展開がややありきたりで、おもしろおかしく聴かせるのはムツかしそうなところでしょうか。アンサンブルは練り上げられて見事な調和であります。第2楽章「アンダンテ」も似たようなテイストであり、Beeやん交響曲第8番ヘ長調のルーツはこんなところに?的シンプルなリズムを刻んでおります。第3楽章「メヌエット」も安定した(ややありきたりな)開始を危惧しつつ、トリオの暗い雰囲気がアクセントになっておりました。終楽章もテイストが似ているんだな、他の楽章と。”ああ、つまんない”とは思わぬが、ちょっぴり変化が足りない作品かも。リズム溌剌な演奏は立派なもの。

 2010年4月に【♪ KechiKechi Classics ♪】のスタイルを変え、レーベル別分類を廃止いたしました。レーベルの意味を失った21世紀となっていたので。過去ログはサイト内検索で探すか、年次別履歴で順繰り見ていくしかなくなったが、過去記事なんてわざわざ見ていないでしょう。そんなこんなでアダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団の過去ログに検索リンクを張っておきます。

(2010年5月21日)


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written by wabisuke hayashi