Debussy 牧神の午後への前奏曲/ヴァイオリン・ソナタ ト短調/
チェロ・ソナタ ニ短調/フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ/
シランクス(ボストン交響楽団室内アンサンブル)


DG 2530 049 Debussy

牧神の午後への前奏曲(Benno Sachs 室内アンサンブル編)

ボストン交響楽団室内アンサンブル(1978年)

ヴァイオリン・ソナタ ト短調

ジョセフ・シルヴァーステイン(v)

チェロ・ソナタ ニ短調

ジュール・エスキン(vc)/以上マイケル・ティルソン・トーマス (p)

フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ

ドリオット・アンソニー・ドワイヤー(fl)/バートン・ファイン(va)/アン・ホブソン・パイロット(hp)

シランクス

ドリオット・アンソニー・ドワイヤー(fl)(以上1970年)

写真はLP/DG 2530 049

 LP時代愛聴していたDebussyの室内楽を集めたものに+「牧神」室内アンサンブル版の録音を加えたもの。この演奏で若い頃、Debussyの妖しい官能に充ちた室内楽の魅力に目覚めました。メンバーはボストン交響楽団往年の名手ばかり、Boston Chamber Players(BOSCHAPS)には数多くの録音があって、その代表的録音でしょう。若手だったMichael Tilson Thomas(1944-亜米利加/当時は副指揮者かな?)も参加しておりました。音質はしっとり上質なもの。

 簡素にさっぱりとした「牧神の午後」は室内アンサンブル版でも贅肉を省いて充分に官能的、これはこれでムダのない、完成された響きを堪能できました。編成は、ヴァイオリン2/ヴィオラ/チェロ/コントラバス/フルート/オーボエ/クラリネット/サンバル・アンティーク/ピアノ/ハルモニウムメンバー詳細はわかりません。(10:50)

 長くコンマスを務めたJoseph Silverstein(1932-2015亜米利加/コンマス在任1962-1982?)によるヴァイオリン・ソナタは第1楽章「Allegro vivo」から気怠く遣る瀬ない旋律がそっと囁きました。ちょっと細かいヴィヴラートが妖しく、ピアノもデリケート。(5:11)第2楽章「Intermede: Fantasque et leger」は気紛れな旋律が剽軽にユーモラス。(4:18)第3楽章「Finale: Tres anime(とても生き生きと速く)」は細かい音型が抑制されて第1楽章が再現されて始まりました。夢見るような詠嘆が快活に疾走して切なく、自由自在。(4:12)

 Jules Eskin(1931-2016仏蘭西?)はなんと53年間亡くなる直前迄ボストン交響楽団に在任したとのこと。劇的なピアノからチェロが切なく歌うチェロ・ソナタは小味な風情にデリケートそのもの、艷やかなに剛毅なチェロではない。第1楽章「Prologue」はなんとも決然と哀愁のピアノから、チェロは抑制された雄弁にしっとり切なく歌いました。(4:53)第2楽章「Serenade」はなんともギクシャクとしたピチカートがピアノと対話しつつ始まって、やがて流麗なフィナーレへと疾走しました。実質上は3楽章ですね。(7:24)

 Doriot Anthony Dwyer(1922ー2020亜米利加)もボストン交響楽団の顔みたいな人、首席在任は1952ー1990年。Burton Fine(1930-2024亜米利加)も首席を29年務めたあと、引退する2009年迄在任を続けたそう。ソナタは空中を浮遊するような幻想風、フルートは気品に充ちて深く、セクシーな音色で魅了します。くすんで深いヴィオラと可憐なハープというなんとも渋い組み合わせ、儚くも落ち着いて静謐、時に華やかなサウンドも出現しました。第1楽章「Pastorale」ハープの半音階がなんともエッチ(6:42)第2楽章「Interlude」(5:37)第3楽章「Final」ここは緊張感あるテンポ・アップ(4:48)

 ほんの短いシランクスには能を連想させる東洋的に怜悧、幽玄な空気が流れました。Bachと並ぶフルート・ソロの最高傑作でしょう。(2:44)

(2025年2月8日)

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written by wabisuke hayashi