Copland 3つのラテン・アメリカのスケッチ/組曲「静かな都会」/
クラリネット協奏曲(ラウラ・アーデン(cl))/バレエ組曲「アパラチアの春」
(ポール・ガンビル /ナッシュヴィル室内管弦楽団)


NAXOS 8.559069 Copland

3つのラテン・アメリカのスケッチ
組曲「静かな都会」
クラリネット協奏曲(ラウラ・アーデン(cl))
バレエ組曲「アパラチアの春」

ポール・ガンビル /ナッシュヴィル室内管弦楽団

NAXOS 8.559069 2001年録音

 この団体はナッシュビル交響楽団とは別物らしくて、小さい編成の響きは引き締まって、知名度さておきなかなかの実力でした。Paul Gambillの詳細情報は探せなかったけれど、もともと亜米利加のホルンニスト、この室内管弦楽団の創立者とのこと。音質極上。Aaron Copland(1900ー1990亜米利加)はワリと最近迄生きていた近現代の人なのに、その作風はどれも親しみやすく、旧き佳き亜米利加そして南米を彷彿とさせる作品ばかり。

 溌剌としたリズムを刻む「3つのラテン・アメリカのスケッチ」はコンガとトランペットとの掛け合いもユーモラスなに軽妙な「Estribillo」(3:18)例の穏健な風情漂って、遠いトランペットや木管も味わい深い静謐漂う「Paisaje Mexicano(メキシコの風景)(3:57)「Danza de Jalisco(ハリスコの踊り)は闊達ノリノリにリズミカルに細かい音形が変拍子に、打楽器やピアノの合いの手も多彩に躍動します。(3:38)どれも切り詰められた編成に意外とクールな風情の演奏でした。

 「静かな都会」の舞台は南米の喧騒より落ち着いた大都会の夜に移って、トランペット・ソロは懐かしくも太い音色に雄弁、それを受けるイングリッシュホルンの詠嘆が印象的。それを支える弦は痺れるようにデリケート、情感は深まります。そして静かに消えていきます。(9:16)

 高名なベニー・グッドマンの依頼によるクラリネット協奏曲の伴奏は弦楽、ハープ、ピアノのみ。第1楽章「Slowly and expressively」はいかにもCoplandらしい、ゆっくり深い溜め息が寄せては返すようなのような静謐な清潔なワルツ、ソロは高音がかなり難物っぽい。ファンキーなカデンツァを挟んで(これもかなりの技巧必須)第2楽章「Rather fast」は一転、軽快なチャールストンのリズムが走り出しました。ジャズの風味たっぷりに前半との対比がオモロい作品。バックはちょっとおとなしいかも。ラストまでクラリネット・ソロはタイヘンそう。(17:26)

 敬虔な祈りに溢れる「アパラチアの春」はCopland作品中(聴いた中では)一番大好きな暖かい旋律。編成はヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス、フルート、クラリネット、ファゴットおよびピアノ、贅肉を削ぎ落としたようなシンプルな版も悪くありません。これもしっとり落ち着いたクラリネットより開始、やがて快活なリズムが優しく歌って、これは婚礼の場面なのですね。やがて花嫁と、農夫である夫の日々の仕事の場面とやら(Wikiにそう書いてある)そしてシェーカー派(? 宗教のことは疎いのでよくわからない)の主題の変奏曲が痺れるような敬虔さに展開されて、ここがもっとも著名であり感動的なところ。やがて感謝の念溢れて静かに全曲を閉じました。(25:11) 

(2024年2月10日)

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written by wabisuke hayashi