Brahms 弦楽五重奏曲第2番ト長調/クラリネット五重奏曲ロ短調
(ベルリン・フィル八重奏団のメンバー/ヘルベルト・シュタール(cl))


PHILIPS 454 073-2 Brahms

弦楽五重奏曲第2番ト長調(1970年)
クラリネット五重奏曲ロ短調(1972年)

ベルリン・フィル八重奏団のメンバー/ヘルベルト・シュタール(cl)

PHILIPS 454 073-2

 もう二世代前くらいのベルリン・フィルのメンバーによる、しっとりと落ち着いた音質音源でした。

 弦楽五重奏のメンバーは土屋 邦雄(va)(1933ー2023/ベルリン・フィル在任1959-2001)/ Dietrich Gerhard(va)/Alfred Maecek(v)/Ferdinand Mezger(v)/Peter Steiner(vc)。第1楽章「Allegro non troppo, ma con brio」はDvora'kの「アメリカ」を連想させる、思わぬ晴れやかな表情の始まり。気分は高揚して、切ない情感も加わりました。(9:58)第2楽章「Adagio」は物思いに耽るような、ちょっと切なく、後ろ向きの緩徐楽章。(6:12)第3楽章「Un poco allegretto」ここもスケルツォ?とは思えぬ寂しげな情感を湛えております。(5:31)第4楽章「Vivace ma non troppo presto」暗く蠢くような始まりから、やがて快活なフィナーレを迎えました。(4:44)世間的には馴染み少ないけど、これは名曲。Brahmsは大きな規模の作品より、室内楽とかピアノ・ソロなどのほうに親しみを覚えます。

 クラリネット五重奏はHerbert Stahr(cl)(1920-?独逸)/土屋 邦雄/Alfred Maecek/Ferdinand Mezger/Peter Steiner。これは鬱蒼と暗く、諦観に充ちてクラリネット作品中屈指の名作。第1楽章「Allegro」鬱蒼と曇った空を見上げるような始まりに、ちょっぴりクールに色彩豊かな音色のクラリネットは寂しげに響いて、やがて情熱は高まります。この人は戦前からのヴェテランらしくて、1970年代に引退するまでベルリン・フィルの次席だったらしい。(11:18)第2楽章「Adagio」ここは屈指の名旋律。夢見るようなときに苦みばしった旋律は「愛の歌」と評されるとはWikiの情報。それを受ける曇ったヴィオリンがまた絶品。そして情熱を高めて叫ぶクラリネットの切ないこと。それもやがて遠い目のように沈静化して、こんな内省的な世界はBrahmsの真骨頂でしょう。(11:10)第3楽章「Andantino〜」晴れやかな落ちいた、シンプルに懐かしい旋律。それを微妙に、次々と変化させていく技はBrahms特有のものでしょう。中間部のPrestoがスケルツォの風情を感じさせます。(4:44)第4楽章「Con mot」は悠々とした変奏曲。この大きさ、情感の高まりはいかにもBrahmsのフィナーレに相応しいもの。(8:46)

(2024年9月21日)

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written by wabisuke hayashi