Dvora'k セレナーデと家庭音楽
Serenade & HausMusik


Brilliant 92396/21 Dvora'k

Rondo for cello and piano in G minor Op. 94(ロンド ト短調 )

ロバート・コーエン(vc)/ロジャー・ヴィニョールス(p)

DROBNOSTI Op. 75a, for 2 violins & viola (2つのヴァイオリンとヴィオラのための弦楽三重奏「ミニアチュール」)
「カヴァティーナ」 モデラート 変ロ長調
「カプリッチォ」 ポコ・アレグロ ニ短調
「ロマンス」 アレグロ 変ロ長調
「悲歌(バラード)」 ラルゲット ロ短調

GAVOTTE in G minor for 3 violins(ガヴォット ト短調)

BAGATELLES Op. 47 for 2 violins, cello & harmonium (バガテル)
Allegretto scherzando/Tempo di menuetto, grazioso/Allegretto scherzando/ Canon, andante con moto /Poco allegro

アルバーニ弦楽四重奏団/ハワード・デイヴィス(v)/ペーター・ポプレ(v)/ロジャー・ベスト(va)/デイヴィッド・スミス(vc)/ヴァージニア・ブラック(ハルモニウム)

SERENADE for 2 oboes, 2 clarinets, 2 bassoons, contrabassoon, 3 horns, cello & double-bass in D minor Op. 44 (管楽セレナーデ ニ短調) Moderato, alla Marcia/Minuetto/Andante con moto/Allegro molto

ナッシュ・アンサンブル

Brilliant 92396/21(Licensed from CRD Records, UK)

 安いからとボックスものを入手して、なかなか全部聴かないことも多いけれど、一生出会えぬかも知れぬ素敵な作品と、出会いを作ってくださることもあります。40枚中21枚目、偶然拝聴した”Serenade & HausMusik”と題して作品、演奏者とも寄せ集めっぽい一枚がステキな旋律連続なのに驚きました。ここしばらくDvora'kスランプ気味、中学生の頃に出会った弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品96「アメリカ」の懐かしい旋律横溢!感動が蘇りましたよ。

 ロンド ト短調は、著名なチェロ協奏曲ロ短調のフィル・アップに”ついで聴き”する機会が多いもの(管弦楽伴奏)。こちら親密なピアノ伴奏、どちらがオリジナルなんでしょうか。メランコリックかつリズム感に富んだ「Allegretto Grazioso」7:43、ロバート・コーエン(1959-英国)は穏健な手堅い演奏ぶり、旋律の魅力を際立たせております。

 弦楽三重奏「ミニアチュール」は、のちにヴァイオリンとピアノのための「ロマンティックな小品集」に改作され、ほとんど同じ旋律とのこと(未聴)。所謂、親しい人々による”HausMusik”であって、わずか2-4分の短い親密な作品が続きます。懐かしくも切ない「カヴァティーナ」、哀愁のリズム弾む「カプリッチォ」、静かに心浮き立つ「ロマンス」、「エレジー」は涙が滲む切ない 思い出であります。低弦のない、儚い風情も魅力的。「ガヴォット」はその舞曲名からイメージしたものとは遠く離れて、もの哀しい、落ち着いたもの。

 「バガテル」(小品集)も2-3分の商品ばかり、ハルモニウムの響きが安っぽい暖かさというか、身近というか、下町の大道芸のようなテイスト+気品ある弦楽四重奏との組み合わせは、ほっとするように懐かしい民謡風、キラキラ美しい旋律を歌って”佳き夾雑”が快いもの。ここでもDvora'kのメランコリック旋律の魅力、爆発しております。

 管楽セレナーデは著名な作品。オーボエ2/クラリネット2/ファゴット2/コントラファゴット(任意)/ホルン3/チェロ/コントラバスの編成。ナッシュ・アンサンブルはネット情報によると”ウィグモア・ホールのレジデント・チェンバー・アンサンブルを務め、これまでに270曲を超える新作の初演を行うなど、膨大な数のレパートリーと様々な編成に対応できる柔軟性を併せ持つイギリスのスーパー室内楽団”とのこと。

 行進曲「Moderato, Alla Marcia 」は落ち着いた柔らかい響き有、「 Minuetto 」は牧歌的ノンビリとしたな暖かさ、「Andante Con Moto」には我らがMozart の「グラン・パルティータ」K.361 (370a)陶酔の第3楽章「Adagio」にちょっぴり似て、もう少々クール、そして劇的。ラスト「Allegro Molto」はモダーンなスタイル、快活な躍動に満ち溢れました。ラスト冒頭の行進曲に回帰するのは、入退場行進をイメージして?Mozart 時代の名残でしょうか。それとも全体の統一感か。

written by wabisuke hayashi