Telemann/Werner/Sammartini/Haydn
クリスマス作品集(ロス・ポープル/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団)


ARTE NOVA74321 31681 2/ 3枚組583円 Telemann(1681-1767)

祝典風組曲 イ長調

ヴェルナー(Gregor Joseph Werner 1693- 1766)

クリスマスのための羊飼いの音楽

サンマルティーニ(Giuseppe Baldassare Sammartini 1695- 1750)

合奏協奏曲ト短調 作品5-6「クリスマス協奏曲」

作者不明(15世紀):コヴェントリー・キャロル(Marcom Messiter編)

Haydn(1732-1809)

交響曲第26番 ニ短調 H.1/26「嘆き」(ここでは「クリスマス交響曲」と表記)

ロス・ポープル/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団

ARTE NOVA74321 31681 2/ 3枚組583円

とうに廃番となった「クリスマス3枚組」(2008年入手)より。2011年2012年、各々クリスマス時期に更新新していたもの3枚目完結編!って、力むほどのものでもなし、気軽にクリスマス風敬虔な雰囲気を味わうべき「寄せ集め」であります。演奏家も知名度薄き、モダン楽器アンサンブル、Haydnの交響曲第26番ニ短調はかつて「クリスマス交響曲」とも呼ばれたけれど、最近の研究結果によると「復活祭のために作曲された」そうです。他、収録作品はワタシが勝手に補足したもの、間違っているかも。作品の所以はほとんどわかりません。

 ま、雰囲気と気持ちの問題でっせ、そう信じて聴けばば有難味も増します。なんせこちら純真無垢な幼児期、カトリック幼稚園に2年通った刷り込み有、こんな荒んだ後記中年に至っても妙に敬虔な気持ちのみ維持しておりました。Haydnの交響曲は日常聴く機会もあったけれど、残りはなかなかマニアックな選曲収録でしょう。至ってフツウ、素直なアンサンブル+良質な音質(ディジタル録音)。

Telemannの祝典風組曲 イ長調 は弦楽による6曲からなる組曲(15:31)、穏健安寧、静かな愉悦に充ちた素晴らしき名曲。Bach 辺り、素晴らしく立派な「管弦楽組曲」と異なって、シンプルな落ち着きに心やすらぐ淡彩なる世界であります。序曲は優雅であり、第4曲「ガヴォット」はもっと賑々しいリズムと予想したけれど、あくまで穏健なる4:48(ここが一番長い)、次の「パスピエ−ダブル」、ラスト「ジーグ」も淡々と慌てず、力みはどこにもないんです。Telemannを聴くといつも、”大衆的なBach ”を連想しますね。

 ヴェルナー(Gregor Joseph Werner)とは耳慣れぬ名前、調べてみるとエステルハージ家の宮廷楽長、Haydnの前任だったらしい。一世代前ですね。やや急-緩-急3楽章わずか4:36(これも)敬虔かつ屈託のない旋律であって、あっという間に終わる小品。サンマルティーニに至ると作品はかなり陰影に充ちて、嘆きの色濃い15分。あくまで静謐、慟哭ではありません。Handel の合奏協奏曲を連想させ、もっと保守的に感じるのは演奏のスタイル故かもしれません。現代古楽器系のアンサンブルなら、もっとキビキビとリズムを強調することでしょう。第3楽章「パストラーレ」は、キリストの生誕を祝う静謐な情感溢れました(著名なCorelliのクリスマス協奏曲を彷彿)。ここは作品、演奏ともこの一枚中の白眉。

 「コヴェントリー・キャロル」はイギリスでは知られた作品らしい。わずか3分、ゆったり寂しげ、シンプル古雅な旋律はそっと呟くようにオーボエが歌います。

 さてラスト、馴染みのHaydnの作品登場。付点のリズムが哀しみをそそる第1楽章「アレグロ」、”そう聴けばそう聴こえる”、いかにもクリスマスの静かな悦びに溢れる第2楽章「アダージョ」(アダム・フィッシャー盤は5:20、こちら3:36は繰り返し省略?)は名曲。オーボエがアンサンブルを彩って、ラスト、ホルンが登場して荘厳に締めくくります。終楽章はメヌエットなんですね。表題「Lamentatione」に相応しい暗鬱な表情〜中間部には晴れやかな表情を挟んで、ほの暗い情感が漂いました。

 演奏は至って正統な、飾りの少ない、整ったアンサンブル。記憶ではArteNova3枚組でHaydnの交響曲出ていましたよね。得意の作品なんでしょうか。

(2013年12月14日)


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written by wabisuke hayashi