Zino Francescatti Violin Recital(ジノ・フランチェスカッティ)
Dances by Bronislaw Gimpel(ブロニスラウ・ギンペル)ヴァイオリン小品集


Columbia Masterworks set M-660, three 10-inch 78-rpm records Zino Francescatti Violin Recital

Tartini: Variations on a Theme of Corelli(コレルリの主題による変奏曲)
Shostakovich: Polka from "The Age of Gold"(バレエ音楽「黄金時代」よりポルカ)
Debussy: La Fille aux Cheveux de Lin/Minstrels(亜麻色の髪の乙女/ミンストレル)
Schumann: The Prophet Bird(預言の鳥)
Wieniawski: Caprice in A minor(カプリース イ短調)

ジノ・フランチェスカッティ(v)/マックス・ランナー(p)(April 12 and 25, 1946)

Dances by Bronislaw Gimpel

Vox album 616, four 10-inch 78-rpm records Bartok: Rumanian Folk Dances (arr. Szekely/ルーマニア民族舞踊)
Stravinsky: Petrouchka - Danse Russe (arr. Dushkin/バレエ音楽「ペトルーシュカ」〜「ロシアの踊り」)
Wieniawski: Mazurka in D, Op. 19, No. 2 ("Dudziarz"/バグパイプ?)
Achron: Hebrew Dance, Op. 35, No. 1/Dance Improvisation on a Hebrew Folk Tune, Op. 37(Hebrew/ヘブライ)
Sarasate: Jota Navarra (Spanish Dance No. 4), Op. 22, No. 2(ホタ・ナヴァラ)

ブロニスラウ・ギンペル(v)/アルトゥール・ギンペル(p)(Issued in 1947)

The Shellackophileより音源入手拝聴

 21世紀に入りCD価格暴落の契機を作った歴史的音源。おそらくは1,000枚の単位で入手し、拝聴し、そして九割がた処分いたしました。若い頃はLPCDは高価だったし、世評さておき”まず安いこと”最優先、たくさん素敵な、未知の音楽を聴きたかった!そんな情熱はありました。かつて隣国に比べ”10年ネット環境は遅れている”と評された日本も、Yahoo!BBなどの努力もあって昔話へ。時代はスマホやタブレットの時代(ネット環境個人所有)となりました。時代遅れとなった後期中年音楽愛好家(=ワシ)は、パブリック・ドメインに至った往年の名演奏を”自主CD”にて堪能しつつ、処分した歴史的音源(著作隣接権消滅分)は”いつでもネットより入手拝聴可能”な時代を愉しんでおります。

 こんなツマらん話題、千度【♪ KechiKechi Classics ♪】にて繰り返しました。オークションでの格安CD処分は7年経過?ここ最近は昔馴染み、それなりのステレオ録音さえ、主に音質劣化を気にしての(贅沢)出品を加速させております。売れ行き鈍いけどね。時代が時代だから仕方がない。もとより知名度や世評を気にすることはあまりなく、幅広く音楽拝聴の機会を広げようと意識して幾十年。出会ったThe ShellackophileというSP音源専門のブログは、その音質水準の高さに驚かされてきました。一部マニアの占有物であったSP音源を、良心的な音質再生しネット公開して下さる姿勢に感謝。フツウの家庭では再生条件は整いませんもの。

 当時のSPはおそらく高価だったんでしょう。ジャケット・デザインも美しい。

 ジノ・フランチェスカッティ(1902 - 1991)は往年の仏蘭西人ヴァイオリニスト。亜米利加での活躍印象であったと記憶します(1939年渡米定住とのこと。戦争の関係かも)。日本では主にブルーノ・ワルター音源とともに記憶されているでしょう。この小品集は当時44歳。文句なし技巧のキレと明るく歯切れのよい音色、若々しい軽快なる躍動、時に蠱惑的甘美な音色を誇って、ほとんど驚異的な音質であります。SPの盤面状態によって、時に少々ノイズが乗ったりするのは当たり前。

 こんな、”ヴァイオリン小品集”みたいのは最近流行らんのかな?選曲が凝っていて、Tartiniはクライスラー編?っぽい(ただの短縮版かも)けれど、定番クライスラーの作品は収録されず〜おそらくは著作権?の関係かも。同業者(1875 - 1962)への仁義の意味もあったのか。オリジナルを知っていると、あまりの短縮版、短さに驚かされます。著作権云々だったらShostakovichなんて、当時現役ホカホカ音楽でっせ。これがユーモラス、素っ頓狂な旋律、意外とフクザツなリズムが愉しいもの。Debussyは期待通りの神秘的、抑制された音色が官能的。いずれSP収録時間の関係か、さらりと速めのテンポを採用して粋な風情であります。

 Schumannの颯爽として自由な表現は、ステレオ時代には聴かれぬもの。Wieniawskiの超絶技巧は、若い頃が優れているに決まっております。ハイフェッツ辺りを思い起こせば、こちら気品のある美しい音色もまた、みごと。

 これだけでは収録が短いし、同じブログより類似の趣向を拝聴いたしましょう。

 フランチェスカッティと同時期録音か。こちら演目少々マニアックにハードですよね。ブロニスラフ・ギンペル(1911-1979)は知名度的にはちょっぴり落ちるし、レーベルもメジャー・レーベルではない(VOX)から存在としてはジミかも。こちらも音質良好。表情付けが入念変幻自在であって、陰影はぐっと深く、技巧の冴えという点でも効果的な演目並んで、ドキドキするほど。選曲は”小品集”といった枠を超えて、大好きな土俗的旋律横溢「ルーマニア民族舞踊」(「劇的!ビフォー・アフター」の音楽〜ラスト「マヌンツェル舞曲」)、躍動する「ロシアの踊り」辺りもだれでも知っている楽しい旋律続きます。

 Wieniawskiはいかにも難曲!Chopin 辺りかなり洗練されたマズルカに非ず、つっかかるようなリズムに+重音奏法(いかにも難物)は”バグパイプ”を模しているのでしょう(カンチガイだったら教えて下さい)。Joseph Isidor Achron(ジョゼフ・アクロン1886- 1943)とは初耳作品であって、東欧ポーランド出身〜露西亜で学び、亜米利加に渡ったヴァイオリニスト・作曲家らしい。かなり劇的、ややアクのある素敵な旋律はハイフェッツに愛されたらしいが、あまり知名度は高くないでしょう。Sarasateって、ツィゴイネルワイゼンばかり有名だけど、じつはたくさん類似の(凄腕要求)作品あるみたい(NAXOSにて録音有)拝聴機会を伺っております。

 選曲そのものにギンペルの個性を感じさせる歯応えのあるもの。フランチェスカッティの洗練とは異なって、ザラリとした感触が深みを感じさせました。

(2014年5月11日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi