Bach ゴールドベルク変奏曲(アマティ弦楽三重奏団)


COLUMNS  99564 Bach

ゴールドベルク変奏曲 (シトコヴェツキーによる弦楽三重奏版)

アマティ弦楽三重奏団

COLUMNS 99564  1999年録音  $2.99で購入

 シトコヴェツキーやマイスキー等による録音はかつて話題になったものですが、現役ではないとおもいます。原曲も文句なく素晴らしい名曲中の名曲だけれど、Bach はどういじっても音楽の骨格が崩れないから凄い。ジャズになるくらいだから、優雅な弦楽トリオに変身したってなんの不思議もないんです。ピカピカの新録音で、価格も価格だからなんか宝物を見つけた思い。

 ジル・シャロン(v)ほか3人のアンサンブルですが、これBRILLIANTでMozart のセレナードを出している「アマティ室内管」のメンバーですね。知名度はともかく、オランダの優秀な現代楽器アンサンブルに間違いはなくて、録音も優秀。全54分だから、繰り返しは実行していません。(グレン・グールドに捧げる〜ということだから、彼にならって繰り返しせず、ということか)

 バロック音楽には一種特有のリズム感が存在します。ワタシはBach に限らずこの辺りの音楽は大好きですが、やはり別格と感じました。「バロック音楽」等という範疇を越えて、純粋に音楽の崇高さ、みたいなものがダイレクトに胸を揺さぶる感じ。雰囲気としては楽器指定のない「フーガの技法」を連想させるが、こちらは溢れでるような歌心に満ちた旋律が懐かしい。

 シャロンのヴァイオリンは清潔で歯切れも良いが、かの有名な「アリア」はなんと甘やかに、しっとりと表現されていました。「バロックのBach 」方向ではなくて、浪漫的に、旋律の歌謡性を前面にだした演奏ぶり。3声部への編曲は完璧で、個人的にはやはりチェロが担当する低音部が豊かに響いてくれるところが嬉しい。

 よ〜く馴染みの曲だし、どこを聴いても気持ちよくて、ウットリと癒やされます。もともと「睡眠のための音楽」でしょう。ここ最近、やたらと高尚な芸術化している「ゴールドベルク」(素晴らしきグールドの責任か。はたまた厳格なるヴァルヒャのせいか)。この演奏、ちゃんと本家帰りしていて、優しくも繊細な弦の絡み合いを堪能していると気持ちよく眠くなります。気持ちヨロシ。

 つまり、流行のリズム思いっきり強調型の激演ではないんです。「Bach の旋律って、ホントはこんなに浪漫的で甘いんですよ」とでも言いたげな演奏ぶりに、意識がじょじょに薄れ、ボ〜っとしてくる。ダメ押しのように、曲調が少しずつ変化して、繰り返され催眠状態に突入。

 ラスト「アリア」に回帰に、意識が戻るか、そのまま深く快適な睡眠状態に移行するかは本人次第。いずれも覚醒後は爽やかでしょう。

(2001年9月7日)

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written by wabisuke hayashi