Bruckner 交響曲第7番ホ長調
(林憲政/韓国交響楽団)
Bruckner
交響曲第7番ホ長調(1885年稿/ハース版)
林憲政(イム・ホンジョン)/韓国交響楽団
Universal Korea DD41143 2014年ライヴ
林憲政(1952ー韓国)による異色の交響曲全集録音(ライヴ)。彼は韓国でMahlerも全曲演奏もしているそう。この作品はBruckner中屈の美しく優雅な旋律を誇って、凄みのあるパワーや低い重心を誇るオーケストラではないけれど、細部ていねいな仕上げと優雅な旋律をしっかり歌って誠実。整ったアンサンブルは作品個性に相応しい美しい演奏でした。詠嘆や情念に揺れぬ、イン・テンポが基調、ソウル・アーツ・センターでのライヴも残響豊かに瑞々しい音質。オーケストラの薄さ、線の細さはまったく感じさせない、ライヴでも驚くべき完成度。隣国との関係はなにかと微妙だけど、音楽には国境はありません。
第1楽章「Allegro moderato」は冒頭の弦からやや速めのテンポ設定に伸びやかなフレージング、浮き立つような高揚感に溢れて始まりました。オーケストラはやや細身の爽やかなサウンド、予想外に艶のあるしっとりとした適度な力感はしみじみ。流れは素直に生真面目、デリケートな仕上げが旋律の美しさを際立たせます。金管大爆発!ではないけれどホルンの深み、木管の歌にも不足はありません。(19:56)
第2楽章「Adagio. Sehr feierlich und sehr langsam」この緩徐楽章は作品の白眉。淡々として深刻になりすぎず、ここでも心持ち速めのテンポ、驚くほど弦はアクセントはしっかりにたっぷり歌って、表情豊かに流れも爽やかに停滞しません。この楽章もホルンは好調、弦に彩りを添えるフルートやトランペットも素直に清潔な響きに、ラスト迄意外と魅力的。寄せては返す情感の高まり、これは感極まるクライマックスに打楽器乱舞がない版?のはずが、ティンパニとシンバルが入りました。(21:13)
第3楽章「Scherzo: Sehr schnell」Brucknerのキモはスケルツォ。ここはやや慎重な出足から、アクセントしっかりリズムに乗って、徐々に熱を加えていく流れはおみごと。サウンドのバランスのよさ、響きは濁らない。天国のように優雅な中間部を挟んで、ラストは渾身怒涛の力強さに余裕さえ感じました。(9:46)
第4楽章「Finale: Bewegt, doch nicht schnell」ほかの作品に比べて明るい楽天性に充ちたフィナーレ。軽妙な始まりはリズミカル、テンポは中庸からやや速め、テンポの動きも有機的にオーケストラの響きもたっぷり厚いけれど、重くならない。この楽章も朗々としたホルンは好調、最後迄息切れもせず上機嫌に全曲を閉じました。(13:23/大喝采50秒ほど有) (2025年3月22日)
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