● To CLASSIC ちょろ聴き

CLASSIC ちょろ聴き(28)


RPO 203320  6枚組1,280円Beethoven 交響曲全集 ロイヤル・フィル(1993〜95年録音)
かなり以前から数人の方々から「やれ買え、それ買え」とお勧めを受けていたセット。でもさぁ、Beeやん苦手だしぃ、なんて言いつつ6枚(ほんまは5枚で収まるはずなのに!)1,280円(!)だっせ。ある日、東京出張のついでに見掛けて買っちまいました。ま、これほどの水準のものが安く買える・・・良い時代になりました。音質良好。↓以下、カンタンにコメントを。知名度の低い指揮者ばかりだから、といってバカにしちゃいけないよ。座右に置くに値する標準的佳演目白押し。優秀録音勢揃い。さあ、キミも買え!激安全集を。(ちょろ聴きとはいえ、一気聴きはツカれます・・・2004年5月3日)

RPO 205297 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第1番ハ長調 作品21〜ワーズワース/ロイヤル・フィル(1994年録音)
三曲担当しているバリー・ワーズワースだけれど、この作品が一番気持ちよい出来か。NAXOSでのHaydnにも共通する、真っ直ぐで虚飾のない(・・・工夫も?)姿勢が、この作品の場合、ピタリでしょう。響きは厚くからず風通しがよろしい。これといった個性はないが、真面目で穏健、耳あたりが爽やか、若きBeethoven に相応しい明るさ、カルさもあります。当然薄味でスケールはありません。木管はシミジミ美しい。(2004年5月3日)

RPO 205297 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第2番ニ長調 作品36〜ジェイムス・ロックハート/ロイヤル・フィル(1994年録音)
日本でもお馴染み、教育者としてアマオケも指揮するイギリスのヴェテランは、細部にワザがあります。オーケストラが同じ(軽快で涼やかなサウンド)なので、一見ワーズワース風穏健派(たしかにそう)でありながら、旋律に微細な歌が存在して”隠し味”系です。急激な変化や大仰な節回しがないのは共通しているが、旋律のひとつひとつに味付け(躍動、歌、表情のニュアンス)を施して、喜ばしい、満足いっぱいの演奏。推進力もメリハリもあります。組み合わせはロックハートだけで第2/8番として欲しかったところ。(2004年5月3日)

RPO 205297 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」〜ヘルビッヒ/ロイヤル・フィル(1994年録音)
ややおとなしいが、アンサンブルの仕上げがていねいな美しい演奏。戦前の怪しげ音質+劇的個性的演奏ばかり聴いていると妙に新鮮で、最後まで楽しく聴けました。急いたところもなく、しっとりと落ち着いて瑞々しく、細部まで明快に表現してくださって、スケールもあります。でも重くはない。響きは清廉で濁らない。この人は実力者だなぁ。このRPO全集中屈指の、座右に置きたい一枚。指揮者の個性前面ではなく、素のまま無垢なる「英雄」を。優秀録音。フィル・アップなしは今時贅沢品CD。(2004年5月3日)

RPO 205298 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第4番 変ロ長調 作品60〜ワーズワース/ロイヤル・フィル(1995年録音)
バランス感覚で仕上げた、かなり良質なる「フツウの」演奏か。どこをとっても特異なる個性は感じられないが、欠点も見あたらない。驚くような激的変化ワザ、テンポの設定もありません。ヘルビッヒの「英雄」に比べれば、細部の仕上げにツメの甘さが若干あって、美しい!とまで無条件に賞賛し切れません。正直おもろくない演奏かも。でも、入門用として道を誤らないだろうから文句言うつもりなし。優秀録音。(2004年5月3日)

RPO 205298 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第5番ハ短調 作品67〜クレール・ジボー/ロイヤル・フィル(1994年録音)
ヴェテラン女流(名前から類推してフランス系か?)の「運命」。(提示部繰り返し有)リキみなく、淡々と、騒々しさとは無縁、それでいて弱さは感じさせない演奏。緊張感は充分だけれど、強制感はありません。「間」に不足するが、旋律の末尾をそっと抜くような(微細な変化)ワザも粋でしょう。味わい系で、オーケストラの響きが晴れやかで、明るい〜低音を強調しない、旋律の歌わせ方に個性がある(弱音がとくに)美しい演奏だと思います。残響豊かな優秀録音。(2004年5月3日)

RPO 205298 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」〜エルムレル/ロイヤル・フィル(1993年録音)
2002年69歳で逝去したロシアのヴェテラン。妙に静かで、隠棲したような落ち着きがあって、かなり遅いテンポは正直テンションが上がらない。録音のせいですか?ほかに比べて弦が薄く感じます。(提示部繰り返し有)第2楽章は曲調に似合っている感じ。「村祭り」は過疎化が進んだのか盛り上がりに欠け、「嵐」は天気予報より意外と被害は少なかった・・・ティンパニはなかなかの迫力だけれど。ラスト「感謝の気持ち」は、もう達観に迄至っていて、つまり常人には理解できない薄味演奏ということです。いえいえ、そんなにひどい演奏じゃないですよ。これもフィル・アップなしの贅沢品CD。(2004年5月3日)

RPO 205299 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第7番イ長調 作品92〜ワーズワース/ロイヤル・フィル(1994年録音)
第4番によく似た「謹厳実直」演奏。まっとうで真っ直ぐで、これはこれで悪くはないが、ものすごく良い!とも言い切れない。なんかこの作品が持っている「野蛮さ」が逆に目立った(というか、こんな曲じゃないでしょう、的感想)みたいで、小さく、破綻なくキレイにまとめてみました、風演奏に仕上がっていて、最後までいまひとつ爆発して欲しい、という願い有。別に全然ダメ・ヘロ演奏ってわけじゃないですよ。チカラ強さもある、しかし個性が少々足りない、ということか。やはり木管の扱いは美しいと思いました。この人は初期の作品が体質に合うのか。(2004年5月3日)

RPO 205299 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第8番ヘ長調 作品93〜ロックハート/ロイヤル・フィル(1994年録音)
ロックハートという人、実力派みたいです。いつも通りの爽やか真正面作戦だけれど、端正で実直で剽軽で上品(!)で、久々、「やっぱ第8番って名曲だ」との確信を得ました。どの部分をとっても、生き生きとして、瑞々しい。特別なことはなにもしていない(どの楽章もやや早めフツウのテンポ)はずなのに、妙に説得力が強い。第2番と同じく、旋律が躍動しております。生命がわき上がるよう。彼(か)の哲学的第2楽章「スケルツォ」さえ表情豊かで、ガンコ爺が乙にすましているような風情。ワタシ、この全集中「いち押し」です。(2004年5月3日)

RPO 205299 6枚組1,280円Beethoven 交響曲第9番ニ短調 作品125〜レパード/ロイヤル・フィル/アンブロジアン・シンガーズ/ウェブスター/ウィン・ロジャース/ヒル/ヘイワード(1994年録音)
かつてバロックの専門家、というイメージが強いレパードだけれど、故国イギリスでは着実に演奏活動を続けているのでしょう。1960年代にLPで楽しんだHandel 合奏協奏曲 作品6(イギリス室内管)の記憶と変わらず、オーソドックスで上品なる演奏。オーケストラの響きは無用に濁らず、スッキリとしたアクの少ないものでした。旋律の歌い口も自然体で、大見得とか、煽りとは無縁〜「曲に、オーケストラに語らせる」といった風情か。有名なる作品だけれど、意外と良好な音質の録音は少ないから、これはこれで気持ちヨロシ。テナーのヴィヴラートが少々うわずったり、合唱のリキみが少々気にならんでもないが、この全集に相応しい最右翼穏健派でした。(2004年5月3日)

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written by wabisuke hayashi