Brahms 交響曲第1番ハ短調/悲劇的序曲
(カルロ・マリア・ジュリーニ/フィルハーモニア管弦楽団)
Brahms
交響曲第1番ハ短調
悲劇的序曲(1962年)
カルロ・マリア・ジュリーニ/フィルハーモニア管弦楽団
EMI 1961年録音
Carlo Maria Giulini(1914ー2005伊太利)とは1990年、ミラノのリコルディ前ですれ違ったのが儚い自慢です。(帰りの空港にて慌てて彼のCDを購入)これは47歳の記録、後年ロサンゼルス・フィル(1981年)、一番有名なウィーン・フィルとの録音(1991年)は未聴。こちら最初のセッション録音となります。Brahmasの交響曲は4曲、2管編成40分程度、演奏映えもして日本でも演奏会頻度が多い人気作品。自分はこのハ短調交響曲をどーも立派過ぎと感じて敬遠気味、ジュリーニ壮年の演奏を久々に確認して、そのカッコよい風情に驚きました。音質まずまず良好。フィルハーモニア管弦楽団は爽やかな響き、演奏技量は充分でしょう。
第1楽章「Un poco sostenuto - Allegro」冒頭、がんこに執拗な(ostinato)ティンパニ+低音楽器の連打が半音階に堂々たる始まり。主旋律は颯爽として、微妙にまったり悠々と歌うジュリーニの表現は、オーケストラの明るい響き(とくに木管楽器が印象的)と似合って威圧感はないけれど、圧巻の盛り上がり。ラストの追い込みも必要以上な走りやテンポの揺れはありません。繰り返しなし。(14:12)
第2楽章「Andante sostenuto」は優雅に流れるような緩徐楽章。この楽章はオーボエとフルート、ホルンが主役かな、名手を揃えたフィルハーモア管弦楽団の面目躍如、ゆったり大きく揺れるように寄せては返す深い呼吸のように、そっとデリケートな弦は絶品です。ヴァイオリン・ソロが入る辺り、Brahmsの一番美しい瞬間でしょう。どのパートも自己主張し過ぎないバランスを感じます。(9:31)
第3楽章「Un poco allegretto e grazioso」はスケルツォに非ず、ほんの短い間奏曲。grazioso(優雅)な管楽アンサンブルから弦が優しく旋律を受け継いで、やや不安げに早足に駆け抜けるような息抜きの楽章でしょう。リズム変わって中間部の雄弁さにはBrahmsらしい個性が覗きます。(4:58)第4楽章「Adagio - Piu andante - Allegro non troppo, ma con brio - Piu allegro」は鬱々と重苦しい序奏、やがてホルンが夜明けのような一閃を表現して(←意外と控えめにジミ。そしてフルートへ引き継がれる)二段構え、そしてシミジミと「喜びの歌」主部へ。この辺り、ジュリーニの絶妙なタメの上手さ、大きさ、流れの良さ。急いた前のめりの表現とは無縁、なんの変哲もない旋律をまったり優雅に、テンポ・アップも自然に歌う絶妙な表現。最晩年のジュリーニはこの路線が進んで、緊張感が弛緩したかも?そんな先入観より、あまり聴いておりません。(13:13)
自分は悲劇的序曲のみならずBrahmsの序曲を好んで聴いておりません。この作品は「大学祝典序曲」の陽に対して陰の作品を対比させたとのこと。こちらほんのちょっぴり音質が落ちるかも。フィルハーモニア管弦楽団は相変わらずの上手さ。(13:13) (2022年6月11日)
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