de Falla バレエ音楽「三角帽子」/バレエ音楽「恋は魔術師」 (シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団)
de Falla バレエ音楽「三角帽子」
バレエ音楽「恋は魔術師」
シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団/コレット・ポーギー(s)/ユゲット・トゥーランジョー(ms)
英DECCA 1981年
昨今、晩節を汚すような妙な話題になっているCharles Dutoit(1936ー)、2018年迄ロイヤル・フィルとの契約が残って、そのまま継続しているのでしょうか。そんな心配さておきモントリオール交響楽団とは1977-2002年が黄金時代、そして楽団員ユニオンとの対立で哀しい結末を迎えたとか、残された録音は英DECCAの鮮明な音質もあって、どれも洗練され艶のあるサウンドに魅了されておりました。こちら無責任な、極東田舎の音楽ファンですから。
「三角帽子」との出会いはマニアック過ぎなエンリケ・ホルダ(1959年/コロムビア・ダイヤモンド1000シリーズ)、世間ではエルネスト・アンセルメ(1961年/彼が初演者、なんと舞台や衣装デザインはパブロ・ピカソ)なのか、いつまでも半世紀以上前の音源を云々しても仕方ないっしょ、って、1981年だってもう一世代前だけど。こんなカスタネット乱舞!西班牙情緒たっぷりなリズムを得意とする若手は出現しておりますか?
「三角帽子」は13曲、短縮版の組曲は7曲のみ、冒頭の女声ソロ(「ド・スケベな代官に気をつけなはれ・・・」(拙意訳))も入らんし、「序奏」のカスタネット乱舞!オレ!オレ!の掛け声もなし、オモロくありません。Wikiにはその件あまり言及されておりません。de Fallaは神経質、緻密な人だったらしいけど、途中Beeやんの「運命」の主題が出てきたり*、けっこうユーモラスな愉しい作品です。
「午後」「粉屋の女房の踊り(ファンダンゴ)」「ぶどう」ここまでが第1幕、ド・スケベな代官が粉屋の女房に言い寄り、粉屋に殴れるところ。第2幕は「近所の人たちの踊り(セギディリア)」「粉屋の踊り(ファルーカ)」を激しく踊って、やがて代官の計略により夫婦は囚えられてしまう*(まるで時代劇でっせ)。
粉屋の別嬪女房を狙う「代官の踊り」は気が急いた代官が川に落ちてしまう。ずぶ濡れの代官が脱いだ服を粉屋が着て、粉屋の服を着た代官は妻の元へ「終幕の踊り」・・・警官とご近所の人に袋叩きにされ・・・やがてすべて丸く治まって平和がやってきて粉屋の夫婦先頭に一番中踊り明かす「ホタ」へ。と、まぁドタバタ劇風、反権力庶民の味方風オモロい筋書きでした。
どれも熱狂的な(ド・シロウトがイメージするところの)西班牙の情熱リズムが軽快に躍動して、仏蘭西より仏蘭西らしいモントリオール交響楽団のサウンドは解像度高く洗練の極み、たっぷり粋な迫力もあります。(ブーレーズの洗練とは意味が違う)最近は知らんけど地元西班牙のオーケストラはあまり上手くなかったんです。これほどわかりやすい演奏を聴いたことがありません。2回登場するコレット・ポーギーものびのびとして、やや泥臭い感じがよろしい。ラスト、再度カスタネット乱舞が入る録音を聴いたことがあるけれど、いくつか版があるのでしょうか。
「恋は魔術師」も西班牙の熱気むんむんと云った名曲。「序奏と情景」からド・シロウトが思い浮かべる灼熱のリズム、「悩ましい愛の歌」はドスの効いたムズムズするような色気たっぷり(ユゲット・トゥーランジョー)。作品旋律的にこちらのほうがいっそう好きかも。有名な「火祭りの踊り」は熱狂です。シャルル・デュトワは洗練されたデリケートな弱音、オーケストラが上手いなぁ、リズムもキレも美しく最高っす。 (2018年5月5日)
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