Copland 交響曲第3番ホ長調
(アンタル・ドラティ/ミネアポリス交響楽団)


Mercury Copland

交響曲第3番ホ長調

アンタル・ドラティ/ミネアポリス交響楽団

Mercury Living Presence 1953年録音

 Dorati Antal(1906ー1988洪牙利→亜米利加)はミネアポリス交響楽団のシェフとしては1945-1960年長期関係が続いて、モノラルからステレオの移行期、いずれも良質な音質を誇ってMercuryに多く録音を残しました。Aaron Copland(1900ー1990亜米利加)は20世紀も中盤なのに平易に懐かしい旋律和声がわかりやすい保守的?作風。1948年初演(セルゲイ・クーセヴィツキー)3管編成。これは初演からわずか5年後の録音、第4楽章「庶民のためのファンファーレ」はその昔人気だった料理番組「料理の鉄人」のテーマ音楽として有名でした。同時代の音楽を伝える意欲に溢れて、金管や打楽器が活躍して、オーケストラの技量も音質も必須な作品、日本ではまったく人気のない名曲と思います。たしか、ドラティにステレオでの再録音はなかったと記憶します。

 第1楽章「Molt moderato」は例のシンプルな音型、安寧静謐な木管から始まって、低音もしっかり効いて徐々に壮麗な金管も参入。広大なる草原風景を彷彿させる、堂々たる地平、希望に充ちた平和な風情が続いて静かに収束しました。(9:21)第2楽章「Allegro molt」はホルンの雄叫びに太鼓が呼応して、金管も輝かしくかっこよいファンファーレ風始まり。やがて木管が細かい音形がユーモラスに疾走するスケルツォ的楽章。打楽器のリズム、低音の存在感、金管の輝きが呼応して、中間部には優しい田園風景も広がって、ラスト堂々たるスケールに締め括りました。(7:42)

 第3楽章「Andantino quasi allegretto」は緩徐楽章。弦を中心として、つかみどころのない不安な旋律が静かに続きます。中間部は可憐にユーモラスな舞曲が聴かれ、ここは「アパラチアの春」を彷彿とさせました。(9:11)第4楽章「Molt deliberate(Fanfare)Allegro risolute」は有名な「庶民のためのファンファーレ」が高らかに輝かしく歌って、壮麗なフィナーレを迎えました。金管とティンパニの呼応は朗々と圧巻の迫力、その旋律を受けて牧歌的な風情に弦や木管が優しく、細かい音型に絡み合ってやがて輝かしく疾走します。打楽器の迫力リズムはまるで「ビリー・ザ・キッド」、変拍子だけど難解さ晦渋さとは無縁の音楽が続いてノリノリ。やがて「ファンファーレ」が全力で回帰して喜ばしく、歓喜の絶頂に全曲を締め括りました。(12:19)堂々たる重厚長大風独墺系交響曲とはまったく別な個性の大衆的民衆の交響曲、もっと演奏機会は増えないものでしょうか。これではお客は呼べないのかな?

(2024年5月11日)

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written by wabisuke hayashi