Handel 合奏協奏曲集 作品6/1-4番
(ホルスト=タヌ・マルグラーフ/ヘンデル音楽祭室内管弦楽団)
Handel
合奏協奏曲集 作品6より
第1番ト長調 HWV 319
第2番ヘ長調 HWV 320
第3番ホ短調 HWV 321
第4番イ短調 HWV 322
ホルスト=タヌ・マルグラーフ/ヘンデル音楽祭室内管弦楽団/ゲルハルト・ボッセ(v)/マリア・ウェルメス(v)/フリーデマン・エルベン(vc)/ヴェルナー・ブシュナコフスキ(cem)他
ETERNA 0031602BC 1960年
CD3枚分全曲録音有。NMLにて一部拝聴可能です。Horst-Tanu Margraf (1903ー1978)は旧東独逸の指揮者、Staatskapelle Halleの音楽監督だったらしい。ネットにて四苦八苦して情報検索、ゲルハルト・ボッセくらいしか知らんかった。躍動する平易な旋律を誇る弦楽作品は大好き、幾種録音を集めて原点はLP時代レイモンド・レパード(PHILIPS)ここ50年ほどもっとも演奏スタイルが変わったのがバロック音楽、かつては御大カラヤンも録音しておりました。ここ最近は古楽器隆盛、演奏レパートリーの分業も進みました。
カラヤンの超豪華艷やかサウンドさておき、その方向に似てかなり分厚い立派な響き、テンポはキビキビして速め、ボッセのソロは文句なく美しいもの。音質は時代相応の粗さ濁りもあり、音楽拝聴の支障にはならぬ水準でしょう。Handel出身地にて音楽祭が開かれたと類推(Festivalを祝祭と和訳する風習はおかしいと思う)Gerhard Bosse(1922ー2012)は当時ゲヴァントハウス管弦楽団のコンマスだから、ゲストとして呼ばれたのでしょう。半世紀以上前の音源をしっかり楽しめる佳き時代となりました。(「音楽日誌」2017年11月より)
4年ぶりの拝聴の印象はかなり変わって、やや濁りはあっても瑞々しい残響に充たされた豊かな響き。時代故のウェットな厚みはあるけれど、たっぷりゴージャスな響きに魅了されたものです。現代の古楽器スタイルと比べれば、やや詠嘆の節回しに大きな演奏だけど、適正なるテンポ設定にさほど旧さを感じさせない。ソロ・ヴァイオリンのヴィヴラートも節度があって好ましいスタイル。作品の人気は最近ちょいと落ち気味かも知れません。陰影に充ちて快活な名曲だと思いますよ。
第1番ト長調 HWV 319 A tempo giusto(1:25)-Allegro(2:06)-Adagio(3:22)-Allegro(2:39)-Allegro(3:25)
堂々たる合奏から始まって、そのまま休みなく闊達なAllegroは快活に躍動いたします。楽章のラストにルバートが掛かるけれど、さほどに大仰に非ず。続くAdagioはしっとり嘆きの色濃く、ソロヴァイオリンの絡み合いも表情豊か、続くAllegroはソロ・ヴァイオリンのフーガを呼び水に合奏が流麗に走りました。ラストはD.Scarlattiの引用とか(Wikiによる)6/8拍子のリズムが晴れやかな笑顔を感じさせました。
第2番ヘ長調 HWV 320 Andante larghetto(4:24)-Allegro(2:49)-Largo(3:21)-Allegro, ma non troppo(2:51)
優雅に恰幅のよろしい合奏から始まって、その合間にやや陰りもあるソロ・ヴァイオリンが呼応する開始。ラストのタメも決まっております。続くAllegroは哀しみを湛えて速めのテンポ、ボッセのヴァイオリンの艶、そしてフリーデマン・エルベンのチェロが低音をしっかり支えて合奏との対比はおみごと。Largoも堂々と優雅にスケール大きく、ラストは前楽章の下降音形を受けて明るく、力強い歩みに至りました。
第3番ホ短調 HWV 321 Larghetto(2:00)-Andante(3:06)-Allegro(3:23)-Polonaise-Andante(6:07)-Allegro, ma non troppo(1:59)
嘆きの色濃いゆったりと大きな歩みで始まりました。続くAndanteはいっそう悲劇の風情強まって呼吸深い名曲。ここでの弦の厚みは重厚です。Allegroに至ってややテンポを速めてもいや増す哀しみの色、ここのヴァイオリン・ソロはVivaldi風。次のPolonaise-Andanteは作品6中もっとも長い楽章、穏健平穏な舞曲にほっとさせるところ(ちょっぴり退屈?)ラストAllegro, ma non troppoは再び短調に戻って寂しげなる足取りに締めくくられました。
第4番イ短調 HWV 322 Larghetto affetuoso(2:20)-Allegro(3:29)-Largo, e piano(2:40)-Allegro(2:55)
ここも深刻な風情の合奏から始まって足取りも重い、そのままテンポアップしてAllegroは張り詰めて緊張感ある劇的表情のフーガ、ソロの出番はようやくこの辺り。ラストたっぷりルバート有。Largo, e pianoは優雅な安寧、時に陰りのある緩徐楽章でした。Allegroは3/4拍子、快活なリズムのまま哀しみが続きました。
ボリュームを上げるとちょいと音が濁るのは時代、仕方がないでしょう。 (2021年11月6日)
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