Handel 合奏協奏曲 作品3より/
Bach ヴァイオリン協奏曲集他(トマス・ツェートマイヤー(v)/
アムステダム・バッハ・ゾリスデン)


KruppーBerlinClassics LP Handel

合奏協奏曲ヘ長調 作品3ー4

Bach

ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052/ト短調BWV1056

Handel

合奏協奏曲 変ホ長調 作品3ー2

Bach

ヴァイオリン協奏曲ホ長調BWV1042/イ短調BWV1041

J.B.Bach

序曲ト短調

トマス・ツェートマイヤー(v)/アムステダム・バッハ・ゾリスデン

KruppーBerlinClassics LP音源。 Musik Auf Villa Hugel (Liveというのはウソ?)もともとBerlinClassics(BC11500)より 1993?94?年録音

Handel+Bach+大Bachの親戚筋の珍しい作品の組み合わせ、Thomas Zehetmair(1961ー)は墺太利のヴァイオリニスト、指揮にも手を染めているのですね。快活なHandelのアンサンブルを挟みつつ、BWV1052はチェンバロ協奏曲第1番第5番の再編成版も含め、鋭利な切れ味、洗練され集中したヴァイオリン・ソロがたっぷり美しい。モダーン楽器だ(と思う)けれど、旧態たっぷり豊満なサウンドに非ず、引き締まった風情によう歌ってバロックの魅力を堪能させて下さいました。J.B.(Johann Bernhard ヨーハン・ベルンハルト 1676ー1749)の作品は弦楽アンサンブル、4楽章15分ほど、第1楽章は緩急緩のフランス風序曲、ほの暗い風情手堅い作風も悪くないけれど、J.S.の豊かな世界との違いを感じさせるもの。(「音楽日誌2018年6月」より)
   これはVilla Hugel のコンサートホールにて録音されたものなのか、ネットから音源入手して、色々検索してもなにか企画もののLPらしい情報しか得られません。ツェートマイヤーは著名なヴァイオリニストだけど、アムステダム・バッハ・ゾリスデンというのもようわからん感じ。きりりと引き締まったモダーン楽器アンサンブル、Handel、Bachという2大巨頭に+Bachの親戚筋?登場して、なかなか凝った選曲であります。CD2枚分。

 Handel合奏協奏曲 作品3は管楽器も入って華やかな作品集、全6曲。Bachのブランデンブルク協奏曲にも負けぬ名曲と思うけれど、人気は作品6のほうが上でしょうか。 ヘ長調 作品3ー4はLargo-Allegro-(6:02)-Andante(2:10)-Allegro(1:04)-Allegro-Menuet(3:02)、緩急緩のフランス風序曲から始まって、きりりと引き締まった正確な技巧、小編成アンサンブルの冴えに間違いないけれど、なんかサイボーグかターミネーターのように怜悧な風情、一年前には”旧態たっぷり豊満なサウンドに非ず、引き締まった風情によう歌ってバロックの魅力を堪能”と書いたけれど、ま、その通りなんだけど、なんか息苦しいほどの几帳面なんです。よう歌ってというのは違うみたい、正確にリズムを刻んでその集中力はちょいと堅苦しい感じ。

 これは次のBach ヴァイオリン協奏曲ニ短調/ト短調でも同様、ツェートマイヤー自らのソロ前面なのでいっそう個性がわかりやすい。ニ短調BWV1052は番号的にチェンバロ協奏曲の第1番ニ短調として有名、じつはこちらが(消失した)原曲らしいとのこと。ピアノだと大柄に過ぎると感じて、ヴァイオリンのほうが”ニ短調の重さ”、大きさは軽減され、それはツェートマイヤーの個性もあるのでしょう。(7:26-6:43-7:36)ト短調BWV1056はチェンバロ協奏曲ヘ短調として知られて、これもヴァイオリンが原曲らしい、但しBachの作品かどうか不明(Wikiによる)とのころ。第2楽章「Largo」の安寧が魅惑の作品、たしかに聴き馴染んだ作品は新鮮に親密に感じました。(3:26-3:06-3:07)敬愛する大Bachに駄作なし、但し”理想のヴァイオリン協奏曲”求めて、なかなか知情意バランス整ったものには出会えなくて、これも”息苦しいほどの几帳面”な集中力+クールに洗練された音色技巧の冴えに感心しつつ、これがヴェリベストとは云えぬ感じ。好みの問題かと。

 Handelに戻って変ホ長調 作品3ー2、田園牧歌的かつノリの良い5楽章(1:53-2:38-1:56-1:46-2:58)、オーボエとファゴットが印象的な活躍+もちろんしっかりヴァイオリンも絡んでこれも名曲でしょう。ノリが足りない?これも神妙に生真面目な風情が支配的でした。とくに第2楽章「Largo」辺り、ほの暗い風情にそれを感じます。立派なアンサンブルなんですけどねぇ。第4楽章「Menuett」にはいっそう牧歌的な雰囲気求む!

 Bach ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV1042はBachの作品でも愛されている明るい作品。たしか映画「ある愛の詩」(1971年)に第3楽章「Allegro assai」が引用されておりました。(チェンバロ協奏曲ニ長調 BWV1054だったかも=同じ旋律)これも自分の好みだけれど、繰り返しがやや間延びしてしつこい!印象があって残念、お気に入りではありません。ツェートマイヤーは速めのテンポに素っ気なく、淡々と演奏して美しい、かなり理想的かも。(7:10-6:47-2:41)ヴァイオリン協奏曲 第1番イ短調 BWV1041のほうは好きですよ、暗めの旋律が。こちらはテンポ急がず、噛みしめるような、ちょいと”泣き”の味わいもあってデリケートな美音、落ち着いてしっとりと仕上げ。(3:58-6:18-3:24)

 Johann Bernhard Bachは大Bachの又従兄弟(はとこ)なんですね。独逸の小川(Bach)さんは音楽一家、親戚一同全部家業だったんでしょう。息子たちも音楽家ですもんね。序曲ト短調とはこれが出会い、初耳、フツウ求めてわざわざ聴きませんよ。”ほの暗い風情手堅い作風”な弦楽作品は5楽章、WikiによるとTelemannに似ているとのことだけど、これに限っては彼(か)の平明な作風ではない感じ。一年ぶりの拝聴は”ほの暗い”というより重苦しくやや間延びした第1楽章「Largetto」〜やがて咳いて「Allegro」に入るフランス風序曲(5:55)第2楽章はリズムがオモロいけど暗い「Torneo Allegretto」(2:07)相変わらず意気が上がらぬ第3楽章「Aria,Adagio」(3:05)悲しげな舞曲になっている第4楽章「Menuetto altanativo」(4:12)ますます悲劇性を増してテンポを上げる終楽章「Cariccio,Vivace」(3:28)・・・大Bachとはかなり違いました。

(2019年7月28日)

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written by wabisuke hayashi