Grieg ピアノ協奏曲イ短調/序曲「秋に」/
交響的舞曲(リーリャ・ジルベルシュテイン(p)/
ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団)


DG(写真の作品組み合わせは別)Brahms Grieg

ピアノ協奏曲イ短調(リーリャ・ジルベルシュテイン(p)/1993年
演奏会用序曲「秋に」(1988年)
交響的舞曲(1986年)

ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団

DG 4713002(写真とは作品組み合わせは別)

 これはGriegの管弦楽付き作品録音の中の一枚。Lilya Zilberstein(1965-旧ソヴィエット→独逸?)は一時DGに連続して録音を重ねて、その後の活躍はいかがでしょうか。著名なピアノ協奏曲は冒頭カッコ良いティンパニの入りに呼応して、劇的なソロが下降音形に開始するところ(フィヨルドに注ぐ滝の描写とか/Wikiより)そして清涼な旋律が歌う、ほんまにようできた浪漫作品と思いますよ。誰の演奏であれこの名曲を聴いて失望したことは滅多にありません。第1楽章「Allegro molto moderato」から切れのあるテクニックは爽快に骨太、リリカルなタッチも濁りないデリケートなもの。Neeme Jarv(1937-愛沙尼亞)の伴奏はいささかの逡巡もない力強さ、ちょっぴりざらりと剛直なサウンド。音質も極上でした。劇的浪漫な旋律リズム変幻自在な風情はSchumannにとても似て、いっそう爽やか。(13:04)第2楽章「Adagio」は弦が粛々しっとりと歌う切ない始まり。そこにホルンが懐かしく参入してもピアノがなかなか出てこない・・・ようやく静かに遠方より到来。やがてそれは激情に迸(ほとばし)って雄弁、シルベルシュテインのピアノはリリカルな音色が美しい。(6:18)第3楽章「Allegro moderato molto e marcato」は軽快に民族的なリズムは決然として劇的。ソロの流麗な技巧が走って力強い。やがてフルートが切ない中間部から第2主題が懐かしく歌い上げました。この辺り、ソロとオーケストラは息を合わせて絶品なところ、やがて華やかに劇的雄弁なフィナーレに締めくくって、ソロの音色はラスト迄濁らない。(10:37)

 演奏会用序曲「秋に」はもしかして初耳?1865年上記ピアノ協奏曲のちょっぴり前の初期作品なんだそう。パワフルにリズミカル、元気の良い作品は、期待通りのちょいと粗々しいサウンドに爆発して、なかなか賑やかに終了いたしました。(11:23)

 交響的舞曲は懐かしい民族風、明るくわかりやすい旋律リズムを駆使した実質的な交響曲。第1楽章「Allegro moderato e marcato」これも闊達に元気よろしく、朗らか弾むようにリズミカルな躍動に始まりました。トリオにはちょっぴり哀愁の情感が高まって、ここはパワフルな爆発。そして上機嫌に最初が繰り返されて終了します。(6:54)第2楽章「Allegretto grazioso」は優しく牧歌的な緩徐楽章、懐かしい旋律がオーボエに導かれて弦が静かに、爽やかに歌います。途中不安の影がデリケートによぎる・・・そしてオーボエの旋律が戻ります。(6:02)第3楽章「Allegro giocoso」は前楽章の雰囲気そのまま、ローカル色濃いメヌエット風舞曲リズムをしっかり元気に刻みました。ここもパワフルな演奏に途中哀愁がちょっぴり兆しました。(6:04)第4楽章「Andante - Allegro risoluto」は暗鬱な始まりから、風雲急を告げる緊張感漂って劇的、そして叙情的に哀愁の美しい旋律も頻出して立派な締め括りでした。ここだけが(イ)短調なんです。ここもトリオは一転、安らぎの静謐が静かに訪れました。(12:07)粗野にパワフルな金管サウンドは全編に活躍して骨太、そして北欧の清涼はしっかり感じられて、それが魅力でしょう。

(2024年6月8日)

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written by wabisuke hayashi