Handel 牧歌劇「アチスとガラテア」(1985年ライヴ)


Handel

牧歌劇「アチスとガラテア」HWV.49a

ミュラー=ブリュール/ケルン・カペラ・クレメンティーナ

1985年4月23日スイス・ルガーノ・会議場ホール・ライヴ(NHK-FM放送よりエア・チェック)

 手持ちのカセットには、当時のFM雑誌から切り抜いた詳細情報を貼ってありますが、これが今となってはよく理解できない。(役) ガラテア;バーバラ・シュリック(s) アチス;ポール・エリオット(t) ダモン;ギー・ドゥ・メイ(t) ポリフェームス;ミヒャエル・ショッパー(b)・・・・と、ここまでは理解できる。ところが(演) サラ・レオノール(s) マイケル・チャン(a) アンドリュー・マルガトロイド(t) ダグラス・ライヒ(t) ジェレミー・ホワイト(b) となっていて、(役)と(演)とはどう違うのか。謎。

 だいたい、この曲はどんな筋立てなのか、サッパリわからない。「音楽事典で調べよ」といわれそうだけれど、そんなもの手元にはない。牧歌劇だから、牧歌的な劇なのでしょう。(まんま。調べてみるとパストラーレ、つまり田園劇という訳もある。1718年ロンドン初演)つまり、教会音楽とかじゃなくて、「ヘンゼルとグレーテル」とか「ダフニスとクローエ」みたいな筋でしょうか。「バーロー、なんも知らんくせにホームページに載せんなや」と、言われても仕方がない。

 でも、この曲、とても楽しい。2幕全曲で81分、CDにするにはちょっと中途半端。ガーディナーが1978年に録音しています。(おそらく廃盤でしょう)英語による演奏。Mozart の編曲版(ドイツ語)もあるそう。

 シンフォニアがウキウキして、これ、まるで合奏協奏曲 作品3の軽快なノリです。おそらく古楽器のオーケストラ。ありがちな、音の薄さ、響きの濁りはなくて、スッキリとして滑らか。(おそらく2本の)オーボエが大活躍で、一気に平和な田園風景に連れていってくれます。オーケストラの「鳴り」がよいので、もしかして古楽器奏法を取り入れた現代楽器に、一部管楽器にオリジナルのレプリカを加えたものかも知れません。

 声楽方面には弱いワタシですが、ポール・エリオットとかマイケル・チャン辺りは名前くらい知っている。でも、歌の良し悪しはわかりません。冒頭の全員の合唱の足並みがやや揃わないが、やがて舞台特有の熱気が感じられて気持ちよくなってくる。息も合ってきました。

 1985年といえば、Bach 、Handel 、Scarlattiの生誕300年。この時期には、バロックに相応しい清廉な唱法も広がっていたのでしょうか、過度なヴィヴラートや大げさな歌い回しとは無縁です。オーボエと声楽がユニゾンの部分はわかりやすい。ソプラノ・リコーダーがオブリガートしているのは、とても可憐で美しい。第2幕の冒頭で、優しく男声、女声、が追いかけていって、継いでオーボエが、そしてヴァイオリンが重ねて行くところの絡み合いが、なんとも優しく、美しい。

 どこもわかりやすい旋律で、これ、おそらく録音してから1・2度しか聴いていないと思いますが、覚えやすい印象的なもの。牧歌劇だから、威圧感みたいなものとも無縁。音質的には、いかにもライヴっぽいデッド感はありますが、それなりのもの。安物のカセットゆえの音質の劣化もあります。

 Bach の声楽作品が、つぎつぎと演奏され、CDも作られるのに、Handel の作品上演の機会が少ないのはどういうことでしょうか。(「メサイア」くらいでしょ?ふだん聴けるのは)もっと気軽で明るくて、「眉間にシワ」のBach とは、ひと味違った楽しさと思うのですが。(Bach の受難曲を聴くと、いままでの人生を反省してしまう。そう毎日反省しちゃいられないので)

 あまり知られていない名曲を見つけてしまう素朴な喜び。演奏家も渋いでしょ?


 この度、MDに収録しましたが、82分だから2枚目はだいぶ余る。やはりHandel で埋めましょう。(カセットに残っている録音)

まず、グールドのチェンバロで組曲第1番イ長調。なんか、一種独特の金属的な音色で、彼特有の自由なリズム感と節回しはピアノそのまま。

 手持ちのカセットを調べたら、ホリガー、ブールグ、トゥーネマン、ジャコテの「トリオ・ソナタ」が出てきたので、それも。いずれもライヴじゃなくて、新しい曲が知りたくて昔FMから録音したもの。でも、これも廃盤じゃないのかなぁ。ちゃんと調べていないけど。こんなに楽しい曲なのに。

(2000年9月29日更新)


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written by wabisuke hayashi