Bruckner 交響曲第8番ハ短調
(ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団)


Vox Legends CDX2-5504 Bruckner

交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)

ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団
(+Liszt ファウスト交響曲/Wagner 「ファウスト」序曲)

Vox Legends CDX2-5504 1955年録音

 Jascha Horenstein(1898ー1973烏克蘭→亜米利加)は特定のポストに就かず、けっこうな物量の録音を残して、廉価盤フリークな自分にとっては馴染みの存在。リンク先Wiki内容も素っ気ないけれど、全世界あちこち一流オーケストラに客演して、Mahler、Bruckner辺りを中心として、現代音楽の養護にも力を入れていたんだそう。レパートリーは広かったみたいで、ウィンナ・ワルツもCD2枚分録音がありました。

 これは録音情報詳細も探せないモノラル、オーケストラも”ウィーン・フィルを母体に特別編成された”との間接情報はあるけれど、真偽裏取りはできません。たしかに水準の高い深みを感じさせるアンサンブル、音質は作品を堪能するに苦痛のないそれなりの水準、分離もよろしく音に芯があってまずまずでしょう。状態のよろしい同作品音源はいくらでもあるのに、わざわざ昔馴染みを求める懐古趣味、これは21世紀に現役価値と聴きました。(情報をいただきました。フルートのワナウゼク、ヴィオラのアンゲラーなどウィーン交響楽団のメンバーが主体のようです。オーボエのドールシュミット・・・)

 第1楽章「Allegro moderato」はただならぬ緊張感を孕んで開始。重量感に不足はないけれど、やや速めのテンポ、語り口はモダーンに推進力を感じさせるもの。深みとコクのある金管の絶叫は余裕、テンションの高い木管、弦もたっぷりと美しく、重心が低いサウンド、音質乗り越えサウンド・バランスは良好です。表情豊かに細部丁寧な描き込みだけど、粘着質詠嘆に揺れず、たっぷりとしたスケールに力強く盛り上がって、聴手を興奮へと誘う説得力は充分でしょう。静かに収束する馴染みの版。(13:40)

 第2楽章「Scherzo: Allegro moderato」Bruckner作品のキモはスケルツォ。「独逸の野人(ミヒェル)(鈍重な田舎者)」主題は颯爽とカッコ良く、湧き上がるような爽快さに溢れて慌てず、中庸のテンポにアクセントしっかりしたリズムに金管の咆哮は壮絶、この厚みは”ウィーン・フィルを母体”説に説得力有。弦との掛け合いの緊張感も文句なし、緩急ニュアンス表現は入念でも不自然さを感じさせぬ盤石、重心も低い。トリオ「野人(ミヒェル)が田舎を夢見る」は意外と淡々、やや素っ気ない対比もよろしい。遠いホルン、フルートは夢見るように美しいもの。(14:59)

 第3楽章「Adagio: Feierlich langsam, doch nicht schleppend(荘重にゆっくりと、しかし引きずらないように)静謐、陶酔、深淵、延々と長大なる緩徐楽章。華麗なる加齢を重ねると緩徐楽章が好みになってくる・・・しっとりとした弦に可憐なハープが絡んで、ここは天国的に美しいところ。これも”ウィーン・フィル?”傍証になるでしょうか(→ウィーン交響楽団主体らしい)。テンポは適正を感じさせて停滞感はない、寄せては返す大きなリズムを感じさせました。やがて金管楽器+ティンパニシンバルも参集して高らかに、壮絶クライマックスがやってくるBruckner例のワン・パターン、これを待っておりました。ラスト辺り、ホルンの合奏は絶品!名残惜しく、遠く消えていく風情も最高。(25:28)

 第4楽章「Finale: Feierlich, nicht schnell」全軍出陣!総進撃「死の行進」終楽章へ。弦楽器のシンプルなリズム伴奏に金管のファンファーレもカッコ良く、切迫して開始。やがて優雅な第2主題は弦楽器主体に対比され、木管による小鳥も啼き、優雅な場面も連続して・・・やがて深刻な「死の行進」へと戻って終盤のクライマックスへ。イン・テンポを基調としてラスト、テンポはどんどん遅くなって、一歩間違えば時代錯誤的表現になるかも?流したり走ったり、そんな表現皆無、地にしっかり足をつけて力強く金管乱舞壮絶。この人は”大きな作品”を構成するのが上手い。(22:34)

(2021年7月3日)

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written by wabisuke hayashi