アーノンクールNOW(SAMPLER CD)



Vivaldi 協奏曲集「四季」より「夏」第3楽章(1977年)
アリス・アーノンクール(v)

Bach 「マタイ受難曲」より「イエスの死」(1970年)
エクヴィルツ(t)ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

Mozart 交響曲第35番「ハフナー」第1楽章(1980年)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

Mozart レクイエム〜イントロイトゥス(1981年)
ウィーン国立歌劇場管弦楽団/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

Mozart 歌劇「魔笛」よりパミーナとタミーノの二重唱(1987年)
ボニー(s)ブロホヴィッツ(t)/チューリヒ歌劇場管弦楽団

Beethoven 交響曲第7番〜第4楽章(1990年)
ヨーロッパ室内管弦楽団

Schubert 交響曲第8番「グレート」〜第1楽章より(1992年)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

MENDELLSSNE 交響曲第4番「イタリア」〜第4楽章(1991年)
Schumann 交響曲第3番「ライン」〜第2楽章(1993年)
ヨーロッパ室内管弦楽団

Brahms ヴァイオリン協奏曲〜第3楽章より(1996年)
クレーメル/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

Brahms 交響曲第1番〜第4楽章より(1996年)
ベルリン・フィルハーモニー

以上 アーノンクール指揮

TELDEC PCS-272  非売品(1997年頃のレコード芸術誌の付録)

 アーノンクールはほとんど聴きません。TELDECは意外と廉価盤には熱心で、なんどか@1,000のCDも出ていたはずですが、残念ながら購入する機会を得ませんでした。FMのエア・チェックをしていた頃(1990年代前半まで)には、カセットでそれなりに聴いたものです。もう70歳になったそうですね。意外な感じ。「壮年の風雲児」みたいな印象ばかりでした。

 ここのところ、ワタシのCDの仕入先であった大阪への出張がなくなり(2000年初頭)、休日はもっぱら近所の「古本屋さん」にかよってCDを物色しています。ワルターの「英雄」、バーンスタイン「田園」、ベームの「40番」「ジュピター」なんかが@350で手に入って嬉しく、それなりに楽しみました。評価の高い、有名な往年の巨匠のワザに触れるのも大切なことですし、勉強にもなる。

 でも、やっぱり「知的問題提起」というか、ずばり「もの珍しさ」みたいな演奏がほしいもの。ベーム/ウィーン・フィルのMozart は、オーケストラは立派だし、悪くはないが、いまさら、といったかんじで新鮮みがない。それだったらヘンヒェンとかラインスドルフ(旧録音)のほうが(ま、文句も含めて)いろいろと考えさせられます。で、アーノンクールを思い出して棚を探したら一枚だけこのCDが出てきました。

 サンプルCDですけど、それなりのまとまりはあって、演奏の雰囲気は味わえます。

 有名な「四季」の録音は、こんな昔だったんですねぇ。当時はもの凄く衝撃的だったけど、いま聴くと「よくできた古楽器の演奏」。時の流れは恐ろしい。「マタイ」は旧録音の方で、のちにRCOと再録音しているでしょ。RCOといえばメンゲルベルク。これもすっかり価値観が逆転してしまって、アーノンクールのほうがすっきり現代(いま)風で、メンゲルベルクは度肝を抜く濃さ、クドさ。(クセがあって、ドロドロの得体の知れないスープだけど、病みつきになる名物ラーメンのよう)

 「ハフナー」は、録音当時「アーノンクールは古楽器を裏切った」なんて、的外れの評論も出たウチのひとつ。「どのパートを際だたせるか」「この旋律はどう音色の変化を主張させるか」が明快で、新鮮なことこの上ない。かといって主観的な楽譜の読み込みではなく、じゅうぶん研究された結論としての高い芸術性。(全曲、欲しくなりました)

 「レクイエム」は、冒頭だけだけれど、声楽の繊細な扱いが想像以上。(LP時代に聴いたはずなのに、記憶なし)これ以降は、完全に現代オーケストラによる演奏で、彼の主たる活躍の場の一つであるチューリヒでの「魔笛」より。二人の歌い手が、すっきり知的で好感が持てます。(これも全曲欲しい)

 Beethoven 。ヨーロッパ室内管は、技術は優秀だけれど「色合い」は指揮者の個性がそのまま反映するオーケストラ。「ハフナー」とまったく同じ印象で、千変万化する細かいニュアンスと、音楽の猛烈な勢いがバランスの取れた演奏。RCOより、オーケストラの反応は早い。(またまた、これも全曲欲しい)

 「グレート」は、同時期のライヴをカセットに録ってあるんですけどね、オーケストラの繊細な美しさは理解できるが「自然な流れ」が不足気味と感じました。「イタリア」は、叩きつけるような、厳しいリズムがかつてない迫力、緊張感。「ライン」は、悠々たる旋律の優しい歌わせぶりが意外なハマりぶり。

 クレーメル三回目(?)のBrahms は、いつもながらクールで「血の通ったサイボーグ」のようなヴァイオリン。交響曲のほうはザワついていて、腰の落ち着かない演奏に感じました。ベルリン・フィルがずいぶんと変貌していているのにも驚かされます。(あまり良くないほうに・・・!?)

(2000年4月29日更新)


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written by wabisuke hayashi