Chopin ピアノ協奏曲第1番ホ短調/第2番ヘ短調
(タマーシュ・ヴァーシャリ(p)/ベルリン・フィル)


DG LP Chopin

ピアノ協奏曲第1番ホ短調

イェジー・セムコフ(1963年)

ピアノ協奏曲第2番ヘ短調

ヤーノシュ・クルカ(1965年)

タマーシュ・ヴァーシャリ(p)/ベルリン・フィル

(写真は)Deutsche Grammophon LPEM 19 453

 この間幾度も言及しているように音源ファイル保存しているHDD一個お釈迦にして、Chopin保存音源も全部失いました。幸いVasary Tamas(1933ー洪牙利→瑞西)によるDG音源はすぐに再入手出来。これは昔馴染みの演奏、音源再入手を機会に久々にたっぷり堪能いたしました。音質はかなり良好に自然なもの。なんの気なしに聴き始めたらオーケストラはしみじみとしっとり深みのあるエエ音で鳴っていて、確認するとちょいとマニアックな指揮者によるベルリン・フィルでした、Chopinの伴奏は珍しいかも。Jerzy Semkow(1928ー2014波蘭→仏蘭西)Kulka Janos(1929-2001洪牙利)いずれも指揮者がなかなか渋い存在。

 ホ短調協奏曲第1楽章「Allegro maestoso」よりヴァーシャーリのピアノはしっとり名残惜しい自然な揺れ、輝く音色はデリケートに滋味深く抑制して、無機的怜悧なテクニック表出とは無縁。たっぷり甘い哀愁の旋律を可愛らしく、力みなく表現しております。控えめだけどベルリン・フィルの厚みと艶のある響き、ホルンも絶品。(20:15)第2楽章「Romace,Larghetto」は絶品の切なさ寂しさ、セムコウの伴奏ともども懐かしさは極まって、オーケストラは洗練された弱音の存在感が素晴らしい。(10:37)第3楽章「Rondo.Vivace」は波蘭の民族的リズムが清潔に軽妙に弾んで、テンポは慌てずリズムをあまり強調しない。柔らかい優しい風情と晴れやかな表情が続きました。ベルリン・フィルは最後までゴージャスな響き。(10:20)

 ヘ短調協奏曲も同様、第1楽章「Mestoso」冒頭から魅惑の弦が涼やかに響きます。ピアノは瑞々しい響きに落ち着いてしっとり甘い旋律を切なく思い入れに揺れてたっぷりのタメに歌って泣けるような、走ったり力んだりしない表現。これもホ短調協奏曲に負けぬ名旋律、激情は高まります。その魅力は甲乙付け難いもの。(15:05)第2楽章「Larghetto」は絶品の緩徐楽章、これはまるでノクターン風の甘美に静謐な旋律をシミジミ歌って、意外と力強いタッチでした。(9:44)第3楽章「Allegro vivace」フィナーレへ。冒頭の哀愁の旋律は魅力的、マズルカのリズムは自在に揺れて弾んで、それが快く高揚して熱気を加えていきました。オーケストラとの絡み合いは夢見るように美しい。(8:45)美しいピアノですよ。

(2024年8月31日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi