Bruckner 交響曲第9番ニ短調
(若杉 弘/ザールブリュッケン放送交響楽団)
Bruckner
交響曲第9番ニ短調 「愛する神に捧ぐ」(Dem lieben Gott)
若杉 弘/ザールブリュッケン放送交響楽団
ARTENOVA 74321 65414 2 1994年録音
十数年ぶりの再聴。あまりに素朴なコメントだったので加筆しておきましょう。懐かしい廉価盤レーベルARTENOVAもどこに消えたやら・・・
1903年初演。終楽章は未完の神々しい名曲は三管編成、ホルンは8本(4本はワグナーチューバ持ち替え)+強烈なティンパニ。「愛する神に捧ぐ」(Dem lieben Gott)との宣伝文句はちょっと遣り過ぎでしょう。
若杉 弘さん(1935- 2009東京)は欧州に盛んに活躍して、国内ではMahlerもBrucknerも交響曲全曲録音を果たしております。それとは別の独逸録音(現Deutsche Radio Philharmonie Saarbrucken Kaiserslautern)。懐かしいARTE-NOVAは現在SONYに吸収され、いくつか音源を見掛けることもありました。高音の伸びも低音も、いまいち伸びは足りないけれど、まずまずの音質でしょう。
第1楽章「Feierlich, misterioso(荘重に、神秘的に)」オーケストラのサウンド印象もあるのか、強靭なメリハリや個性を表出させることのない、オーソドックスに粛々とした歩み。凄みとか熱狂、興奮、疾走を求めるのなら。これはややおとなし過ぎる演奏と感じられることでしょう。それでも充分なパワーとバランスに感銘をしっかり受け止めました。(24:55)
第2楽章「Scherzo. Bewegt, lebhaft - Trio. Schnell(軽く、快活に - トリオ、急速に)」ここは法華の太鼓を連想させる熱血リズム。金管も木管も牧歌的な音色に、ティンパニの連打も正確なアクセント、精一杯の絶叫も一歩引いてイン・テンポが基調。煽りとか詠嘆とは無縁、トリオの優しい風情も絶品でした。(11:06)
第3楽章「Adagio. Langsam, feierlich(遅く、荘重に)」冒頭の弦、弦の陶酔も抑制が効いて徐々に高まる情感から、感動的な金管のコラールには今一歩のパワーと激情、厳しさ、厚みが欲しいところ。それは威圧感ある絶叫に非ず、常にバランスを感じさせて響きは濁らない。金管の各パートは分離よろしく、その旋律の動きはリアルに素朴でした。しみじみとした弦も素直に、色気にはちょいと足りない。先入観かも知れないけれど、これは日本人らしい清潔に落ち着いた、感銘深い完成度でしょう。(25:14) (2026年8月1日)
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若杉さん2009年逝去。享年74歳、もったいないなぁ。もっとエエ音楽を聴かせていただきたかった。
彼はかなり早い時期から独逸で活躍していて、録音もけっこうたくさんありました。この音源は現役ですか?ARTENOVAがスクロヴァチェフスキのBrucknerを次々と発売したとき、何故か第2番と第9番は若杉さんの音源だったんです。後、スクロヴァチェフスキは全集となり、経緯はようわからんがOEHMSに発売は遷り、若杉さんの音源はどこにいったのやら?そもそもARTENOVAって現役なのか。最近、世情に疎いもので・・・閑話休題(それはさておき)
先日、ギュンター・ヴァントによる2000年ライヴを(もちろんCDにて)拝聴いたしました。壮絶!という言葉が相応しい凄まじい感動有。それに対して若杉盤のなんという清涼でクール、すっきりとした響きなのでしょう。ザールブリュッケン放送交響楽団のサウンドそのものが素直で、強靭なる個性を主張しないオーケストラなのかも知れません。アンサンブルは精緻であり、テンションが低いわけでもない。
まるで悟り、解脱したように脂っけがない。爽やかな涼風吹き抜けるような演奏といえばそうなんだけど、この繊細なる薄味を堪能するには聴き手の煩悩が多すぎました。第1楽章は平和な凪の浜辺であり、昇り来る朝日も日本風めでたい初日の出風情であります。緊張より安らぎが先に立つ感じ。第2楽章はしっかりとしたリズムを刻むんだけれど、あくまで抑制が利いていて熱狂しない、響きを濁すほどに絶叫しない。
安らぎと安寧に充ちた第3楽章「アダージョ」は、ワーグナー・チューバのコラール風荘厳な爆発にて中断されるが、それさえ抑制が主眼でショッキングなものではない。若杉さんは慈しむように、ていねい緻密に音楽を仕上げていくが、やはり淡彩薄味なんです。ちゃんと力感もあってけっして悪い演奏じゃないが、今流行の”草食系Bruckner”と呼ぶべきか。Brucknerはオーケストラの技量がモロに出てしまうから、ザールブリュッケン放響の個性が作品に似合っていないということかも?
とても美しく、デリカシーに富んだ演奏に間違いはないけど、いまひとつ説得力を欠く感じ。いろいろな方々のご意見を拝聴したいものです。 (2010年2月5日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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