Grieg ホルベアの時代より/2つの悲しき旋律/2つのノルウェーの旋律他
(ウィリー・ボスコフスキー/ナショナル・フィル)


Decca SXL 6766 Grieg

組曲「ホルベアの時代より」作品40
2つの悲しき旋律 作品34
2つのノルウェーの旋律 作品63
劇音楽「ペール・ギュント」第1組曲より第2曲「オーゼの死」
組曲「十字軍の戦士シグール」作品56より第3曲「忠誠行進曲」

ウィリー・ボスコフスキー/ナショナル・フィル

DECCA LP音源 SXL 6766 1974年録音

 例年にも増して厳しい暑さが続きます。引退身分にたっぷりな時間を費やしても音楽拝聴に集中力が続きません。せめて涼し気な音楽を聴いて気分を変えましょう。Willi Boskovsky(1909ー1991墺太利)はウィーン・フィルのコンサート・マスターを1970年に引退。ウィンナ・ワルツとかオペレッタ、Mozart辺りの指揮者として録音を多く残して、この英国の録音用オーケストラとのGriegは珍しいと思います。どんな経緯だったのでしょう。これが弦の名人としてなかなかの美しい仕上げ、北欧の美しい旋律をたっぷり愉しませてくださいました。

 Edvard Grieg(1843ー1907諾威)はメロディ・メーカー、民族的な旋律を親しみやすく仕上げてわかりやすい。組曲「ホルベアの時代より」作品40はもともとピアノ作品だったそうで、アイナル・ステーン=ノックレベルグ(p)による演奏はオリジナルのほうがよろしいかも、そんな印象を得たものです。バロックの衣装をまとってPraeludium-Sarabande-Gavotte-Air-Rigaudonからなる弦楽組曲、夢見るように躍動して爽やかな世界が広がりました。心持ち速めのテンポに浮きたつように几帳面なフレージング(Praeludium)泣ける旋律表現も意外とさっぱり清涼として(Sarabande、Air)闊達な場面(Gavotte)との対比も上手いもの。ラスト「Rigaudon」の細かい旋律リズムはユーモラスに繊細でした。(20:26)

 「2つの悲しき旋律」はもともと歌曲から弦楽7−9部?に編曲された、たっぷり”泣ける”旋律。内向きに甘い旋律もボスコフスキーはたっぷりと素朴に歌って力強い(傷ついた心)。「春」(過ぎた春は誤訳なんだそう)は、なんと寂しげなつぶやきなんでしょう。(6:49)2つのノルウェーの旋律も弦楽9部の作品。寂しげデリケートにシンプルな「民謡の調子で」はやがて纏綿と歌って劇的、「牛寄せ歌と足踏み踊り」は田園牧歌的に静謐な始まり、快活な泥臭いリズムが明るく躍動します。(11:11)

 「オーゼの死」は誰でも知っている「ペール・ギュント」より妻の死の場面、嘆きの旋律はシンプルであり、息も絶え絶え。弱音器付きですか?(3:31)「忠誠行進曲」は一転、金管の華やかなファンファーレより始まって、堂々たるゆったりとした歩みがスケール大きく表現されました。(8:51)

(2022年8月13日)

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written by wabisuke hayashi