Brahms 交響曲第3番ヘ長調/第4番ホ短調
(ヤープ・ファン・ズヴェーデン/オランダ・フィル)


Brilliant 99946 Brahms

交響曲第3番ヘ長調
交響曲第4番ホ短調

ヤープ・ファン・ズヴェーデン/オランダ・フィル

Brilliant 93554/3 2002年録音

 Jaap van Zweden (1960ー阿蘭陀)は2018年よりニューヨーク・フィルの音楽監督、1979-1985年までコンセルトヘボウ管弦楽団のコンマス、2012年より香港フィルの音楽監督も継続しているようです。2002年頃は放送フィル(ヒルフェルスム)の首席を務めていて、オランダ・フィル(アムステルダム)と録音した経緯は不明です(第2番担当は放送フィル)。適度な残響に支えられた優秀録音。

 写真は交響曲全集(+α)単発で発売された時のもの(Brilliant 99946)。2020年秋ほとんどのCDは断捨離して、BrilliantのBrahms全集60枚セットは手元に残しました・・・それから数ヶ月、一回もボックスの蓋を開けていなくて、これもやがて処分するんやろなぁ、そんな予感もありました。Brahmsの交響曲なんて馴染み過ぎて、不遜な、安易な聴き流しになりがち、ズヴェーデン38歳の記録を耳を洗って確認いたしましょう。

 交響曲第3番ヘ長調 第1楽章 「Allegro con brio」は冒頭、せり上がるような管楽器のモットーから劇的な弦の第1楽章が勇壮に響きます。ズヴェーデンの表現は昔風?金管は突出せず、勇壮に厚みと力感のあるスケール、若々しくもアツい推進力たっぷり。テンポの揺れも有機的、オケは予想外に好調でしょう。(9:56)第2楽章 「Andante」はクラリネット+ファゴットのシンプルな旋律から弦が静かに参入して自在に、大きく広がっていくBrahmsのマジック、やがて(やはり)クラリネット+ファゴットが暗鬱な第2主題を奏でて、これって緩徐楽章なんでしょうか。なんか旧来の交響曲のイメージから外れて、ゆうゆうと優雅な風情が流れました。テンポは中庸、たっぷり呼吸深く歌う表現が続きます。木管の技量も優れていると思います。(8:30)

 第3楽章 「Poco allegretto」は有名な低弦による甘く、遣る瀬ない旋律の始まり(映画「さようならをもう一度」)。弦、木管のさりげない表情付けも雰囲気たっぷり、この楽章の金管はホルン二本だけなんだそう。これがラスト寂しげに決まってますよ。この辺りDvora'kの交響曲第8番ト長調第3楽章「Allegretto grazioso - Molto vivace」悲しげなワルツ配置に似てませんか。(6:00)第4楽章 「Allegro - Un poco sostenuto」ファゴット+弦が暗くうごめく第1主題を提示、Brahmsは低音の魅力でっせ。やがて情熱的に爆発して疾走開始、演奏も劇的にカッコ良い情熱に充ちてテンションは高いもの。このフル・オーケストラの立派な響きでも二管編成なんだもんなぁ、立派なもんでっせBrahmsは。やがて静かに沈静化して、ゆったり天上に昇って休息するように全曲終了。(8:48)オケは個々のパートの特異な個性発揮さておき、全体として立派な響きを実現していると感じました。

 交響曲第4番ホ短調 第1楽章 「Allegro non troppo」の第1主題は吐息のような哀愁のヴァイオリン。Brahmsの動機はいつもシンプル、それが魔法のように大きく、劇的に成長します。浪漫の極みのような切ない音楽が続く名曲、憂愁魅惑の楽章でっせ。ズヴェーデンは痩せすぎず、素っ気なくもない、力み過ぎぬたっぷりスケール、バランスを感じさせる”大きな”歌。テンポも適正に、管楽器のデリケートな扱いもおみごと。(12:38)第2楽章 「Andante moderato」ホルン(+木管)による(これも)シンプルな素っ気ない動機にて開始。これが速攻で変容して色彩の変化、陰影の変化に至るワザのみごとさ。これが緩徐楽章なんでしょうか。淡々とした達観したような風情が続いて、丁寧仕上げ。オケには今一歩の深みがほしいけれど、悠々と美しいと感じました。(10:43)

 第3楽章 「Allegro giocoso」は浮き立つように明るく、賑々しいスケルツォ楽章。パワフルな爆発連続。ホルンとトライアングル、ここではティンパニ3台大活躍します。(6:06)第4楽章 「Allegro energico e passionato」は古風なシャコンヌ主題による変奏曲、この大仰さ、スケールがBrahmsの魅力でしょう。これでニ管編成だから驚きます。ズヴェーデンは緩急の表情描き分けも上手く、緊張感が持続します。テンポの動きに不自然さも感じられない、力強いフィナーレでした。(9:26)最近、編成の小さな響きの薄いBrahmsも多くて、それも一味あるけれど、久々に”大きく”力強い演奏を堪能いたしました。オケにはいっそうのサウンド洗練とか、求めればキリはないけれど、勢いを感じさせるオーソドックスな完成度でした。

(2021年2月14日)

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written by wabisuke hayashi