Stravinsky エボニー・コンチェルト(ジョン・ブルース・イェー)


REFERENCE RR-55CD Stravinsky  

エボニー・コンチェルト

Babin(Nygren編)  

Hillandale Walztizes(ヒランデール・ワルツ?)

ドナルド・デロッチェ/ディポール大学管楽アンサンブル

Gould 

クラリネットとバンドのための嬉遊曲

Bernstein

プレリュード、フーガとリフ

SHAW 

クラリネット協奏曲

ロバート・ラーク/ディポール大学ジャズ・アンサンブル

以上 ジョン・ブルース・イェー(cl)

REFERENCE RR-55CD 1993年録音

 2007年再聴です。大学のオーケストラ(学生?)かとバカにしちゃあきまへんで、ソロ以外も文句なく、滅茶苦茶上手いっす。それに素晴らしく音質鮮明。ジョン・ブルース・イェーは容姿端麗とは言いかねるが、テクニックまことにスムース、正確、超絶技巧であって、機能的なクラリネットの魅力を横溢させます。鋭くカタ過ぎる音色でもありませんよ。静かな部分での繊細さも、柔軟さも出色。

 「エボニー・コンチェルト」は今でも大好きですよ。”なんとなく緊張しているような、硬いような「まだ実験音楽!」といった雰囲気”とは当時の印象だけれど、こりゃ前衛ジャズですな。”なんとなく”ではなく、もの凄い緊張感と実験意識に溢れた作品で、わざと愉悦感を抜いて乾いたハードな情感で充たしてみました!的目眩く変幻自在な世界連続〜久々聴いたけれどやはり名曲ですっ!文句なし。クラリネット以外の管楽器や、ギター、ドラム(?)なんかもじつに怪しい〜そして上手い。

 「ヒランデール・ワルツ」って、変奏曲です。Victor Babin(ヴィクター・バビン)って、シモン・ゴールドベルク率いるフェスティヴァル四重奏団のメンバー(ピアニスト)なのであろうか。牧歌的なテーマで油断させておいて、少しずつ剽軽かつ調子外れに変貌して、時に現代風のハードな旋律を載せていきます。ジョン・ブルース・イェーのソロは、繊細微妙な味付け変化がまったくお見事。

 Morton Gould/Leonard Bernstein辺りの作品になると”いかにもジャズ”的ノリが素敵であって、これも前衛風じゃないだろうか。Stravinskyよりずっとまとも、というか、テイストがいかにも”それ風”節回しだけれど。Bernsteinは、いかにも元気一杯!(「ウエスト・サイド物語」を思い出してちょうだいな)だけれど。

 Artie Shaw(アーティー・ショウ)って1930年代に活躍したスゥイング・ジャズ・クラリネットの巨匠であって、いかにもその雰囲気タップリ(映画「スゥイング・ガール」を思い出して下され)の”クラリネット協奏曲”(ウソ言え!)でございます。ジョン・ブルース・イェーは、そんな作品に相応しい”軽快軽妙な自在”が存在して、逆にクラシックな作品を聴いてみたくなります。超・高音は相当な技巧要求と類推。

 エエですね、最高。ワタシのGershwin好きに一脈通じているか。このCDは現在入手困難みたいです。

(2007年3月30日)

 


 いい選曲と思うんですけど、売れなかったんでしょうね。出張先の博多・西鉄電車の待ち時間、山野楽器を覗いたら「カゴ」に500円で転がってました。(在庫処分)ワタシは煙草を吸いませんから、煙草代相当分でしょう。聴いたこともない演奏家ですけど、リファレンスは録音を売り物にしていたような記憶があったので、期待して家に持って帰った一枚。

 「エボニー・コンチェルト」は、初演者であるウディ・ハーマンの旧い録音でLP時代からお気に入りでした。リップスからCD化されていたし、EVERESTでも出ていたかも。ワタシはLP時代からお気に入りでした。00シリーズ。グリーンのくすんだジャケットが素敵だった)気に入った曲で、DATに残しています。なんとなく緊張しているような、硬いような「まだ実験音楽!」といった雰囲気。

 ジョン・ブルース・イェーというひとは写真で見ると東洋系の人で、若い。録音は非常に鮮明で、この曲のイメージを一変させました。演奏者の世代も、時代も変わって、完全に現代のリズムとなっていて、華やかで楽しいこと。技術的にも文句なしのノリノリの演奏。「クラシック」というような雰囲気ではなくて、モダーンなジャズでしょう。

 バーンスタインの曲も、カタログではなんどか見かけたけど実際に聴くのは初めてで、猛烈にジャジィで賑々しくて楽しい。ショウというひとの「クラリネット協奏曲」、な〜んて偉そうな題名を付けているけれど、ノスタルジック溢れるスタンダード風。ラプソディ・イン・ブルーの冒頭に「聖者の行進」をくっつけ、「シング・シング」のリズムに乗せたような、ほんとうのジャズです。

(1998年)


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