Brahms セレナード第1番ニ長調/第2番イ長調
(フランシス/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団)


ARTE NOVA 74321-3104-2 Brahms

セレナード第1番ニ長調 作品11
セレナード第2番イ長調 作品16

アラン・フランシス/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団

ARTE NOVA BVCC-6063(74321-3104-2) 1996録音 350円(中古/定価880円)

 Brahms の交響曲に比して、セレナードの人気はあまりないようです。録音もいろいろあるようで、じつは意外と入手が難しい・・・アバド辺りが有名か?ケルテスか、ボウルトの2枚組は入手可能だろうと思います(未入手)。個人的にはお気に入りの作品でして、第1番をストコフスキーで、第2番をアンドレック・ジューヴの指揮にて更新済み。このCDはARTE NOVA衝撃のデビュー1997年頃「880円均一!」で国内登場した時のもの。2曲収録しているCDも貴重でして、現役で入手できるかは不明です(少なくとも店頭では見掛けない)。

 ワタシは(Beeやんほどではないが)Brahms も少々敬遠気味でして、どちらかといえばピアノとか室内楽を好みます。聴くべき時間やら体調/精神状態を選ばないと、中年の幽愁切なく、ひしひしと迫ってどんより落ち込んでしまう・・・そこは「セレナード」〜Brahms 若き日(25/26歳)の憧憬も(やや辛気くさいが、ちゃんと)存在して気軽に楽しみたい作品。我らがヴォルフガングの「セレナード」とはやや遠く、明快軽快一辺倒とはいかないが。時に少々、粘着質な重量感も顔を出すけれど。

 第1番ニ長調 作品11は、44分に至る堂々たる規模の熟達した管弦楽作品であって、既に交響曲のテイスト有。冒頭牧歌的なホルンの響きが魅力です。明るく溌剌とした第1楽章「アレグロ」、ちょっと憂いの表情を垣間見せる「第1スケルツォ」は不安げ(なワルツのよう)であり(行進曲風の中間部有)、第3楽章「アダージョ」には静謐なる安らぎがありました。第4楽章は短い「メヌエット」であり、クラリネットの活躍が後年の交響曲を連想させました。これもほのくらい”ワルツ”か。

 第5楽章「第2スケルツォ」に至って「狩りのホルン」風勇壮な雰囲気はスケール大きく、終楽章は付点リズムの主題が躍動的であって、全曲を見事に締め括ります。名曲。アラン・フランシス/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団はやや速めのテンポ設定、さっぱりと明るい響きであり、それは”セレナード”に相応しいものでしょう。重厚ではなく、弱音での説得力を失いがちなのは、若いオーケストラだから仕方がないか。

 第2番イ長調 作品16は、ちょうど交響曲で言えば第2番ニ長調のテイストか。編成小さく(なんとヴァイオリンを欠く)金管はホルンしかありません。第1番ほどの陰影は存在しなくて、親密な響きが全体を支配します。第1楽章「アレグロ」には田園的安らぎが溢れ、第2楽章「スケルツォ」には素朴なる躍動があり、第3楽章「アダージョ」には不安なる表情と、晴れやかな安寧が交差しました。

 第4楽章「メヌエット」はゆったりとした付点リズムが素朴かつ魅力的であり、終楽章には大団円の”村祭り”的華やぎと、賑々しさがありました。第1番よりこちらのほうがこぢんまりとして親密であり、ヴァイオリンもトランペットがないせいか、作品に演奏は似合っているテイストと感じます。深刻深淵晦渋雄弁に演ずべき作品ではない。ワタシは”威圧感”がいやなんです。

(2007年7月6日)
 


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written by wabisuke hayashi