Elgar ピアノ協奏曲/4つの歌曲による組曲/さようなら/
過ぎ去りしあまた誠の王女たち/スペインのセレナード/不滅の軍隊 他
(ノリス(p)/ロイド・ジョーンズ/BBCコンサート管弦楽団)


DUTTON/EPOCH CDLX-7148 Elgar

ピアノ協奏曲 作品90(Robert Walker(1946-)による補筆完成版)
デイヴィッド・オーウェン・ノリス(p)

4つの歌曲による組曲(Haydn Wood(1882-1959)による管弦楽編曲)
ロンデル/メアリー女王の歌/羊飼いの歌/ダマスクローズのように

さようなら(Henry Geehl(1881-1961)による管弦楽編曲)

過ぎ去りしあまた誠の王女たち(Anthony Payne(1836-)による管弦楽編曲)*

スペインのセレナード 作品23*

歌曲集「虚飾の帝国」〜不滅の軍隊*

Anthony Collins(1893-1963)

エドワード・エルガーの思い出による悲歌

デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ/BBCコンサート管弦楽団/BBCシンガーズ*

DUTTON/EPOCH CDLX-7148  2004年録音

 未完のピアノ協奏曲の補筆・再構成の経緯は音楽知識豊富な立派なブログを参照のこと。そこでは残念、”その復元作業は無私の情熱と献身の賜物という以上に、功名心と山師気質のなせる業という感じがまざまざ”、”出来の悪いエルガーのパスティッシュを聴かされた”、”おおむね霊感を欠いた音楽がむなしく生起しては消滅していくばかり”〜散々な評価となっておりました。再編しない版(断片?)は秘曲専門なボストックが録音して、こちら第1楽章「Nobilmente Semplice」(18:15)第2楽章「Poco Andante con rubat」(6:23)第3楽章「Allegro ma non troppo-Vivace」(12:02)に再編成された堂々たる協奏曲は、Elgarのスケール風情を再現してDavid Owen Norris(1953-)のソロも見事でしょう。

 こちら音楽のド・シロウト、Elgarファンとしていろいろ彼の音楽を聴ければそれで満足。”Mahlerの交響曲第10番補筆完成は認めない!”的硬派な思想は微塵もありませんよ。暗鬱としたヴァイオリン協奏曲、鬱蒼と黄昏るチェロ協奏曲があるんだから、ピアノ協奏曲だってあって良いじゃないの、そんな安易お気楽な音楽ファンでっせ。弦楽による協奏曲の完成度に比べ、まとまりとか感じられぬのは当たり前、作曲者が遺した断片をつなぎ合わせ、それなりの雰囲気を醸し出した、といったところでしょう。こういった試みはあって然るべし、但し、それがすべて絶賛される結果になるかは時間と世評を待たなくては。

 「4つの歌曲による組曲」は計10分弱、「Adieu」はほんの2:38ほどのピアノ小品からの編曲です。もちろん初耳。「So Many True Princesses」(過ぎ去りしあまた誠の王女たち)は Queen Alexandra Memorial Odeとのこと。原曲の伴奏はなんなのでしょう。これは知られた旋律であって、別途リチャード・ヒコックスの録音がありました。交響曲第3番も再編したAnthony Payneの編曲は高貴なスケールに充ちた6:14。

 「スペインのセレナーデ」作品23は1892年の作品、歌曲集「虚飾の帝国」〜不滅の軍隊は情報を探せません。これは後人による手は掛かっていないみたい。往年の名指揮者であったアンソニー・コリンズにこんな作品があったとは・・・Holstに学んだ作曲家でもあったのですね。スペクタクル劇的な風情に溢れたシリアスな作品は10:01。ここ最近、重い音楽を受け付けなかったことを反省、久々に英国音楽をしっかり聴いてみました。

(2018年10月7日)

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written by wabisuke hayashi