Elgar 交響曲第2番 変ホ長調/演奏会用序曲「コケイン」
(エイドリアン・ボウルト/ロンドン・フィル/1956年)


英PRT-GSGC2016 Elgar

交響曲第2番 変ホ長調
演奏会用序曲「コケイン」

エイドリアン・ボウルト/ロンドン・フィル

英PRT-GSGC2016 1956年録音

 フィルハーモニア・プロムナード管弦楽団との表記も見掛ける旧録音。Adrian Boult(1889-1983英国)67歳の記録。やや曇って広がりも不足気味だけれど、それなりまずまずのステレオ録音を愉しみました。三管編成+打楽器4種+ハープ2台も加わるけっこうな編成の作品は、交響曲第1番 変イ長調に負けぬ渋く、美しい名曲でしょう。後の録音は鉄板の存在だけど、この時期の記録も忘れられない。

 交響曲第2番 変ホ長調第1楽章「Allegro vivace e nobilmente」から情感が次々と湧き上がるような第1主題は、静謐に落ち着いた第2主題と対比されます。チューバの存在感が圧巻の迫力、剛直にちょっと粗い? アンサンブルも魅力的でした。(16:50)第2楽章「Larghetto」は深刻に重い足取りの緩徐楽章。トランペットとトロンボーンに主要主題が葬送のファンファーレのよう、とはWikiの解説でした。情感一杯の弦の旋律にジミだけど、厚みのある金管が重なってシミジミ、鬱蒼と静謐の対比、これが英国音楽の魅力・・・やがて執拗にクライマックスに持っていく粘り強さに負けました。(14:28)

 第3楽章「Rondo」はスケルツォ楽章。そっと剽軽に軽快な始まりも、すぐに情感の濃い旋律が力強くあとを追いかけて、陰影深い躍動が揺れ動きます。ラストの締めくくりも決まって、ここは一番カッコよいところ。(8:05)第4楽章「Moderato e maestoso」は鬱蒼としたチェロと管楽器の旋律に始まって、悠々とスケールの大きな歩みに徐々に情感が高まります。展開部はフクザツ多様な旋律変容に(実演の方によると)かなり演奏難物なところなんだそう。やがて期待通りの黄昏風景が広がって感無量、第1楽章の主題が静かに回想されて全曲の幕を閉じました。(13:09)ムリして音質やや落ちの録音を求める必要もないけれど、ボウルト翁の演奏にはいつも納得させられるもの。1944年のBBC交響楽団との最初の録音や他ライヴも聴いて愉しんでおります。決定版は1976-7年録音でしょう。

 倫敦の下町風景を描写した「コケイン」は大好きな作品。心持ち速めに有機的なテンポの動かし方、文句なく元気に筋肉質な演奏でした。この作品を聴くと、いつも「パリのアメリカ人」を連想します。こちら「倫敦の英国人」はしっとりと落ち着いた風情と情感の揺れが漂います。(14:02)

(2024年3月9日)

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written by wabisuke hayashi