Chausson ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのコンセール ニ長調/
Saint-Sae”ns ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調/ハヴァネラ
(ルイス・カウフマン(v)/アルトゥール・バルサム(p)/パスカル四重奏団/
マウリツ・ヴァン・デン・ベルク/オランダ・フィル)


米ORION ORS 73134Chausson

ピアノ、ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのコンセール ニ長調

ルイス・カウフマン(v)/アルトゥール・バルサム(p)/パスカル四重奏団

Saint-Sae”ns

ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調
ハヴァネラ

ルイス・カウフマン(v)/マウリツ・ヴァン・デン・ベルク/オランダ・フィル

写真は米ORION ORS 73134 1950年頃の録音

 先日Artur Balsam (1906-1994波蘭→亜米利加)の音源を点検していたら、お気に入りChaussonの名曲はLouis Kaufman(1905ー1994亜米利加)音源をまとめたものとダブっていることに気付きました。この辺り、パブリック・ドメインに至ってネットより音源は入手しやすいもの。仏蘭西ものを集めた一枚。素晴らしい技巧の冴えですよ。この人はハリウッドの映画音楽に多く参加し、録音にも積極的だったそう。Artur Balsam、仏蘭西のPascal Quartett(活動期間1941-1969?)との共演はいかにもコンサートホール・レーベルの顔ぶれといった感じ。けっこう昔の太古録音、あまり条件の整っていないはずのモノラル録音でも、けっこう”聴ける”ものがあることに気付きました。音楽を楽しむのにさほどの難もありません。

 Chaussonの協奏曲風情な室内楽は絶品に甘く、哀愁の旋律は屈指の名曲でありお気に入り、音質はそれなり良心的水準。第1楽章「Decide」は表題通り決然として劇的、露西亜風に懐かしい?濃厚な旋律がセクシーに歌う劇的なヴァイオリンは、朗々と表情豊かに甘く、雄弁に高揚します。ややポルタメント奏法も作品旋律風情にに似合って、それにしっかり応えるピアノも力強く、息が合っておりました。(13:43)第2楽章「Sicilienne, Pas vite」は絶品、しっとり切なく泣ける哀愁の旋律は6/8拍子。これもソロ・ヴァイオリンはちょっとクサいほど歌って、ピアノはデリケートに抑制しました。そしてここも官能の高揚を感じさせます。(4:21)第3楽章「Grave」は暗鬱なピアノから始まって、そのままヴァイオリンの嘆きが静かに呼応します。やがて波打つような激情がやってきて、情熱は高まって、やがて静かに収束しました。(9:13)第4楽章「Tres amine」は風雲急を告げる緊張感切迫感漂ったピアノが主題を提示して、熱気を伴ったフィナーレの始まり。ヴァイオリンソロは自在に歌って時代を感じさせる大仰な表情、情熱的に大きなフィナーレに至って、ピアノは思わぬ雄弁な活躍に驚かされました。(10:45)

 Saint-Sae"nsは大昔の映画音楽を連想させるような、まずまず聴きやすい音質。この協奏曲はあまり日本じゃ人気ないそうですね。Maurits Van Den Bergの情報は不明、オーケストラはオペラハウスのピットに入る団体らしい。浪漫風情漂う三楽章、名手サラサーテのための作品とか、情熱的な第1楽章「Allegro non troppo」は妖しげな風情に流暢なテクニックを駆使して、カウフマンは昔風の甘美なスタイル蠱惑的な音色、作品に似合って雰囲気はたっぷり。(7:24)第2楽章「Andante quasi Allegretto」緩徐楽章は爽やかにちょっぴり切ない、デリケート安寧な旋律の魅力横溢。ソロとオーケストラの対話も夢見るよう。(7:20)第3楽章「Molt moderato e maestoso」は決然として、キレのある変幻自在な表情や音色の変化もおみごと。(9:49)ハヴァネラも超絶技巧を駆使して、妖しい美音と節回しを湛えてたっぷり、優雅かつ劇的な西班牙風情を堪能させてくださいました。(8:21)

(2024年6月22日)

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written by wabisuke hayashi